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愛 玩 人 体〔136〕
しおりを挟む三船の相談に乗って話し込んだバージルは、飲食店で半日を過ごした。研究室へ戻った時、すでに日は暮れていた。端末を操作して気密容器の施錠を解除すると、ギロッと、エイジから睨まれた。
「気分はどうだ」
などと平然と訊いてくる医師に、エイジは「最悪」とこたえる。不機嫌な態度を示されたバージルは、白衣の内側から薄いゴム手袋を取り出して装着すると、エイジの股をひらいて尿道に挿入した医療器具を引き抜こうとした。
「ち、ちょっと待て! それ、取るとき、めっちゃ痛いから、そっとやってくれよな!?」
ただでさえ、バージルに陰茎を触られて緊張するエイジは、無意識に膝がカクカク慄えた。バージルは少し変な顔をしたが、丁寧に説明した。
「素早く抜くと、尿道内粘膜に摩擦が生じて痛みを感じることがある。つまり、カテーテルは尿道の形を考えて抜去する必要がある。コツとしては、尿道口に対して平行に抜くことが大切だ。敏感な部位である以上、多少の疼痛は仕方あるまい」
エイジは泣きそうな顔になるが、バージルは涼しい表情をしたまま、ズルズルと管を抜去すると、陰部の先端を消毒してガーゼで拭き取った。
(いってぇな! クッッッソ~っ!!)
医療行為とはいえ、やはり恥ずかしい。いっそ、いちどでもバージルと性交に及んでいれば、極端に羞恥せずとも済んだ事柄に思えるエイジは、次第に哀しくなった。
「うっ、えぇっ……」と、声にだして涙がこぼれてしまうと、「泣くほど痛かったのか」と、半ば呆れ顔のバージルから、ポンッと、肩を叩かれた。
(なに泣いてンだよオレ! バカか!?)
慌てて指で涙をはらうと、医師は無言で手巾を差し出した。
(ぐっ、さりげなく優しいことしやがって、余計に泣きたくなるじゃんか!! この超絶イケメンが!!)
エイジは口唇を噛みしめつつ、手巾を受け取ると、内心ホッと安堵した。状況がどうであれ、バージルの存在が近いと、無条件で安心できた。
(……なんか、暗示にかけられた気分だ。むしろ罠か? オレがバージルに惚れたら、事務局の思うツボかもしれない。もしかして、だからバージルは、オレの気持ちに応えられないのか!?)
+ continue +
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