降ってくる

イマカ

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第12話

竹富家の大ばあさん

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社用車に戻ると携帯電話が鳴った。
「青木さん?」
営業所からだ。
「今日の午前中に薬箱引き上げになったお客さんいたでしょう?そう、竹富さん。あのお宅がやっぱり薬箱を置いておいてほしいと連絡がありました。大ばあさんがどうしても、という事らしいです。くれぐれも失礼のないようにお願い致します」
いい事は続くものだ。車のエンジンをかけると、エアコンからゴォーという音とともに、カビ臭い冷風が吐き出された。窓を全開にして、白いアルトは田んぼを横切り農道を急いだ。

「たびたびすみません。置き薬ですが」
さっきの元気なおばあさんだ。
「薬屋さん、悪いわね。うちの大ばあさんがどうしてもって、言うから」
大ばあさんとは誰だろう。会ったことはなかった。さっさと薬箱を置かせてもらって帰ろうとした。
「今、来ますから。ちょっと待ってくださいね」

しばらくすると、元気なおばあさんの背後から小さな影がゆっくりとこちらに向かって来る。背中が丸まって顔が見えない。とにかく大きな声であいさつをした。耳が遠いと思ったからだ。
「この度はありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」
挨拶をしている間も、ゆっくりだが確実に動きつづけ、小さな影は大きな座布団にちょこんと座った。



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