異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬

文字の大きさ
上 下
74 / 171
第5部

第74話

しおりを挟む

 ミュオンの身体は、開口部(おしりの穴のことだよ)から子胤を授かるため、雌性器官が下腹部に形づくられていた。現在の発達段階でハイロと性交渉することにより、まちがいなく妊娠が実現する。また、ミュオンの細胞が二次特性を完成させるためには、長い時間が必要だった。数ヵ月ものあいだ眠りについてしまった理由は、生殖行為が可能となる肉体へと変化を遂げるための、準備期間である。


『こ、このわたしに、あなたを受け入れろと……?』

「そうだ。今なら、人間の姿で抱きあえる。おれも、ただの交尾とは思わない。……知っているか。かつて、あの丸太小屋で暮らしていた精霊と灰色大熊は、おれたちの先祖だ。ふたりの関係は別離で終わったが、おれたちはちがう結果になる」

『いきなり、なんの話ですか』

「おれは臆病風に吹かれない。生きているかぎり、おまえを支えていく」

『そんな告白、聞きたくありません』

「悪いが却下だ。ミュオン、おれの子を産んでくれ」

『しつこいですね』

「現実を見ろ。ことばで拒絶しても、からだは欲している」

『そんなわけ……』

 あるはずない。ミュオンは、科白せりふの途中で息が詰まり、軽いめまいがしてよろめいた。ハイロに見据えられた身体が熱い。衣服の下で、開口部が収縮をくり返す。無理やり気がつかないふりをしても、健康的で雄々しいハイロの細胞を求めていた。


「ミュオン」

『ち、近づかないで……』

「ミュオン・リヒテル・リノアース」

『わたしの名を、呼ばないでください……』

「いいかげん、素直になれ。おれを信じて身を委ねろ。大事にする」

『……い、いやです。……だめ、それ以上、なにも言わないで!』


 ハイロの言動に困惑したミュオンは、逃れるように走りだしたが、灰色大熊の足は人型時でも意外に速い。すぐに追いつかれてしまった。ミュオンは根負けしてその場にへたりこむと、ふるえる口唇くちびるでハイロに答えた。


半獣属あなたと夫婦になるなんて……、わたしには無理です……』

「ならば、いちどだけがまんしてくれ。おれとの性交渉は、発達過程として受け流せばいい」

『それが、ほんとうに……、リョウスケくんのためになるのですか……?』

「おれの考えが正しければな」


 ハイロの意見に耳をかたむけるミュオンは、いちどきり、、、、、の関係こそ願い下げだと思った。精霊の体内領域へれることができる存在が禁欲主義では、役不足である。


★つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8) 和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。 この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか? 鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。 もうすぐ主人公が転校してくる。 僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。 これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。 片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。 ※(3/14)ストック更新終わりました!幕間を挟みます。また本筋練り終わりましたら再開します。待っててくださいね♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

【連載】異世界でのんびり食堂経営

茜カナコ
BL
異世界に飛ばされた健(たける)と大翔(ひろと)の、食堂経営スローライフ。

処理中です...