君の瞳は月夜に輝く

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ソーンの独り言



 
 自室のベットに寝転がり、さっき見た写真を思い返す。家族に囲まれて幸せそうに笑うアル…。金髪に琥珀色の目…。

 呪いにかかるまでは前回までと同じ容姿だったのか…。




 今まで僕が見てきたアルスはあの写真に写っているような見た目をしていた。見た目だけでもかの英雄、ルーナ=シューベルトを想起させるのに、魔術、それも光属性の魔術をたくみに操っていたものだから、世間は彼をルーナの生まれ変わりだと騒ぎ立てていた。…性格はこれ以上ないほど悪かったが。

 それに、光属性でも特に月の光との親和性が高く、月光に照らされるその姿は伝記に描かれるルーナさながらだった。

 それだけじゃない。あのアルスは闇属性を操るリュークと共鳴をしていたのだ。







 ルーナの生まれ変わり、光属性、共鳴…。


 僕のよく知るアルスは文字通り"最強"で怖いものなしだった。



 そんなアルスを小さいころから周囲の人たちは無条件にちやほやするものだから、傲慢に拍車がかかり性格は"最悪"
そのものだった。
 何か少しでも思い通りにいかないことがすぐに癇癪を起し、気に入らない人がいると徹底的に排除する。同じ光属性を扱い良い意味でも悪い意味でも目立っていた僕は例にもれずその対象だった。私物を隠されたり壊されたりは当たり前、大けがを負わされそうになったり脅迫まがいのことも多々受けてきた。
 最初はその1つ1つにとまどい、かなりの苦痛を受けていたが、回を重ねていくうちに彼の本日が見え始め、それら全てが精神的な幼さゆえの行動であることに気づいてから、だんだんと彼を憐れむようになった。



 しかし、そのわがままも夏祭りで僕が誘拐されたことで大きく変わってくる。厳密にいえば、リュークが覚醒してからだ。リュークの覚醒により、なぜかアルスとの共鳴は解消され、さらにアルスの様々な悪行が露呈し、それまで蝶よ花よともてはやされていたアルスは断罪へと追いやられてしまう。


 …まぁ、いろんなことが変わっちゃった今回では断罪なんて起こるはずがないだろうけど…。


 ただ、このままラストを迎えるのはかなり不安だ…。確かめたいことが多すぎる。なんとなくリュークさんとの共鳴は今回も健在であるっぽいけど、月の光との相性がね…。
 呪いがあるから相性最悪なんだろうけど、そもそも親和性があるんだろうか?いろいろ変わりすぎてる今回だからあるともないとも言い切れない…。それが分かればひとまず安心なんだけど…。


 何か確かめる方法ないかな…?












 …。


 



 …月の光にさえ当たらなければいいんだよね…?
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