君の瞳は月夜に輝く

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幕開け

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「…じゃあ、私そろそろ帰るわ。友達との約束があるの。」
「あ、いっけね、俺先生にこの後呼ばれてんだった…。俺も行かないと…。」
「僕もだ…。じゃあ、いったんここで解散だね。あ…、ねぇ、思い出したことがあるんだけど…。」
「どうしたのテオ君?」
「えっとね、誘拐事件に関係あるかわからないんだけど、夏祭り行くこと知ってた人物でさ、そういえばアルに夏休みの予定聞いてた人いたな…って。」
「え、誰?」
「えっとね、たしか…シェフラー=リュックザイテさん…?あのコシュート人の…。」
「あいつか!?やっぱり…、怪しいと思ってたんだよ!」
「とうとう正体現したわね…。アルもなんで言わなかったのよ!あんな奴に自分の予定教えちゃったこと!」
「え、だって、なんだか違う気がして…。」
「でも、言っちゃったから誘拐されたんでしょ!?もうちょっと危機感持ってよ!」
「ごめん…。」
「今後一切あいつに近づかないこと!話しかけられても無視しなさい!!」
「む、無視って…。」
「返事は?」
「…はい…。」
「じゃあ、私たちは行くから!ソーン君、護衛の人、くれぐれもよろしくお願いしますね!」
 そう言って、リーンとシン、テオ君は行ってしまった。

 シェフラーさん...。そういえば、誘拐犯の人達が話してた言葉って......。いや、まさかね...。






 ソーン君(と護衛の人たち)と寮の方まで戻っている途中、ソーン君は何か考え事をしているのか、僕が話しかけてもどこか上の空だった。…ソーン君の考えている表情ってちょっと怖いんだよね…。



「あ、アルスさん!」
 そんな時、急に後ろから声がかけられた。振り返ると、まさかのシェフラーさんが立っていた。

「シェフラーさ…。」僕が名前を呼ぼうとしたその瞬間、
「なんの用でしょうか?」と、ソーン君が僕とシェフラーさんの間に割って入ったかと思えば、護衛の人たちもそれに倣って僕を囲むように立っていた。
 …さすが護衛…。みんな反応が早い…じゃなくて、これじゃあ何も見えないよ…。ソーン君がシェフラーさんと何か話してるみたいだけど、全く聞こえないし…。



 しばらくした後、終わったのか護衛の人たちもいつもの位置についていて、気づけばシェフラーさんはいなくなっていた。


「シェフラーさん、何の用事だったの?」
「あぁ、『誘拐の話聞きました。大丈夫でしたか?』だって。白々しい…。」
「そっか…。」
「それに、誘拐あった日何してましたか?って聞いたら、『その日はたまたま風邪をひいていて寝てました。』だって。それで、それを証明する人はいますか?って聞いたら『あれ、私、もしかして疑われてます?』だって!!そうに決まってんじゃん!!」
「ま、まぁまぁ…。それで、いたの?照明する人。」
「いたよ。下宿先のオーナー。看病してくれてたんだって。」
「じゃあ、主犯じゃないかもしれないね。」
「甘い!アリバイなんてどうとでもなるし、それにちょうど誘拐の日に風邪ひくって都合がよすぎない!?怪しすぎるよ…。実行犯とか主犯でないにしろ、絶対に何かしら関与してるって!!」
「…そうなのかな…。」


 うーん、どうしもて僕はそうは思えないんだよな…。なんでだろう…。



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