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幕開け
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学園に復帰してからしばらくは、相変わらずお兄ちゃんたちの見守りの目は厳しいことを除いて、何もない日々が続いた。そして、いよいよ最初の試験が近づき、学園は一気に勉強ムードになり休憩時間でも勉強をしている人たちをよく見かけるようになった。僕はソーンくんのノートやほかの人たちの助けで今のところ試験勉強は完璧だけれど、それでも休憩時間も勉強をしているクラスメイトを見ていると、少し不安になってくる。
今日も授業が終わり、空いてる教室でいつものようにみんなと勉強をしている。
「うわー、全然頭に入ってこね~。」なぜか眼鏡をかけているシンが読んでいた教科書を置きながら言った。
「集中力がないからでしょ。さっきからおんなじ所ばっか読んでるしね。」
「もう休憩にしようぜ!そういえばさ、知ってる?新入生歓迎会の賞品。」
「あぁ、シュークリームでしょ。最近人気のお店の。」さすが情報網が広いリーン、何でも知ってる。
「フェリシテだっけ。僕のお父さんがよくそこでスコーン買ってくるんだよね。他のお菓子もおいしかったし。よくお世話になってるよ。」
「フェリシテのシュークリームだったの?え~それは食べたかったな…。」シュークリームを頬張るソーンくん、似合うな…。
「個人的に食べに行けばいいじゃない。アルの家がお世話になってるんなら、割引きくかもよ?」
「じゃあ、試験終わったら食べに行くのはどう?僕食べに行ったことないからちょっと気になってるんだよね。」ソーンくん、パフェとかも似合いそう。
「お、いいじゃん。と思ったけど無理だな。フェリシテって街中にあるだろ。アルの親がなんていうかな…。」
「そっか、それじゃあアル置いていこう。」あれ。ソーンくん?そんな冗談言う子だったっけ?
「ソーンくんそれはひどくない!?僕も食べに行きたい!」
「ほら、三人ともそろそろ口じゃなくて手を動かしたら?」
「え~まだいいじゃん。ていうかリーン何見てんの?」
「過去の試験問題よ。仲のいい先輩にもらったの。人脈ってこういうときに使わないとでしょ。」
「え、ずりぃ。俺もそれほしい。」
「あなたは、まず教科書読み込めるようになるところからね。」
「え~。」
ふと、リーンの持っていた試験問題とは違うものが目に入る。それは、個々の持つ魔力量の限界についての質問だった。試験問題なんて初めて見るはずなのに、「あ、この問題この年も出てたんだ。」て考えていた。あれ、どこかで見たかな…。お兄ちゃんの部屋で見たのかもしれない。
そんなことを考えていると、後ろから声がかかる。
「あ、アルスさん!教室にいらしたんですね!」あれ、この声は…。
「シェ、シェフラーさん?」振り向くと、前に見た時と変わらない微笑みを浮かべたシェフラーさんがいた。立ち上がって挨拶をしようと思ったけれど、それを妨げるかのように三人が僕の前に立っていた。
「外国人が何の用だ。」とどすが利いた声でシンが、
「勉強の邪魔をしにいらしたのかしら。」と口端を上げながらリーンが、
「何しにここに来たんですか?」とシェフラーさんを睨みながらソーンくんが言った。
「ちょっと、三人とも落ち着いてよ!」僕は慌てて立とうとするがそれも止められる。
「挨拶にと思ったのですが、勉強中でしたか…。お邪魔になるようなのであれば、また後日伺います。」
「そんな全然お邪魔になんて…。」
「挨拶ってなんですか?」ソーンくん、顔が怖い…。
「アルスさんが倒れたと伺いしまして、お加減のほうはいかがですか?」
「その挨拶にしては遅くないですか?」
「そうね、時間が経ちすぎな気がしますけれど?」
「それはすみません。実は新入生歓迎会のあった日の前後で少し家のほうに用事がありまして、コシュート国のほうに帰っていたのです。そのうえ、用事が思いの外長引いてしまい、帰ってきたのが遅くなってしまったのです…。ここについた時に倒れたと伺ったので、挨拶が遅れてしまいました…。すみませんアルスさん。」
「そうなんですね。大変でしたね…。僕はもう大丈夫ですからお気になさらずに。」
「それはよかったです。こちらお見舞いの品と言っては何ですが、城下町にあるフェリシテというスイーツ専門店をご存じでしょうか?そちらのお店の詰め合わせを持ってきました。甘いものお好きだったでしょうか?」フェリシテの詰め合わせ?うわ、すごいタイミングだ。
シェフラーさんは微笑みを絶やさずにたくさんのお菓子が入った箱を手渡そうとした。僕はそれを受取ろうとするけれど、その前にソーンくんがその箱を払いのけてしまった。あぁ、お菓子が…。
「あなたの本当の目的は何ですか?」ソーンくん一体どうしちゃったんだろう…?今日、なんだかすごく怖い…。
「ソ、ソーンくん?お、落ち着いて。すみませんシェフラーさんいつもはこんな…。」そう言いながらシェフラーさんのほうを振り向く。
一瞬、シェフラーさんの顔がひどく歪んだ。ような気がした。
「あぁ、いえ大丈夫ですよ。やっぱりまだ信用されてないようですね。すみません、出直してきます。それではアルスさん、また。」一度瞬きをした後、シェフラーさんの顔にいつもの微笑みが浮かんでいることを確認し、やっぱりあれは見間違いだったのだと確信する。
シェフラーさんが去ったあと、僕は三人に囲まれる。
「いくら優しそうだからって、気を付けないと!相手はあのコシュート国の人なのよ!」
「それにアルは公爵家だから命狙われるかもしれねーんだ。用心しろって!」
「ご、ごめん…。でも、シェフラーさんお菓子持ってきてくれてたし…。」ちらと、落ちちゃったお菓子たちをみる。
「それだけで、信用しちゃうの?アルってすぐ誘拐されちゃうタイプ?」
「そうよ!アルは人が良すぎる!それにそのお菓子だって何が入ってるのか分からないのよ?」
「は、入ってるって、なにが…?」
「毒とか入ってるかもしれねー。さっきも言ったけど、アルはこの国の公爵なんだ。」
「毒とか、そんなこと…。」
「アル、とにかく気を付けて。相手はあのコシュート国の人間なんだ。」ソーンくんのいつにもまして真剣な顔で言われると何も言えなくなる。
やっぱりみんなコシュートから来た人を良く思ってないのかな…。今日のソーンくんなんてシェフラーさんの一挙一動に反応していた気がするし。仲良くできないのかな…。
今日も授業が終わり、空いてる教室でいつものようにみんなと勉強をしている。
「うわー、全然頭に入ってこね~。」なぜか眼鏡をかけているシンが読んでいた教科書を置きながら言った。
「集中力がないからでしょ。さっきからおんなじ所ばっか読んでるしね。」
「もう休憩にしようぜ!そういえばさ、知ってる?新入生歓迎会の賞品。」
「あぁ、シュークリームでしょ。最近人気のお店の。」さすが情報網が広いリーン、何でも知ってる。
「フェリシテだっけ。僕のお父さんがよくそこでスコーン買ってくるんだよね。他のお菓子もおいしかったし。よくお世話になってるよ。」
「フェリシテのシュークリームだったの?え~それは食べたかったな…。」シュークリームを頬張るソーンくん、似合うな…。
「個人的に食べに行けばいいじゃない。アルの家がお世話になってるんなら、割引きくかもよ?」
「じゃあ、試験終わったら食べに行くのはどう?僕食べに行ったことないからちょっと気になってるんだよね。」ソーンくん、パフェとかも似合いそう。
「お、いいじゃん。と思ったけど無理だな。フェリシテって街中にあるだろ。アルの親がなんていうかな…。」
「そっか、それじゃあアル置いていこう。」あれ。ソーンくん?そんな冗談言う子だったっけ?
「ソーンくんそれはひどくない!?僕も食べに行きたい!」
「ほら、三人ともそろそろ口じゃなくて手を動かしたら?」
「え~まだいいじゃん。ていうかリーン何見てんの?」
「過去の試験問題よ。仲のいい先輩にもらったの。人脈ってこういうときに使わないとでしょ。」
「え、ずりぃ。俺もそれほしい。」
「あなたは、まず教科書読み込めるようになるところからね。」
「え~。」
ふと、リーンの持っていた試験問題とは違うものが目に入る。それは、個々の持つ魔力量の限界についての質問だった。試験問題なんて初めて見るはずなのに、「あ、この問題この年も出てたんだ。」て考えていた。あれ、どこかで見たかな…。お兄ちゃんの部屋で見たのかもしれない。
そんなことを考えていると、後ろから声がかかる。
「あ、アルスさん!教室にいらしたんですね!」あれ、この声は…。
「シェ、シェフラーさん?」振り向くと、前に見た時と変わらない微笑みを浮かべたシェフラーさんがいた。立ち上がって挨拶をしようと思ったけれど、それを妨げるかのように三人が僕の前に立っていた。
「外国人が何の用だ。」とどすが利いた声でシンが、
「勉強の邪魔をしにいらしたのかしら。」と口端を上げながらリーンが、
「何しにここに来たんですか?」とシェフラーさんを睨みながらソーンくんが言った。
「ちょっと、三人とも落ち着いてよ!」僕は慌てて立とうとするがそれも止められる。
「挨拶にと思ったのですが、勉強中でしたか…。お邪魔になるようなのであれば、また後日伺います。」
「そんな全然お邪魔になんて…。」
「挨拶ってなんですか?」ソーンくん、顔が怖い…。
「アルスさんが倒れたと伺いしまして、お加減のほうはいかがですか?」
「その挨拶にしては遅くないですか?」
「そうね、時間が経ちすぎな気がしますけれど?」
「それはすみません。実は新入生歓迎会のあった日の前後で少し家のほうに用事がありまして、コシュート国のほうに帰っていたのです。そのうえ、用事が思いの外長引いてしまい、帰ってきたのが遅くなってしまったのです…。ここについた時に倒れたと伺ったので、挨拶が遅れてしまいました…。すみませんアルスさん。」
「そうなんですね。大変でしたね…。僕はもう大丈夫ですからお気になさらずに。」
「それはよかったです。こちらお見舞いの品と言っては何ですが、城下町にあるフェリシテというスイーツ専門店をご存じでしょうか?そちらのお店の詰め合わせを持ってきました。甘いものお好きだったでしょうか?」フェリシテの詰め合わせ?うわ、すごいタイミングだ。
シェフラーさんは微笑みを絶やさずにたくさんのお菓子が入った箱を手渡そうとした。僕はそれを受取ろうとするけれど、その前にソーンくんがその箱を払いのけてしまった。あぁ、お菓子が…。
「あなたの本当の目的は何ですか?」ソーンくん一体どうしちゃったんだろう…?今日、なんだかすごく怖い…。
「ソ、ソーンくん?お、落ち着いて。すみませんシェフラーさんいつもはこんな…。」そう言いながらシェフラーさんのほうを振り向く。
一瞬、シェフラーさんの顔がひどく歪んだ。ような気がした。
「あぁ、いえ大丈夫ですよ。やっぱりまだ信用されてないようですね。すみません、出直してきます。それではアルスさん、また。」一度瞬きをした後、シェフラーさんの顔にいつもの微笑みが浮かんでいることを確認し、やっぱりあれは見間違いだったのだと確信する。
シェフラーさんが去ったあと、僕は三人に囲まれる。
「いくら優しそうだからって、気を付けないと!相手はあのコシュート国の人なのよ!」
「それにアルは公爵家だから命狙われるかもしれねーんだ。用心しろって!」
「ご、ごめん…。でも、シェフラーさんお菓子持ってきてくれてたし…。」ちらと、落ちちゃったお菓子たちをみる。
「それだけで、信用しちゃうの?アルってすぐ誘拐されちゃうタイプ?」
「そうよ!アルは人が良すぎる!それにそのお菓子だって何が入ってるのか分からないのよ?」
「は、入ってるって、なにが…?」
「毒とか入ってるかもしれねー。さっきも言ったけど、アルはこの国の公爵なんだ。」
「毒とか、そんなこと…。」
「アル、とにかく気を付けて。相手はあのコシュート国の人間なんだ。」ソーンくんのいつにもまして真剣な顔で言われると何も言えなくなる。
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