君の瞳は月夜に輝く

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幕開け

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 ようやく試験期間が終わり、今は夏休みが始まるまでのゆったりとした期間を満喫中である。厳重の監視の下で行われた試験と異様なものを見る周囲の視線から解放されたことでより満喫できている。試験の自信はかなりあるといっても過言ではない。これはもうソーン君とテオ君のおかげだ。二人には頭が上がらないし、足も向けて寝れない。

 今日も今日とてゆったりを満喫しようと思っていたところ、いつものごとくメルロス殿下に拉致…いや連れていかれて体育館に来ている。そういえば、メルロス殿下の特訓とか教えてくれたトレーニングのおかげか、武術の試験の点数もかなりよさげなんだよな…。そう考えたらこの人にも足向けて寝れないな…。いやこうやって強引に僕を引きづっていたりしてるからプラスマイナスでゼロかもしれないな…。


「お前、そういえば闘技会の申し込みはしたのか?締め切り明後日までだけど。」
「あれ、期限もうちょっと先じゃなかったですっけ…?」
「王都の祭りの関係で大会自体早まってて、それに伴ってほかも前倒しになってるんだが…。あれ、知らなかったのか?」
「知りませんでした…。え、どうしよう申し込みまだしてない…。」
「そうだろうと思って出しておいたぞ!安心しろ。」そう言いながら親指を立てるメルロス殿下。あぁ…勝手に申し込みされてた…。
「あれ、ほかも前倒しってことは大会に出れるかどうかのテストも…?」
「ああ、来週か遅くとも再来週までには開催されるだろうな…。」
「え、来週か再来週!?」…もう少し先のことだと思っていたものが急に目の前に来て、焦りが迫りくる。どうしよう…全然自信ないのに…。
「そんな顔をするな。大丈夫だ。今日はとりあえず最低限の回避の仕方を教える。あとは、ある程度の戦術も練ってきたからそれも今日教える。」



「まずは戦術だが、弓を使おうと思う。特にお前は魔術が十分に使えない。その分を弓という長距離武器で補う。俺が見た感じだと、特訓のおかげか試験という緊張をしている中でも安定して弓を引くことができていたし、邪魔をされながらでもできていたから…あとは激しい動きをしながらでも引けるように特訓だな…。」
 あ~、なんか授業とか試験でも弓を構えてるのに脇腹くすぐられたり、視界の妨害をされたり…すごいちょっかいかけられていたけど、あれ、一応特訓だったんだ…。すんごい邪魔だったけど…。
「んでだ、弓を使うなら相手とそれなりに距離をとることができる。もし間合いを取られそうになったら、容赦なく引け。」
「え、それって大丈夫なんですか…?かなり危険な気が…。」
「大丈夫だ。一応参加者は全員防具をつけるし、危なかったら大人たちが止めてくれる。それに相手もそれなりに強いから飛んでくる弓を避けるか防いでくるはずだ。そうなれば相手が気を取られているすきにとにかく相手と距離をとれ。距離を取れたらたいていの攻撃は防げるが、問題は遠くから魔術を使われた時だ…。今日はそういうときの回避法を教える。」

 おぉ…!戦術とか動き方が具体的で明確になっただけですごく安心する…!



 大体の魔術には詠唱や発動させるための動きなど、予備動作があるからそれと実際の魔術を照らし合わせてよけ方を覚えろという言葉の基、特訓が始まる。
 覚えろと言われたからてっきり最初は座学とかなのかと思ったらいきなり本物の魔術を使った実践が始まっていた。よけるので精一杯で覚える暇なんてない!しかも時折アドバイスをくれるんだけど、『そこはヒューンっていってバーンだ!』とか『前にビョーンと行くと見せかけて後ろにドーンだ!』とかどっちかというと感覚よりのものでむしろ分かりにくくなっている。

 特訓の終わりごろになると体中が悲鳴を上げていて、すでに筋肉痛が始まっていた。
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