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Renの記憶

again 〜霧〜

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Kouとの出会い、そして碧い蜜刻。
両親の手による狂育。
JiJi への調教と別離。
短期間で無理矢理に異世界に引き摺り込まれたRen。
その全てを手放したはずのRenは深い記憶の底に何を見つけどこに向かうのか…


鍵を握る女Junの行動によりRenの頭と身体はスクラップアンドビルドを繰り返し、より淫美な世界を構築して行く。




コン×3回 ノックの音に続き

「調子はどうだい? Ren」

静かな病室にキーの高い、それでいて少し掠れた声が響きました。
リハビリを終え自販機で買ったスポーツドリンクをがぶ飲みしている僕はその姿勢のまま声の方向を見ました。

『誰?』

小柄に見えたそのbald headのスーツの男性の後ろからJunが姿を現し二人が並んだ瞬間男性の身長が思ったより低くは無い事が分かりました。

「リハビリご苦労様Ren君。今お時間大丈夫ですか?」

Junの聴き慣れた声に僕は笑って答えました。

「はい。僕は大丈夫ですよ」

その返事を聞いて男性が満足そうに頷きながら

「あのチビがこんなに…」

その人は深く目を閉じもう一度僕を見て

「こうして見ると怪我人には見えないな、老ぼれの私の方が怪我人の様だ。なあJun君」

「そんな事はありません。5階の病室まで階段でいらっしゃるのですから。しかもエレベーターの私より先に着いているなんて」

「ハッハッハ!私はせっかちでエレベーターを待つ時間も惜しいのだ」


『この人は5階まで階段で来たのか?そう言えば眉毛はかなり白いものが混じっているのに息も切れてないな』


「Ren君、ご紹介が遅れました。こちらがお父様に会社を譲られ会長職につかれました…」

「Jun君、Renはまだ記憶が曖昧なんだろう?私や会社の事は追々話して行けばいい」

説明をしていたJunの肩に手を添えその人が言いました。そして続けて

「Renさっきも言ったが私はせっかちでね、今のお前に事細かに説明をする事は無いと考える。お前が欲しいであろう情報を伝えよう」

そう言って僕の前に立ちいくつかの情報をくれました。

①身体が完治するまで(経済面を含め)この病院に入院していられる事。
②退院後は以前暮らしていた家(現在祖父母が所有)に戻れる事。
③学校に通える事。
④祖父母には別宅がある為に月の半分は留守になる事。
⑤Junは住み込みでRenの家の全ての面倒を見るが店を任されている為そちらでの仕事中は家を空ける事。
⑥Renが18歳になるまで生活を保障してくれる事。
⑦この先の判断は全て自分自身が行う事になるが報告や相談はJun、そして祖父母に必ずする事。
⑧失った記憶に関しては状況に合わせ情報のパーツ(事実だけ)を提供してくれる事。

を約束してくれました。
僕は充分に満足し恵まれていると感じました。何より装飾の無い的を得た説明のおかげで心の中の不安部分が消えていました。
そしてしばらく僕のリハビリの状況などを話しその内容に驚いたりアドバイスをくれたりして緊張も解れた頃でした。

「邪魔をしたね、良くなったら一緒に飯を食おう。私はタクシーで先に戻る、Renもまだ質問もあるだろう。Jun君は残って後を頼むよ」

「はい、そう言う事でしたら。では車までお送りします」

「いや、私は一人で大丈夫だ。家までの道もまだ覚えているよ」

そう言って僕に向かって片目をつむり出口に歩き出しました。Junが後に続きます。

「あのっ、僕は…僕はあなたを何と呼べばいいのでしょうか?」

スーツの紳士は立ち止まってこちらを振り返り

「フッ、お前は私の孫だぞ。なら普通『じいちゃん』だろ?」

そう言って再び廊下を歩き出した背中に向かって僕は

「あ、ありがとうございます」
「ありがとう…じいちゃん。気をつけて」

廊下に響く僕の大声に驚く看護師を後目に今度は立ち止まる事なく片手を上げてじいちゃんはやはり階段に消えました。

「素敵なおじいさまですね」

「うん」

背中のJunの声に僕は階段を見つめたまま答えました。

その後Junとベッドに並んで座りいくつかの質問と今後の簡単なスケジュールを打ち合わせました。途中でJunがこの病室に来てから飲み物一つ口にしていない事に気づいた僕は最上階の喫茶ルームで続きの話をする事を提案しました。彼女はニコリと笑うと僕の手を取って立ち上がりました。


Junに手を握られるたびに、正確には身体のどこかに触れられるたびに僕の胸は少しザワつきます。小さな顔や細い指が僕の好みではありましたがそう言った感情より深いところでザワつくのです。もっと言えば抱きしめたい様な壊してしまいたい様な…
そんな気持ちを見透かされない様にするのにひと苦労でした。

喫茶ルームにはもう既に西日が差し込み入口からは窓際のテーブルに日が反射し眩しくて奥が見えないほどでした。
僕達はあえてその光の中に入り込み窓ガラスを背にして並んで席に着きました。
こちら側からは部屋の様子が良く見て取れました。中途半端な時間なのか客数もまばらで静かな店内でした。
ウェイトレスが気を利かせブラインドを下げようとするのをJunが優しく断り僕はバニラアイスをJunはアイスジンジャーを注文しました。

注文の品を置いて戻るウェイトレスの綺麗な脚を眺めているとJunが笑顔で

「女性には興味がありますか?」

僕はスプーンからアイスを股間に落としてしまい慌てて

「え?あっ、うん。いや…」

立ち上がろうとする僕を押さえJunは持っていたハンカチでアイスを拭き取ってくれました。
動揺を隠せない僕を見てJunは楽しそうに

「美しい女性、綺麗な女性、色っぽい女性、言い方は様々ですがそれらに興味が湧く事は恥ずかしい事ではありません」

「うん、まあ…」

「どうしました?何か…」

「そうなんだけど…何て言えばいいのかなぁ、軽蔑しないで欲しいんだけど」

Junは首を傾げてそれでも尚微笑みを絶やさずに言いました

「私には何でも相談、いえ、話てくれていいんです。あっ、それでは今からRen君のご家族がいないところではラフな言葉…そう"タメグチ"って事にしましょう」

「タメグチ? いいの?」

「はい、同級生だと思って下さい」

スプーンを握る僕の手にJunは両手を重ねて来ました。そしてその手を自分の胸に引き寄せたので僕の手はJunの柔らかい胸に触れました。彼女は下着を着けていませんでした。
慌てて手を引くとJunは視線をアイスが落ちて汚れた場所に移してハンカチでそこを拭き取り始めました。
僕は優しく動くJunの手の動きに反応して小さく呻き声を上げました。

「うっ あぁ」

ハンカチを握るJunの手を押さえると彼女は平然と

「早く拭き取らないとシミが残っちゃうよ。私に任せて」

口元に笑みを浮かべて僕の手を退けると数枚のペーパーナプキンをコップの水で湿らせてジャージの中に滑りこませて来ました。

「!!」

僕は辺りを見回しながら

「Jun まずいよ」

「大丈夫、周りからは逆光でこの席は見えないはず。Renが声を上げて騒がなければね」

Junが楽しそうに僕を見て言いました。

「こうやって下にナプキンを当てて上からハンカチで…」

ポンポンと軽く叩き始めました。その度にナプキンを押さえるJunの手の甲が僕の半立ちになった肉棒を刺激します。
『やばい!』そう思いましたが声も上げられず変に身をよじるのも人目を引くと思い自分の手の甲を噛み声を殺す事しかできませんでした。

「パンツは大丈夫?」

そう言ってジャージを下げられ覗き込んで来るJunの頭を思わず僕は両手で押さえつけてしまいました。

「うっぷ」

テーブルの下からJunの声がしました。
僕の硬くなった肉棒がJunの口を塞いでいました。

「あっ ご、ごめん」

僕は慌ててJunの頭から手を離しジャージを掴み辺りを見回しながら引き上げました。Junは僕の完全に硬くなった肉棒を顔色ひとつ変えずジャージの上から握りながらテーブルの下から頭を出しました。その目には今までに見た事の無い怪しく淫質な光が見て取れました。それはほんの一瞬の事でしたがそれが僕の中の何かを強く刺激し軽い目眩を起こしていました。

『この目 初めてじゃない…』

「あれ?」

『僕はこの目を知ってる』

すると今度は僕の身体に自分の身体をピッタリと寄せてゆっくりと肉棒を掴む手を動かし始めました。僕は恥ずかしさよりも危険なドキドキを感じ不思議な気持ちでJunの手を見ていました。
そして大胆にも僕はJunのブラウスの中に手を入れました。Junは抵抗もせず澄ましているので僕は張りのある乳袋を揉みながら『妙に手にフィットするなぁ』などと考えていました。僕の指が乳首を挟むと

「あゥ うふん」

耳触りのいいJun声が僕の耳元ですると柔らかい舌が僕の耳に絡み着いてきました。
僕は小さく身体を痙攣させると

「直に触って」

とJunに頼んでいました。彼女は満足そうに微笑みスルリと手を滑り込ませると僕の肉棒の付け根から亀頭に向かい数カ所で爪を立てて来ました。その爪が食い込む度に僕は腰を浮かべ小さく声を出してしまいます。するとJunは低い声で

「Ren 今から声を出すな」

「え?」

「返事は」

「は、はい」

僕の肉棒を掴んだ手に力が加わりました。Junは店内を行き来するウェイトレスの動きを目で追いながらテーブルの下に隠れる肘から先の運動スピードを上げました。『うぉ! くうぅ』僕は辛うじて声を抑えました。

『あぁもう出る』
『皆んな見て る?』
『見られている』
『あぁゾクゾクする』
『なぜ?  記憶が…』

俯いて拳を握った時ウェイトレスがテーブルの横を通り過ぎました。その瞬間…
Junの爪が僕の肉棒のカリに食い込みました。
『フグぅぅー』身体に電気が走りテーブルに爪を立てて僕は快感に耐えていました。

ビクビクと痙攣する肉棒から決して大きくは無いJunの手の中に大量の液が噴き出されました。彼女はそれをこぼさぬ様に受け取り手を素早く引き抜くとその液を溶けかけたバニラアイスに垂らしました。そして僕の目の前でベトベトになった指を広げて見せると液を掬い取るように指に赤い舌を這わせその舌で僕の唇を舐めました。そして広げた手を自分の乳袋に擦りつける様にして拭き取りました。ヌラヌラと光るJunの胸を見ながら僕は、僕の萎えた肉棒を見ながらJunは一口づつ交互にそのバニラアイスを口に運びました。



「Jun ごめん 汚しちゃった」

ハンカチで僕の肉棒を拭いてくれているJunに申し訳無さそうに言いました。するとその後自分の指を拭いたハンカチを仕舞いながらJunは

「そう、この匂い」

と聞こえないほど小さな声で言いました。





『さっき感じたあの感覚は何だろう?見られているかも、いや見られていると思った時にこそ感じた あの感覚』

Junは無言で僕を見ていました。

『匂いって言った?それは何の事?』

記憶を手繰ろうとすると必ず現れる霧がまるで僕を守っている様にも感じていました。そして喫茶ルームを後にしてエレベーターに向かう廊下でJunは僕の手を握り

「まだ迷っているのね…」

そう言ったのです。
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