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幕開け
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「結構人いるんだな。」
「そうだね。あれ、リーンは?」
「あ、なんかさっき、知り合い見かけたみたいであっちの方にいるよ。」
「さすがだな…。」
新入生歓迎会当日、集合場所の講堂前に行くとかなりの数の人がすでに集まっていた。案の定周りのみんなは僕たちのことを遠巻きに見ていた。だけどそれは初めだけで、ソーンくんがいるおかげか徐々に人が近寄ってきて、僕にも話しかけてくれた。初めて、知り合いじゃない同級生と楽しい会話ができて、朝から悪かった体調もテンションが上がって元気になってきた気がする。
会話、楽しい…!!
みんなとの会話はすごく楽しく、いつの間にか開始時間になっていた。ざわざわしていたのが徐々に静かになり、前のほうを見てみると講堂の入り口に生徒会長である兄が立っていた。今日の歓迎会の概要を話しているだけなのに、絵になる。周りの人たちも「かっこいい…。」とか「顔がきれい…。」とか言っている。兄のことなのになんだか誇らしい。
…でも、気のせいだろうか…。兄がずっとこっちを見ている気がする…。
「…なぁ、アランさんずっとアルの方見てない?」
「それ、僕もずっと思ってた。やっぱりアルの方見てるよね?」
気のせいじゃなかったみたい…。
歓迎会の説明が終わり、宝探しのルール説明に移る。
「君達には近くにいる人と何組かの班に分かれてもらった。手元の地図を見てもらいたい。それはこの学園全体を表している。実は今この学園の至る所に点数が書かれた板を設置している。君達にはその点数の書かれた板を見つけてもらい、見つけた点数と場所を別の紙に書いてもらう。ちなみにこれは団体戦だ。必ず班員全員と行動をしてもらう。別れて行動しているのを見かけた時点でその班は失格になるから気をつけるように。」
地図はそこそこ大きく、やっぱりこの学園は広いのだなと思う。今まで行ったことも見たこともないような場所が沢山ある。
「なんとなく分かっていると思うがこれは結構な距離を歩く。いくら景品がかかっているとはいえ、絶対無茶をするな。他の生徒会役員や上級生を色んな所に立たせているから、何かあれば近くにいる人に伝えるように。」
最後のほうは僕のほうをより一層見ながら念押しするように言った。僕は首を強く縦に振る。
「ちなみに制限時間は3時間だ。まぁ、無理のない程度に頑張れ。それでは始めてくれ。」そう宣言し、兄は誰かに目配せをしたような気がしたけれど、その視線の先には誰もいなかった。
「景品ってもしかして点数の合計が1番大きい班が貰えるってことなのかな?」
「俺はそうだと思ってる。」
「場所と点数を正確に書かないと失格になりそうだよね。」
「確かに。」
「そういえば、景品ってなんだろうね?」
「お菓子って誰かが言っていた気がするな。」
数時間しか参加できないとはいえ、やっぱりみんなで参加するゲームは楽しい。一緒の班になった中には今まで話したことのないような人達もいるけれどみんな優しく、とても話しやすい。それにシンとリーンとソーンくんもいるから話題が絶えず出てきて今まで以上に会話が弾んでいる。
そんなみんなと地図を見ながらあっちじゃない?これっぽくない?と相談しながら数字の書かれた板を次々に見つけていく。隠された場所の難易度はそこそこ難しいが、頭のいいソーンくんが大活躍し、テンポよく進んで行っている気がする。勘のいいシンもどこからか情報を仕入れてきたリーンも活躍していて僕たちの班は序盤にして既に、そこそこの点数を稼いでいる。この調子で順調に行くと思っていたのだが...
あれ、なんだろうさっきから背中にすごい圧を感じる…。
どうやらソーンくんも気付いていたみたいで、2人でそっと後ろを見ると、神経質にあれこれ注意をしているカイルさんがいた。どうやら尾行しているようで、僕たちが見ていることに気付けば、ピタッと説教を止め何事もなかったように物陰に隠れ始める。あれで尾行ができているつもりなのだろうか?なんだか心配になってくる…。
「もしかしてカイル様着いてきてる…?」
「そうみたい。ばればれだけど。」
「お兄さんが頼んだのかな?」
「恐らく…。カイルさん乗せられやすいから…。」始まるときお兄ちゃんが目配せをしていたのはカイルさんだったのか…。
僕たちは顔を見合わせて、何も見なかったふりをする。
「そうだね。あれ、リーンは?」
「あ、なんかさっき、知り合い見かけたみたいであっちの方にいるよ。」
「さすがだな…。」
新入生歓迎会当日、集合場所の講堂前に行くとかなりの数の人がすでに集まっていた。案の定周りのみんなは僕たちのことを遠巻きに見ていた。だけどそれは初めだけで、ソーンくんがいるおかげか徐々に人が近寄ってきて、僕にも話しかけてくれた。初めて、知り合いじゃない同級生と楽しい会話ができて、朝から悪かった体調もテンションが上がって元気になってきた気がする。
会話、楽しい…!!
みんなとの会話はすごく楽しく、いつの間にか開始時間になっていた。ざわざわしていたのが徐々に静かになり、前のほうを見てみると講堂の入り口に生徒会長である兄が立っていた。今日の歓迎会の概要を話しているだけなのに、絵になる。周りの人たちも「かっこいい…。」とか「顔がきれい…。」とか言っている。兄のことなのになんだか誇らしい。
…でも、気のせいだろうか…。兄がずっとこっちを見ている気がする…。
「…なぁ、アランさんずっとアルの方見てない?」
「それ、僕もずっと思ってた。やっぱりアルの方見てるよね?」
気のせいじゃなかったみたい…。
歓迎会の説明が終わり、宝探しのルール説明に移る。
「君達には近くにいる人と何組かの班に分かれてもらった。手元の地図を見てもらいたい。それはこの学園全体を表している。実は今この学園の至る所に点数が書かれた板を設置している。君達にはその点数の書かれた板を見つけてもらい、見つけた点数と場所を別の紙に書いてもらう。ちなみにこれは団体戦だ。必ず班員全員と行動をしてもらう。別れて行動しているのを見かけた時点でその班は失格になるから気をつけるように。」
地図はそこそこ大きく、やっぱりこの学園は広いのだなと思う。今まで行ったことも見たこともないような場所が沢山ある。
「なんとなく分かっていると思うがこれは結構な距離を歩く。いくら景品がかかっているとはいえ、絶対無茶をするな。他の生徒会役員や上級生を色んな所に立たせているから、何かあれば近くにいる人に伝えるように。」
最後のほうは僕のほうをより一層見ながら念押しするように言った。僕は首を強く縦に振る。
「ちなみに制限時間は3時間だ。まぁ、無理のない程度に頑張れ。それでは始めてくれ。」そう宣言し、兄は誰かに目配せをしたような気がしたけれど、その視線の先には誰もいなかった。
「景品ってもしかして点数の合計が1番大きい班が貰えるってことなのかな?」
「俺はそうだと思ってる。」
「場所と点数を正確に書かないと失格になりそうだよね。」
「確かに。」
「そういえば、景品ってなんだろうね?」
「お菓子って誰かが言っていた気がするな。」
数時間しか参加できないとはいえ、やっぱりみんなで参加するゲームは楽しい。一緒の班になった中には今まで話したことのないような人達もいるけれどみんな優しく、とても話しやすい。それにシンとリーンとソーンくんもいるから話題が絶えず出てきて今まで以上に会話が弾んでいる。
そんなみんなと地図を見ながらあっちじゃない?これっぽくない?と相談しながら数字の書かれた板を次々に見つけていく。隠された場所の難易度はそこそこ難しいが、頭のいいソーンくんが大活躍し、テンポよく進んで行っている気がする。勘のいいシンもどこからか情報を仕入れてきたリーンも活躍していて僕たちの班は序盤にして既に、そこそこの点数を稼いでいる。この調子で順調に行くと思っていたのだが...
あれ、なんだろうさっきから背中にすごい圧を感じる…。
どうやらソーンくんも気付いていたみたいで、2人でそっと後ろを見ると、神経質にあれこれ注意をしているカイルさんがいた。どうやら尾行しているようで、僕たちが見ていることに気付けば、ピタッと説教を止め何事もなかったように物陰に隠れ始める。あれで尾行ができているつもりなのだろうか?なんだか心配になってくる…。
「もしかしてカイル様着いてきてる…?」
「そうみたい。ばればれだけど。」
「お兄さんが頼んだのかな?」
「恐らく…。カイルさん乗せられやすいから…。」始まるときお兄ちゃんが目配せをしていたのはカイルさんだったのか…。
僕たちは顔を見合わせて、何も見なかったふりをする。
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