67 / 99
幕開け
64
しおりを挟む「そうえばさ、お兄ちゃんカルロ殿下から夏祭りのこととか聞いてないの?」
「あぁ、特には聞いてないな…。あくまでも主役はリリーシュ殿下だし。カルロ殿下はあまり関与してないんじゃないかな…。」
「そっか…。でも、王都の夏祭り行ってみたいな。きっとすごいんだろうな…。」そう言いながら僕はこの間行った、ソーン君の地元のお祭りを思い出す。
王都だもん。きっともっと豪華なんだろうな…。
「僕、最終日に行ってみたいな。」
「あぁ、花火があるからか?でも、花火は夜にあるんだぞ?」
「ふふん。それがね最終日の夜は新月なんだよ?だから、もしかしたら僕も花火を見れるかもしれないんだよ!」
「そうなのか?」
「うん。だって僕確認したもん、だから…」あれ?あの子…。
「ん?どうした、アル?」
「あ、ううん!何でもない。知り合い見つけたと思ったんだけど、見間違いだったみたい。」
「そうか。」
気のせいかな…。さっきテオ君がいた気がしたんだけど。見失っちゃったみたい…。
観客席に行き、上級部門の人たちの試合を見る。やっぱり上級と言われているだけあって、動きが洗練されている。というか、昨日の初級、中級部門の人たちに比べて、かなり見ごたえがあり、かなり勉強になるところがある。
「毎年思うんだが、やっぱりレベルが年々上がってるよな…。これで上級か…。」
「そうですよね…。今だって、剣持っている子の動きができる人戦場でもなかなかいないですよ。」
「まだ幼いから技術が伴ってないけど、センスがあるな…。」
「しかるべき場所で鍛錬を積めばもっと化けますね…。」
えっと…。
………いつのまにカルロ殿下来たんだろう…。てっきりメルロス殿下の近くにずっといるもんだと思ってたんだけど…。なんで、ちゃっかりお兄ちゃんの隣に座ってるんだろう…。
あれ、そういえばこのスタジアムって一応王族専用の席あるよね…。なんならここから真反対のところに見えるよね。なんでお兄ちゃんの隣に座ってるんだろう…。ボディーガードさんは…一応いるのか…。あぁ、よく見たらいっぱいいるわ…。え、なんだか落ち着かないの僕だけ…?
いや、ボディーガードさんも結構そわそわしてるな…。
「そういえば、アルス君。」
「は、はい。なんでしょう…。」
「あ、いや。うちのメルロスがね今日はアルス君にかっこいい所見せるんだー!って朝からずっと言ってたんだよ。」
「そうなんですね…。」僕の先生だからかな?
「うん。だから応援してあげてね。」
「もちろんです!」
「次がメルロスの出番か…。」
結構激しい攻防戦が行われた試合が終わり、次の番号の人が入場する。メルロス殿下だ。フィールドの中央まで出て、お互いに一礼をする。
そういえば、こういう風にメルロス殿下の戦うところを見るのは初めてだな…。なんだか僕も緊張してきた…。
旗の合図とともに試合が始まる。その瞬間メルロス殿下は対戦相手に向かって走っていった。
「…なるほど、メルロス殿下も距離を詰めて戦うタイプなんですね。」メルロス殿下の試合を見ているお兄ちゃんがつぶやく。
「まぁな。メルロスは体も比較的小柄だし、瞬発力が優れているから、どちらかというとああいう戦い方を好むな。」
「そういえば、メルロス殿下言ってましたよ。遠くの距離から魔術を使うと動きがばれてよけられてしまうから、あんまりしたくないって。」
「そうだよね…。そこはかつて僕も課題としてたところだよ。」
その時、メルロス殿下が魔術を使い、ひときわ大きな音がフィールド上に響いた。
「メルロス殿下の戦い方は、相変わらず迫力がありますよね。」
お兄ちゃんの言う通り、メルロス殿下の戦い方は結構派手で、見ているこっちのほうまでが興奮するような戦い方をしている。それに、楽しそうな表情を浮かべているからか、なんだか応援したくなっちゃう。
再度、メルロス殿下がさっきのものよりも幾分か大きな音を立てながら火属性の魔術を使い、相手の降参を受けて試合終了となった。あまりにも音が大きすぎて、しばらくの間耳がキーンとなったけれども…。
「…迫力が、ありすぎますね…。殿下、今度は音を立てずに魔術を使う方法を教えたらいかがです。」
「……善処しよう…。」
0
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
僕が幸せを見つけるまで
Moon🌙.*·̩͙
BL
僕には5歳までの記憶が無い
僕は何で産まれてきたんだろう
誰も幸せになんてならないのに、
これは愛を知らずに生きてきた少年の話
これからこの少年は誰と出会い何を思うのか
この少年に幸せが訪れますように
(BのLのお話なので嫌いな方はUターンしてください)
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる