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幕開け
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いよいよ満月の日が来てしまった。気絶して以来初めての満月だから、自分でも呪いの影響を大きく受けて体調崩したりするんじゃないかなって思っていたけど、驚くほど安定してる。手足も震えたりしないし、体調も悪いどころかむしろすこぶる元気だ。朝ごはんだっていつもはそんなに食べれないけど、今日はたくさんおかわりしちゃったくらいだし。
本当に、今日満月の日だよね…。日付ずれているとかないよね…。
でも、いくら安定しているとはいえ、一応今日は満月なわけだし、今回もいつも通り自分の部屋にこもっている。ただ部屋にこもるだけだと退屈するだろうからってシャーマール先生が持ってきてくれた本を読んで今日は過ごそうと思う。見た感じ魔術に関する本ばかりで覚醒について書かれた本も何冊かある。あれ、リカードさんについて書かれた本もたくさんある…。今まで魔術が使えないからって読んでこなかったけどこれを機に読んでみようかな。
一日は長いし、とりあえず近くにあった一冊を手に取った。
本を読み始めてしばらくすると、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ。」
誰だろう…?
「おはよう、アル。体調はどうだ?」お兄ちゃんだ。
「今日はなんだか平気。大丈夫。」
「…そう、みたいだな…。……今日って満月だったよな…。」
「だと、思うけど。」
そういってお兄ちゃんは顎に手をやり、なにか考え事をし始めた。
…てっきり、先月ひどかった分、今回は軽いのだと思っていたけど、違うのかな…。
しばらくしてお兄ちゃんは僕に、
「満月になる前、誰かに何かされたか?」
「え?」僕は思わず聞き返す。
「いや、ここのところ満月の日が近いのに、ずっと魔力とか体調が安定的なのを不思議に思っていたんだ。さすがに当日は少し荒れると思っていたんだが、これじゃまるで満月の日じゃないみたいだ。いくら前回がひどかったとはいえ、これは安定しすぎな気がする。きっと何かしらの要因があるはずなんだが…。」
『誰かに何かされたか?』と聞かれても、思い当たる節がない。めちゃくちゃ偉大な魔術師から聞いたこともないような魔術を受けたとかならまだ分かるけど、そんなことなかったし。
「誰にも何もされてない、と思う。」
「そうか…。ならいいけど…。」
ふと、お兄ちゃんの視線がシャーマール先生が持ってきてくれた本にとまる。
「アル、こんな本持ってたか?」
「それは、シャーマール先生が持ってきてくれたものだよ。昨日来てくれたでしょ?その時、退屈するだろうからって何冊か貸してくれたんだ。」
「魔術の本は読まないのだと思っていたが…。覚醒も知ってるのか?」
「うん。昨日教えてもらった。」
「ん?リカード=フォルストの覚醒についての本もあるのか?ちょっと待て、これ、人気ありすぎてなかなか手に入らないやつだぞ!しかも初版!?初めて見た…。」そう言って目をキラキラさせながら本を読み始める。
珍しく興奮してる…。それもそうか。お兄ちゃんリカードさんの大ファンで戦闘時の動き方とか真似ているくらいだからな…。
「そういえば、お兄ちゃん今日の予定は?」
「今日は一日何もないからアルといるつもりだ。」
「え、今日一日?」
「もちろん。ここには面白そうな本もあるし。」
…まぁでも、ずっと一人でいるよりお兄ちゃんといたほうが安心するもんね。
本当に、今日満月の日だよね…。日付ずれているとかないよね…。
でも、いくら安定しているとはいえ、一応今日は満月なわけだし、今回もいつも通り自分の部屋にこもっている。ただ部屋にこもるだけだと退屈するだろうからってシャーマール先生が持ってきてくれた本を読んで今日は過ごそうと思う。見た感じ魔術に関する本ばかりで覚醒について書かれた本も何冊かある。あれ、リカードさんについて書かれた本もたくさんある…。今まで魔術が使えないからって読んでこなかったけどこれを機に読んでみようかな。
一日は長いし、とりあえず近くにあった一冊を手に取った。
本を読み始めてしばらくすると、部屋の扉がノックされた。
「どうぞ。」
誰だろう…?
「おはよう、アル。体調はどうだ?」お兄ちゃんだ。
「今日はなんだか平気。大丈夫。」
「…そう、みたいだな…。……今日って満月だったよな…。」
「だと、思うけど。」
そういってお兄ちゃんは顎に手をやり、なにか考え事をし始めた。
…てっきり、先月ひどかった分、今回は軽いのだと思っていたけど、違うのかな…。
しばらくしてお兄ちゃんは僕に、
「満月になる前、誰かに何かされたか?」
「え?」僕は思わず聞き返す。
「いや、ここのところ満月の日が近いのに、ずっと魔力とか体調が安定的なのを不思議に思っていたんだ。さすがに当日は少し荒れると思っていたんだが、これじゃまるで満月の日じゃないみたいだ。いくら前回がひどかったとはいえ、これは安定しすぎな気がする。きっと何かしらの要因があるはずなんだが…。」
『誰かに何かされたか?』と聞かれても、思い当たる節がない。めちゃくちゃ偉大な魔術師から聞いたこともないような魔術を受けたとかならまだ分かるけど、そんなことなかったし。
「誰にも何もされてない、と思う。」
「そうか…。ならいいけど…。」
ふと、お兄ちゃんの視線がシャーマール先生が持ってきてくれた本にとまる。
「アル、こんな本持ってたか?」
「それは、シャーマール先生が持ってきてくれたものだよ。昨日来てくれたでしょ?その時、退屈するだろうからって何冊か貸してくれたんだ。」
「魔術の本は読まないのだと思っていたが…。覚醒も知ってるのか?」
「うん。昨日教えてもらった。」
「ん?リカード=フォルストの覚醒についての本もあるのか?ちょっと待て、これ、人気ありすぎてなかなか手に入らないやつだぞ!しかも初版!?初めて見た…。」そう言って目をキラキラさせながら本を読み始める。
珍しく興奮してる…。それもそうか。お兄ちゃんリカードさんの大ファンで戦闘時の動き方とか真似ているくらいだからな…。
「そういえば、お兄ちゃん今日の予定は?」
「今日は一日何もないからアルといるつもりだ。」
「え、今日一日?」
「もちろん。ここには面白そうな本もあるし。」
…まぁでも、ずっと一人でいるよりお兄ちゃんといたほうが安心するもんね。
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