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幕開け
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満月の日が過ぎても体には異変はなく、無事に満月を乗り越えた僕は今日もいつも通りの学園生活を送っている。
だけど、ふとした瞬間にリュークさんに会った日のことを思い出してしまい、授業にはなかなか集中できないでいるし、気が付けば足が庭園のほうに向かっている。そろそろ夏休み前の試験が近いのに、このままではまずいぞ!!
そんなことを考えながら今日もガゼボに行く。でも今回はちゃんと教科書を持って行ってるから大丈夫!!
歩道を横切って庭園に入ろうとしたとき、何やら言い争っているような声が聞こえた。慌てて物陰に隠れて様子を探る。少し背の低い男の子が4人の生徒に囲まれていた。
「お前、商人の分際でこの学園に来ていいと思ってんのか?」
「そうだぜ、ちょっとお金持ちだからって調子に乗りやがって。」
言い争っていると思っていたが、どうやら一方的なようだ。もしかして、いじめられてる…?
囲まれているせいでよく見えないけど、隙間から真ん中の子の肩が震えているのが分かった。助けなきゃ…!大丈夫、前回もうまくいったんだから、今回も行けるはず!!
「君たち、道をふさいで何をしているのかな?」
「あ、アルス様!?クソッ、し、失礼しました!」4人の生徒はそそくさと逃げていく。
あれ、意外とあっさり解決したな…。これって、もしかして、僕にも貴族としての威厳が出てきたのでは…?
「大丈夫?」僕が声をかけると、いじめられていた子がうつむいていた顔を上げた。
あ、かわいい…。
ソーン君とはまた違った可愛らしい顔に見とれていると、その顔がクシャと歪み、目には大粒の涙が溜まり始めた。
「…落ち着いた、かな…?」
「…はい…。ご迷惑をおかけして本当にすみません…。」
「迷惑なんて思ってないよ!落ち着いたならよかった。」
あんなに泣くなんて本当に怖かったんだろうな…。涙は止まったが、まだ目元はほんのり赤い。
「…あの、アルス様、ですよね…?」
「うん、そうだけど…。」
「やっぱり!あの、公爵の、シューベルト家の!アルス様ですよね!!うわぁ、本当にすみません…。」
「だから、気にしないでって!その調子だと、もう大丈夫そうだね。」
「あ、本当だ。ありがとうございます。」
「いえいえ。そういえば、君名前はなんていうの?」
「テオです。テオ=リーレン。」
「リーレン…。ここではあまり聞かない名前だね。」
「僕、その、親が商売を営んでまして、いろんな土地を転々としていて…。生まれはこの国じゃないんです。」
「そうなんだ。いろんな土地行ったことあるのいいね。僕も海外行ってみたいな~。あ、1年生って言ったよね。」
「はい。」
「同い年だ!!授業って何とっているの?」
「歴史学とか古語学とかですかね…。あ、あとは心理学の概論とか。」
「え、僕もその授業とってる!じゃあさ、この後の歴史学の授業一緒に受けない?」
「いや、僕なんかがおこがましいですよ!」
「そんなことないって!それに一人より二人で授業受けたほうが退屈しないし!ね!一緒に受けよ!!」
「本当にいいんですか?どうしよう、とっても嬉しいです!!僕教科書を取りにいかないとだから先に行きますね。」
そう言ってテオ君は走って行ってしまった。かわいかったな…。
「アル?何してるのこんなところで。あの子は?」
「ソーン君!授業もう終わったの?」
「うん、少し前にね。それよりあの子は誰なの?」
「あ、さっき友達になった子!テオ=リーレンって言って同い年なんだけど、知ってる?」
「テオ=リーレン?知らないな…。今までいたかな。」
「とってもいい子なんだ!次の授業一緒だからって、あ!もう授業始まっちゃう!ソーン君僕行くね!!」
「う、うん!気を付けてね!」
僕はテオ君が待っている教室へと急いだ。
だけど、ふとした瞬間にリュークさんに会った日のことを思い出してしまい、授業にはなかなか集中できないでいるし、気が付けば足が庭園のほうに向かっている。そろそろ夏休み前の試験が近いのに、このままではまずいぞ!!
そんなことを考えながら今日もガゼボに行く。でも今回はちゃんと教科書を持って行ってるから大丈夫!!
歩道を横切って庭園に入ろうとしたとき、何やら言い争っているような声が聞こえた。慌てて物陰に隠れて様子を探る。少し背の低い男の子が4人の生徒に囲まれていた。
「お前、商人の分際でこの学園に来ていいと思ってんのか?」
「そうだぜ、ちょっとお金持ちだからって調子に乗りやがって。」
言い争っていると思っていたが、どうやら一方的なようだ。もしかして、いじめられてる…?
囲まれているせいでよく見えないけど、隙間から真ん中の子の肩が震えているのが分かった。助けなきゃ…!大丈夫、前回もうまくいったんだから、今回も行けるはず!!
「君たち、道をふさいで何をしているのかな?」
「あ、アルス様!?クソッ、し、失礼しました!」4人の生徒はそそくさと逃げていく。
あれ、意外とあっさり解決したな…。これって、もしかして、僕にも貴族としての威厳が出てきたのでは…?
「大丈夫?」僕が声をかけると、いじめられていた子がうつむいていた顔を上げた。
あ、かわいい…。
ソーン君とはまた違った可愛らしい顔に見とれていると、その顔がクシャと歪み、目には大粒の涙が溜まり始めた。
「…落ち着いた、かな…?」
「…はい…。ご迷惑をおかけして本当にすみません…。」
「迷惑なんて思ってないよ!落ち着いたならよかった。」
あんなに泣くなんて本当に怖かったんだろうな…。涙は止まったが、まだ目元はほんのり赤い。
「…あの、アルス様、ですよね…?」
「うん、そうだけど…。」
「やっぱり!あの、公爵の、シューベルト家の!アルス様ですよね!!うわぁ、本当にすみません…。」
「だから、気にしないでって!その調子だと、もう大丈夫そうだね。」
「あ、本当だ。ありがとうございます。」
「いえいえ。そういえば、君名前はなんていうの?」
「テオです。テオ=リーレン。」
「リーレン…。ここではあまり聞かない名前だね。」
「僕、その、親が商売を営んでまして、いろんな土地を転々としていて…。生まれはこの国じゃないんです。」
「そうなんだ。いろんな土地行ったことあるのいいね。僕も海外行ってみたいな~。あ、1年生って言ったよね。」
「はい。」
「同い年だ!!授業って何とっているの?」
「歴史学とか古語学とかですかね…。あ、あとは心理学の概論とか。」
「え、僕もその授業とってる!じゃあさ、この後の歴史学の授業一緒に受けない?」
「いや、僕なんかがおこがましいですよ!」
「そんなことないって!それに一人より二人で授業受けたほうが退屈しないし!ね!一緒に受けよ!!」
「本当にいいんですか?どうしよう、とっても嬉しいです!!僕教科書を取りにいかないとだから先に行きますね。」
そう言ってテオ君は走って行ってしまった。かわいかったな…。
「アル?何してるのこんなところで。あの子は?」
「ソーン君!授業もう終わったの?」
「うん、少し前にね。それよりあの子は誰なの?」
「あ、さっき友達になった子!テオ=リーレンって言って同い年なんだけど、知ってる?」
「テオ=リーレン?知らないな…。今までいたかな。」
「とってもいい子なんだ!次の授業一緒だからって、あ!もう授業始まっちゃう!ソーン君僕行くね!!」
「う、うん!気を付けてね!」
僕はテオ君が待っている教室へと急いだ。
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