異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬

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第5部

第75話

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『言っておきますけど……』

「なんだ」

『聞いてから後悔しても遅いですよ』

「かまわん」

『あなたというひとは、どこまでもムッツリですね……』       

「具体的には?」

『存在そのものです!』

手厳てきびしいな」


 歩調を合わせて丸太小屋に向かうふたりは、亮介に関する件で口論が発生したが、ハイロの口説き文句に堪忍したミュオンにより、それなりに打ち解けていた。気高い精霊は肉体の変化を認めたくなかったが、必然を要する相手がハイロであることに、気持ちが揺れていた。現状を受け入れる方向で、話し合う必要がある。なにもかも、見えない糸でつながっている。誰かに運命を操られているようで、あまり気分のよい展開ではなかった。さらに、精霊の妊娠期間は短い。新たな生命体を誕生させる以上、事前準備と、周囲への理解と協力を求めておくことも重要だ。


『……リョウスケくんに、なんと告げればよいのでしょうね。……半獣属に抱かれる日がくるなんて、夢にも思いませんでした』

「人型の見た目でも、そんなに抵抗があるのか」

『容姿ではなく、抜け目の問題ですよ』

 精霊と愛しあえる特権を手に入れたハイロは、甘美な肉体を存分に堪能できる。深部まで味わい尽くされるミュオンにとって、それは屈辱であり、いちどかぎりの関係で捨てられては、それこそ不本意だった。ハイロの告白が信用できない理由は、ほかにもある。悪癖をもつ貪欲な精霊は、理想的な肉体を見つけては誘惑する。いつ、ハイロが横取りされても、おかしくはなかった。


「おれのどこが不満なんだ」

『……べつに、不満なんてありません。……あなたは、完璧すぎるのです』

「過大評価だ」

『事実ですよ。いつも冷静沈着で、無表情だけど顔だちは男前ですし、からだつきも適度に筋肉質で、運動能力も高い。股間の一物いちもつも、ずいぶん立派でしたからね……』

「それは、ほめことばか?」

『わたしは、きらいになりたいのです。それなのに、あなたときたら、すきがなくて……』


 どうやら、ミュオンの頭は混乱しているらしい。精霊は、半獣属に愛など求めない。だが、享受される刺激と快楽に、神秘のからだは従順な反応を示すだろう。あらがえない本能に支配されているのは、ミュオンもハイロも同じ状況だった。


『……なんだか、とても疲れました』


 足取りがふらつくミュオンを見たハイロは、さりげなく細い腰に腕をまわすと、力強く支えた。


★つづく
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