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幕開け
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しおりを挟む「まず闘技会には、初級・中級・上級・最上級の4部門があって、老若男女幅広くいろんな年齢の人たちが参加するけど、部門は単純な『強さ』によって分けられるんだ。」そう言いメルロス殿下は黒板にそれぞれの部門を書いていく。
「学年や年齢で分かれているわけじゃないんですね…。」
「あぁ。だから初級部門に大人が出ることもあれば、まれに最上級部門に子供が出ることもあるんだ。で、その強さは測定テストによって測られるんだ。」
「測定テスト、ですか…?」
「申し込みから本番前日のどこかで受けさせられるテストなんだが、そもそも大会に出れる基準値を満たしているか、そこからどれくらいの強さなのかを測られる。」
「はぁ…。」
「んで、そのテストで一定の値を超えると少し制限がかかってくるんだ。」
「さっきの大会出れるかの基準値とは違うんですか?」
「違うぞ。さっきの基準値はいわゆる最低ラインのことだが、この一定の基準はどちらかというと上限だな。ほら、あまりにも最強がすぎると話になんないし、そんなの観る方も面白くないだろ?だから、その値を超えたら大会内のルールに制限をかけて、力の差とかを調整するんだ。例えば、魔術も武術も強すぎるから、初級の魔術しか使ったらだめ、とかな。」
「あ、もしかしてロストさんの特別ルールですか?」
「そう!それだ!あいつなんかは特に騎士団で鍛えられているから、その点でほかの人より動き方は分かっているし、魔術・武術の素質も実力も十分にあるから何かしらの制限が必要なんだ。」
「でも、それだけ強い人が大会に参加してもいいんですか?」
「大丈夫だぞ。特に最上級部門ならな。ほかの部門よりもとにかくレベルが違うし、毎年魔術省や騎士団とかからスカウトマンが見に来て、そこから魔術師になる人もいるくらいだからな。むしろ、最上級部門に出る人はそれを狙って出る人も多くいるくらいだしな…。そういう人たちにとっては闘うっていうよりも自分の実力をアピールする場になるな。だから最上級部門の試合はなかなか見ごたえがあるぞ。あとは…そうだな…。あ、賞品が豪華らしいぞ。前回は優勝者は海外旅行券とかもらってたし、あとはフェリシテの優待券とか武具店の商品券とかあったかな。まぁ、負けたとしても参加賞として何かしらもらえるし、損はしないと思う。」
ほぉ…フェリシテの優待券か…。それは少し興味があるな…。
「一応申込用紙だけ渡しておく。さっきも言ったようにお前は武術の素質はあるから今からみっちりトレーニングをすれば、ある程度の勝率は見込める。それに闘技会はいろんな人が参加するから、友達を作るチャンスにもなる。どうせお前のことだ、友達なんていつもの3人と俺以外いないんだろ?せっかくならそれきっかけに人脈でも広げたらいい。」
友達を作るチャンスか…。それ、いいな…。もしかしたら闘技会で武術友達とかできるかもしれないって事だよな…。めちゃくちゃいいじゃん...!
て、あれ?さっき僕の友達の中にさりげなくメルロス殿下いなかったか…?き、気のせいだよな…。
申込用紙をもらい、体育館を出たところで近くにソーン君がいることに気づく。
「あ。ソーンく…ん?」
声をかけようとしたけど、隣に誰かがいることにも気づいた。気づいた瞬間何でかは知らないけど、二人からは見えないように物陰に隠れてしまった。条件反射ってやつかな…。
ん、あれは、カイルさんじゃないか…!なんでソーン君といるんだろう?
「こ...テストで…。」
「ほぅ、なかなやるじゃ…。」
「ありがとう...あのご褒美とかって…。」
「...な、じゃあなんでも...。」
「それなら...。」
うーん。少し距離があるから二人の会話が所々聞きにくいな。…けど、ソーン君のその嬉しそうに頬を染めている感じといい、この胸がきゅんとするような雰囲気といい…。前に読んだ本でこんなのあったな…。
わ!わ!今!!頭、ぽんぽんってされて!
…あ!それそれ!その赤くなる顔!!しかもソーン君の口元!にやけが隠しきれてない!!
...思い出した!!これ、前に読んだ恋愛小説だ…!!それに出てきた表現が一言一句この光景にあって…い、て…。あれ…?
...あれれ...?
.........これ、もしかしてのもしかしてだけど…。ソーン君ってカイルさんのこと…す、きだったりする?
…?え…?…ん?
…や!気のせい気のせい!!そんな、すきだなんてそんな!!まったくもう!いくらいい雰囲気だからって!!僕ったら本の読みすぎだぞ!!
...けど、楽しそうに話してるところはね!邪魔しちゃ悪いし!!何より生徒会の話とかしてるかもだから!僕はこのまま静かに帰ろっかな!うん!!そうしよう!
僕は何も見なかった!
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