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第一話 月夜の晩に

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「努力なんて下賤なことをして、やっと得たような
能力をだ。あたかも自分本来の能力に見せかけようなど。あさましい。しかも、しれーと何食わぬ顔で。そのコソ泥の性根が救えない」

月夜の晩に神さまはお怒りだ。
今日は満月🌕

キヨは自分が悪いことをしたとは少しも思っていなかった。神さまに怒られるまでは…

努力することは良いことだと教わってきた。だから筋肉をつけたり、記憶力のトレーニングのしたり、歌の練習をしてきた。成果があれば褒められた。努力を疑ったことはない。

「いやいや、まだわかっとらんな。いいか、努力は下賤であさましい行為だ。しかし悪いとは言っとらん。やりたければやれば良い。いくら努力したところで背中から翼が生えるて来るわけじゃないからな。できることはたかが知れとる。わしが言っとるのは、おまえが生まれつき与えられた能力と後から努力して得た能力をごちゃまぜにしようとしたからだ。それはおまえ自身が一番よく知っておるじゃろ」

たしかに思い当たる。努力の結果か、最近走るのが速くなったり、急に物覚えがよくなった。これを元々そういう人間なんだと思いこもうとし、そう振るまっていた。理由らしい事はある。上の学校に進学したことだ。周りのクラスメイトが変わった。新しい自分をデザインするチャンスだし、変わりたいと思った。今までの弱い自分では心細かった。

それが悪いことだったなんて…

「おまえを責めている訳ではないんじゃ。それで大けがをした人間を何人も知っている。立ち直れればいいんじゃが、みんなが立ち直れるわけじゃないからな」

キヨはなんだか優しい気持ちになった。
これが神さまかあ。
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