君の瞳は月夜に輝く

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幕開け

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 待ちに待った王都の夏祭り! 

 鮮やかに彩られた食べ物、おいしそうな匂いを漂わせる露店、派手なパフォーマンスで行きかう人々の目を引く大道芸人…。
 かつてない大盛況ぶりを目のあたりにして興奮が抑えきれない…!!
 






「リリーシュ殿下生誕の効果もあって、いつもよりかなり人が多いんだな。」忌々しげな表情を浮かべながら言うお兄ちゃん。
「特に最終日だから、店側も張り切ってるわね。さっきから呼び込む声がうるさいくらいだし…。」耳を塞ぎながらいうリーン。
「あ、あそこの焼き貝食べたい!!」露店を指さしながら言うソーン君。
「リンゴ飴おいしそう~!!」それにつられる僕。
「匂いがやばいな…。食欲そそられる…。」お腹をさすりながら言うシン。

 みんなと夏祭りに来れて僕、嬉しいな...!!!!!







 王都に着いたのが昼過ぎだったこともあり、みんな食べ物のことしか頭にない。

「おなか空いたわね。とりあえずあそこでご飯を食べよっか。」お母さんはそう言って少し大きめな食堂を指さした。


 鷲が彫られている木製の大きな扉を開けて中に入る。食堂の中も人があふれかえっていたが、何とかみんなが座れるようなスペースを見つけてメニュー表を開く。





「俺決めた!」
「僕も決まったよ。アルは何食べるの?」
「う~ん、僕こういうところ来たことなかったからな…。何がおすすめ?」初めて見るメニュー名の羅列にあたふたしてしまうな…。
「アルの好きそうなのだと…、このパスタとかかな…?チーズ入ってるけど、クセがないし食べやすいと思う!あと個人的なおすすめだと、このステーキかな…?ついてくるソースが美味しいんだよね…。」
「じゃあ、こっちのパスタにしよっかな…。いやでも、ステーキも美味しそうなんだよね…。……これ、決められないよ~!」










「…と、それから黄金鳥のから揚げ、マル牛のステーキ、あとはこの上に書かれている二つのピザをお願いします。あ、以上で。」
 ようやくみんな分の食事が決まり、店員さんにオーダーを伝える。お兄ちゃんがまとめて言ってくれたんだけど、なんであの量のオーダーをメニュー表なしで言えるんだろう…。あまりの多さに店員さんの顔若干ひきつってたよ…。





 オーダーを無事済ませ、水を一口飲んだとこで、ふと店内を見てみる。
 すると、恋人同士と思しき人たちが同じような指輪をしていることに気づく。

「あの指輪なんだろう?みんな同じようなのしてるけど、流行りなのかな…?」
「あぁ。あれは夏祭り限定のカップルリングね。夏祭りに来たカップルはこぞって買うくらい定番商品なのよ。」
「ふ~ん。じゃあ恋人同士だけが記念品に買ってくものなんだね。」
「それもあるんだけど…。実はこの夏まつりには気になっている人と一緒に最後の花火を見るとその恋が成就するっていうジンクスがあるの!!そこにプラスしてこの指輪をつけてると、その恋が永遠の愛に変わるっていう噂もあるの!!ロマンチックじゃない!?だからカップルだけじゃなくて、これから告白するぞ!っていう人たちも自分を励ますために買うのよ!!素敵じゃない!?」
 え~何そのジンクス!!めっちゃいいじゃん!!え、どうしよう…。僕も一応指輪とか買ってたほうがいいのかな…?


「…ジンクスだとか指輪だとか、祭りの運営が集客のために流した噂だろ?馬鹿みてぇ…。」
「え、シン…?」
「みんながみんな、永遠の愛になるわけないのにな。そのうち破局する人たちだってたくさんいるだろうに…。」
「え、え、お、お兄ちゃん…?」びっくりした、すっごい否定するじゃん…。



「何なのよこの男どもは!?全然ロマンチックじゃない!!!!!!!!」

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