恭介の受難と異世界の住人

み馬

文字の大きさ
上 下
24 / 364

第 23 話

しおりを挟む

 午後になり、恭介は身体検査を受けに城へ向かった。相変わらず門衛の視線はピリピリとしていたが(だからオレは私奴やっこじゃねぇっての)、認可証を見せた途端とたん、背筋をのばして「どうぞおとおりください!」と云う。認可証に印字されている第6王子の名前を目にして、驚いたにちがいない。
(ジルヴァンに感謝だな……)
 なんとなく愉快な気分になりつつ、勝手知かってしったるの足運あしはこびで王宮関係者専用の出入口へ進むと、番人から「ご自由にお通りください」と、すんなり道を譲られた。きのうのきょうで顔をおぼえたらしい。さすが、御所ごしょに近いだけあり、門衛とは比べものにならない有能さを備えている。恭介はペコッと頭をさげ、王子に教わった通路を歩いた。

「おぉ~い、そこな青年よーい、」
 少し先で、白髪はくはつの老人が、しわがれた声をだしながら手招てまねきをしている。周囲には誰もいないため、恭介は速歩はやあしで近づいた。
「おじいさん、どうかしましたか、」
「うむうむ、よいツラをしておるのぅ。」
「あ、あの、お爺さん……?」
「ほほぅ。こっち、、、も立派なもんじゃ~。」
 老人は骨張ほねばった細い手で、恭介の下半身をさぐる、、、と「合格じゃ」と云う。その正体にピンときた恭介は、「もしかして」と、つぶやいた。
「オレの身体検査をする人ですか?」
身体検査おしらべなら、もう済んだわい。」
「え?」
おぬし、、、の顔色を見ればわかる。どこも悪くはないはずじゃ。歩く姿勢もよし、ケガの心配もなかろう。よい若さがみなぎっておるわい。ジルさまは御目おめが高いのぅ。」
 身長や体重を測定したり、血液検査などをするわけではないらしい。恭介は、いくらか拍子抜ひょうしぬけした。
「書類は記入してきたかのぅ。まぁ、これも形式的なもんじゃが、渡しておくれ。」
「……お、お願いします、」
 書類を提出すれば、おそらく、後戻あともどりはできない。恭介は用紙を差しだす指がかすかにふるえた。老人に案内された部屋では、王国くにの歴史や、王子との閨事ねやごとについて学んだ。医官いかんの老人いわく、世の中に避妊具と呼ばれるものはなく、情人には同性が選ばれやすいそうだ。
(なるほど……。迂闊うかつに異性と密通できない理由があるのか。ヘマすれば、相手を妊娠させちまう危険があるしな……)
 まだ自覚を持てずにいたが、自分のような人間が複数いるのかと納得した。
「ふむ、しかしおぬしは、ふしぎな使者つかいじゃのぅ。」
 老人は、恭介の髪の色を見て云う。 
「いやはや、これは本当ほんにめずらしいのぅ。おぬしの両親も黒いのかい? どこに住んでおるんじゃ?」
「……両親なら、遠いところにいます。」
「むむ? 遠くとな? 失言しつげんじゃったかのぅ、すまんのぅ。」
 なにも永眠したとは云ってないが、恭介は老人の勘違かんちがいを訂正せずに聞き流した。元の世界について、誰かに打ち明けるつもりはない。ただひとりゼニスの存在をのぞいては〔第5話参照〕。第三者に多くを語るには、まだ早すぎる。そんな気がした。
 ひと通りの説明を聞き終えると、王様付きからの連絡を待つばかりとなる。
「やっぱり、国王こくおうに挨拶しなきゃダメなんですか……?」
「おぬしの持つ認可証の裏には、王様の捺印なついんが必要なんじゃよ。印判はんをもらわない限り、おぬしが公認となって、ジルさまを抱くことはできんからのぅ。」
 恭介は一瞬、印判などらないと思ってしまった。どこかで話が脱線しないか期待していたが、いよいよ、最後の頼みのつなは国王となる。ふるい、、、、に落とされても本望ほんもうにつき、静かに待機した。だが、先にやって来たのはジルだった。

「キョースケ、ここに居たか!」
「ジルヴァン、どうした?」
輪具リングができたゆえ、貴様の指にめてやりたくてな。」
 予期せぬ王子の登場に、恭介の心臓はドキドキと速めの脈を打つ。いつの間にか、医官の老人は空気を読んで退室している。
「手をだせ。」
 と云う王子の命令に、恭介は左腕を伸ばした。人差し指にとおされた輪具リング漆黒しっこくの鉱石である。
「やはりな。黒翡翠ジェダイトがよく似合う。重厚な雰囲気があるし、黒は、ほかの色に染まることもない。きもめいじよ。われを失望させてはならぬぞ。」
 ジルは顔を寄せてくる。恭介はける選択をせず、王子と口づけをわした。

          * * * * * *
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店

ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。

【R-18】♡喘ぎ詰め合わせ♥あほえろ短編集

夜井
BL
完結済みの短編エロのみを公開していきます。 現在公開中の作品(随時更新) 『異世界転生したら、激太触手に犯されて即堕ちしちゃった話♥』 異種姦・産卵・大量中出し・即堕ち・二輪挿し・フェラ/イラマ・ごっくん・乳首責め・結腸責め・尿道責め・トコロテン・小スカ

先生を誰が先に孕ませるかゲーム

及川雨音
BL
複数ショタ×おっぱい有りマッチョ両性具有先生総受け おっぱいとおしりがデカいむちむちエロボディー! 強姦凌辱調教洗脳脅迫誘導だけど愛があるから大丈夫! ヤンデレ気味なショタたちに毎日日替わりで犯されます! 【書いていくうちに注意事項変わりますので、確認してからお読みいただくよう、お願い致します】 *先生の肉体は淫乱なのですぐ従順になります。 *淫語強要されます。 *複数プレイ多め、基本は一対一です。ギャラリーがいるのはプレイの一環です。ある意味チームプレイです。 *詳しい女性器・生理描写が有ります。 *ゴミを漁る、トイレ盗撮、ハッキングなど犯罪とストーカー行為をナチュラルにしています。 *相手により小スカ、飲尿、おもらし、強制放尿有ります。 *相手により赤ちゃんプレイ、授乳プレイ有ります。 *パイズリ有り。 *オモチャ、拘束器具、クスコ、尿道カテーテル、緊縛、口枷、吸引機、貞操帯もどき使います。 *相手によりフィストファック有ります。 *集団ぶっかけ有り。 *ごく一般的な行動でも攻めにとってはNTRだと感じるシーン有ります。 *二穴責め有り *金玉舐め有り *潮吹き有り

首輪 〜性奴隷 律の調教〜

M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。 R18です。 ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。 孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。 幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。 それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。 新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。

ペット彼氏のエチエチ調教劇場🖤

天災
BL
 とにかくエロいです。

見せしめ王子監禁調教日誌

ミツミチ
BL
敵国につかまった王子様がなぶられる話。 徐々に王×王子に成る

男の子の雌化♡

クレアンの物書き
BL
いろんな男の子達が従順なメス男子に変わっちゃうお話です!

処理中です...