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第110話
しおりを挟むジルヴァンの手よって腰紐を解かれた時、すでに恭介の男根は硬く肥大していた。
「キ、キョースケ……、これはいったいどういうことだ?」
「どうって、陰毛なら剃っておいたンだ。それとも、勃つのが早すぎるって?」
今から数十分前、恭介は情人としてついに第6王子の寝間を訪れた。室にはジルヴァンしかおらず、足付きの洋燈が二台用意されていた。植物油に灯された火の色は橙色で、仄かに甘い匂いがした。
「よく来た、キョースケ。近う寄れ。」
寝台に誘われた恭介は扉を閉めると、「お邪魔します」と云ってジルヴァンの横に腰かけた。
「そんな薄着で寒くないか?」
「どうせすぐに脱ぐのだから、問題なかろう。」
「それもそうだな。」
互いに1枚しか身につけておらず、雰囲気は和やかである。恭介は平静を装いながら、会話した。
「呼んでくれてサンキューな。オレのほうで、痺れを切らしそうになってたよ。」
「そうであったか? キョースケにしては珍しい発言だな。」
「どこが珍しいんだ?」
「……いや、なに。貴様は仕事優先の人間だと思っていたが、そうか。こうして呼ばれるのを待っていたのだな。嬉しく思うぞ。」
「ああ。オレも嬉しいよ。」
恭介はジルヴァンの髪に触れると、ぎしりと寝台を軋ませた。ゆっくりと相手のカラダを仰臥させ、体重を載せないよう覆い被さった。口唇を指でなぞると、ジルヴァンは恥ずかしそうに視線を泳がせた。
「……ジルヴァン、」
「な、なんだ、」
「もう、待てない。だから、いいよな?」
「……う、うむ。……あっ、」
恭介はジルヴァンの衿をひらくと、細い腕を引き抜いた。首筋にキスをしてから、胸の突起へ吸いつくと、舌を使って乳頭を刺激した。
「ひっ、や! キョースケ……!」
ジルヴァンはビクビクと腰をふるわせたが、恭介の黒髪をそっと撫でた。
「ま、待たれよ、キョースケ。先に腰紐を吾に解かせよ……。」
「うん? ああ、そうだったな。たのむ。」
いったん上体を起こした恭介は、さあどうぞとばかり、両腕をひろげて見せた。ジルヴァンは赤面したが恭介に顔を寄せて、軽く口唇を重ねた。
「キョースケ、キョースケ……、」
「ああ。何度でも答えるよ。もっと呼んでくれ。」
「うぅっ、キョースケ……!!」
ジルヴァンは恭介にしがみつき、涙目になってしまった。期待と不安で胸がいっぱいで、息苦しくて情けなくなる。
「キョースケ! キョースケ!」
と、ただ子どもみたいに名前を連呼したが、背中を支える腕に余計な力は含まれておらず、「はい」と、耳もとで返事をする声が聞こえた。ジルヴァンは、安心して恭介の体温を感じることができた。しばらく抱きついていたが、やがて、情人の腰紐に手をのばした。同時に、ジルヴァンの肩から絹衣が、はらりと自然に落ちた。そして、
「キ、キョースケ……、これはいったいどういうことだ?」
という、冒頭のやりとりへ戻る。硬く張りつめて勃ちあがる恭介の男根を見たジルヴァンは、一瞬怖気づく。
「陰毛を剃っておいたンだけど、必要なかったか?」
「……い、いや、そうではなく、前に見たときより大きいのではないか?」〔第62話参照〕
「まぁ、そりゃあな。興奮して膨張してるからさ。……たぶん、キミ次第でもっとデカくなるぜ。」
「なに? それ以上デカくなるとは、どういうことだ!? そんな病気があるのか!?」
「いや、そうじゃなくて、むしろ健康な証だ。」
さすがに吹きだすのはマズいため、恭介は苦笑いした。
「あのさ、ジルヴァン。オレの男根をキミの体内に入れたあと、抜き挿しとかするけど、本当に大丈夫か?」
「ぬ、抜き挿しとな?」
「……もしかして、ただ合体するだけが共寝だと思ってた?」
「ちがうのか……? 否、答えずともよい。キョースケのしたいようにすればいいのだ。……吾は初心者ゆえ、すべて任せる。」
「……そうか、わかったよ。うん? 今なんて云った?」
好きにして構わないと聞こえた恭介は、あまりにも大胆で無防備な発言だと思った。とはいえ、攻め側である以上、性器を使わない手はない。恭介はいくらか気が引けつつも、ジルヴァンを寝かしつけると、膝を立て左右にひらかせた。
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