上 下
18 / 104

17 優しく優しく

しおりを挟む
「あの…お茶しかないけどいい?適当に座っててね」

「ありがと、それでさっきの話なんだけど…」

なんだか聞くのに緊張する。
誤魔化しじゃなかったらいいな…なんて思ってしまう。

「あれは俺の妹だよ、今度会う?」

「へっ…??い、妹…???」
一気に恥ずかしくなる。
僕アレンの家族相手にそんな執着してた???

「言ってなかったっけ、妹いるの。ジェレミーもしかしてヤキモチ妬いてたのー!かわいー!あはははは!!!」

「そそそんな!!ヤキモチなんかじゃない…よ!!」
ダイレクトにヤキモチなんて言われたら一気に赤面してしまう。
目が泳ぐ僕をじっと見つめるアレン。

「逃げられて寂しかったから首絞めて犯しちゃおうとか閉じ込めちゃおうとか思ったけれど…今日は優しくしてあげる」

「ちょっ…優しくって…?今?何???」

一緒にいた女の子の事が気になって完全にそんな事頭から抜けていた…
この人危ない人だった。

「ジェレミー、こっちむいて?」
呼ばれて反射的にアレンの顔を見る。

バサッと思い切り飛びかかるように抱きつくアレン。

「わっ!アレン…?!」

「可愛い…俺のジェレミー…!!ねぇ好きだよ…」
ぎゅぅっと抱きしめる力を強めて僕の唇をペロッと舐めてくる。

「ひぇっ…!!ヤダヤダぁっ…!!離してっ…!」
僕が拒絶すると一瞬だけ悲しそうな顔をするアレン。

「やだなぁ…今日は酷い事するつもりないって。いつもみたいに無理やりしないから怯えないで…」

優しい声で囁くアレン。
しかし僕を抱きかかえる手の力は緩めようとはしない。

やめてと言いながら暫く暴れて抵抗していたが、アレンは愛おしそうに逃がさないように僕を強く抱きしめるだけで何もしてこなかった。

「大丈夫…怖がらないで…?」

本当に…優しくしてくれるのだろうか?
恐る恐るではあるが抵抗する事を辞めてみる。

「アレン…?」

「ジェレミー…少しこのままで居てもいい…?」
僕をぎゅっと抱きしめたままアレンが言う。

吐く息がなんだか震えて早くなる。
心臓がドキドキして弾けそうで、アレンに気づかれてしまわないか不安になる。

「ジェレミーに好かれてない事くらい知ってるけれど…今日だけ恋人っぽくしてよ。俺に好きって言いながらぎゅってして。」

「そんな無茶……」

「やっぱり俺じゃ嫌…?俺に好き好き言いながら甘えてきてくれたらキス以上の事はしないであげても良いんだよ?泣いて嫌がる顔も好きだけど、たまにはこういうジェレミーも見たいよ」

犯されなくて済むの…?

「どうしても…あれんが言うなら……わかった…」
答えるのがすごく恥ずかしくて下を向いてしまう。

「ジェレミー…ありがと、今日は一晩中優しく可愛がってあげるから…」
頬にキスを落としながら髪をくしゃっとするように僕の頭を撫でてくるアレン。

「うん…」
恐る恐るゆっくりとアレンをぎゅっと抱きしめる。
この時これが罠だったのも気付けなかった。

「ジェレミー、キスしてもいいかな…?」
僕の頭を撫でながら優しい声で誘うアレン。

動揺してオドオドする僕の返答を待たずにアレンはキスをした。

でも…いつもの乱暴なやり方じゃない。
僕の様子を伺いながらゆっくり侵入してくる。
いつものやり方だとこのまま犯される流れなので反射的に身体がビクッと跳ね上がる。
そうすると僕の頭を撫でながら浅い所で舌を止める。

ちゅっ…ちゅ…
んっ…ふぁっ……んちゅっ…

優しくされてもやっぱり怖い……
ピチャピチャと唾液の音と恐怖心から零れる僕の声が部屋に反響する。

「ジェレミー…怖い…?」

「怖い……」

「俺は…すごく気持ちいいよ…」
そんな言葉を吐くもののキスを止めるアレン。

「じゃあジェレミーが俺にキスしてね。俺の上に乗ってそうすれば怖くないでしょ?ベッドいこ?」

しばらく沈黙した後、僕はゆっくり頷く。
甘い罠に嵌ってしまったのでこの後は酷い目に遭う事になるのはこの時の僕は想像もしていなかった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した

Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。

生意気な少年は男の遊び道具にされる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...