21 / 46
本気を出し始める頃かもしれない
魔法基礎・実技部門の先生ができました
しおりを挟む
倒れていたダークエルフを教会に運び込んでから三日後、いつもと変わらず朝食をとり終え、二人分の食器を片付けようと椅子から立ち上がった。
「ハイシア」
「ん?」
教会で見事に腰を痛めた村長が、普段よりもゆっくりとした動きで立ち上がり、口元をへの字に曲げて開いた。
「この後シーアラ殿がお見えになる」
「え、なんで?」
私の問いかけに、村長は更に機嫌を悪くする。
「例のダークエルフの事だそうだ」
ああ~、と、呑気に納得してしまう。
村長の機嫌が悪い原因は、ダークエルフがこの村にいる事だ。
姿が見えなくても、この村にいるというだけで気が気でないんだろうし、シーアラの態度も気に食わなかったのかもしれない。
「わかった」
あのダークエルフについて、何かわかった事でもあるのだろうか。
それとも、実は既に魔族の軍門に降っていましたとか、そんな話なんだろうか。
そこまで考えて、背筋がぞっとした。
まさか村長も同席で、ランの話をし出すつもりなんだろうか。ダークエルフから聞きだした情報をもとに、魔王討伐へ行けとかそんな話をし出すんだろうか。
「どうした、さっさと片づけをせんか」
「は、はーい」
村長に促されて、朝食で使った食器を手に持って台所へと運び出す。
食器を持つ手が、震えていた。
食器を片付け終えた頃、シーアラが、ダークエルフを連れてやってきた。
クリーム色の髪の毛は倒れていた日に比べるとさらさらとしている。
目は紅いが、焦点があっているのかと聞きたいほどぼんやりとしている様に見えた。
褐色の肌に、クリーム色の髪の毛も、紅い瞳もよく映える。
シーアラよりも背は低いが、成人男性と同じくらいの背丈だと思う。
やはり、ぼーっとしてても見た目だけは相当良い。絶世の美男子だ。
シーアラの隣にダークエルフ、村長の隣に私と、対面形式で座る。
村長がダークエルフに、まるで不審者でも見るかのような視線を向けると、シーアラがそれに一喝する様に、村長を一睨みした。
村長、雷親父二級保持者の威厳がゼロである。蛇に睨まれたカエルとは、まさにこの事だ。
「彼は魔族の軍門には降っていない。よって、ハイシア、貴様の魔法基礎の教師とする」
ダークエルフが魔法基礎の教師…。
教師として連れてこられたという事なんだろうが、生徒を前にしてもぼんやりと、どこを見ているかわからない状態である。
「今の先生はどうなんの?」
口をぱくぱくとしている村長に変わって私が質問をすると、シーアラは、いつもの氷柱の様な視線を私に向けた。
「あれは座学だろう。彼は魔法基礎の実技を貴様に教える事になる」
つまり、座学と実技、両方をやっていきなさいという事らしい。
ランの話しを村長の前でするわけではなさそうで、気付かれないよう、ほっと胸を撫でおろした。
「最新の鑑定用紙では、肉体戦術、および、体力の面は成長している状態を記録している。しかし、貴様の本来の特質は、その振り切れている魔力だ。貴様の年齢的にも魔力の実技にとりかかって良い時期にきている」
年齢的な時期、とは。
そう言えば、と、メイが話していたことを思いだす。
赤ん坊のころから魔力を使い放題使っているとコントロールが出来なくなる、と。
つまり、コントロールを教えだす適年齢というのがあって、私はちょうど、その時期らしい。
どうりで、今まで教科書でしか魔法の勉強をしてこなかった訳だ。
「場所は軍の施設の一部を提供しよう」
確かに広場でやるには危険だし、訓練所は肉体戦術の稽古をする兵士が多くいる。森で訓練を行えば、魔族に奇襲と勘違いされかねない。
淡々と説明するシーアラは、村長を空気の様に扱い、村長は口を挟む隙を与えてもらえなかった。
「まあ、私は良いんだけど…」
「なんだ、不服か」
「いや、不服というか、さっきからぼーっとしてるみたいなんだけど、大丈夫なの?」
彼、とダークエルフを指さす。
やはり何処を見ているかわからない。
ぼーっとした様子で、私とシーアラが話している内容も耳に入っているのかすら疑問だった。
シーアラは、「問題ない」とだけ口にする。
私に指をさされたダークエルフの目が、ようやく、私にゆっくりと向いた。
「お前の魔力は、俺のそれと、よく似てる。お前、エルフの血、流れてるのか?」
なんとも拙い言葉遣いだった。
どこか野生から来たのかと聞きたくなるほどだが、言葉が全く通じないわけでもない。
「まあ…お母さんがエルフだって」
「エルフ、人間、混血か」
「うん、そうなる」
「混血、どんな変異あるか、わからない。大丈夫なのか」
彼の言葉に、私ではなく村長が、腰を痛めているはずなのに勢いよく立ち上がる。
村長は顔を真っ赤にしていた。
目が吊り上がって、ダークエルフを睨みつけると、空気を思いきり吸い込んだ。
「大丈夫なものがあるか!こやつは昔、魔物の言葉がわかると宣いおったわ!それこそが変異以外の何物でもないわい!」
ごろごろぴしゃーん!と激しい落雷の様な怒りだが、昔ほど怖くはない。
それどころか、私は顔を真っ赤にして怒鳴り散らす村長に冷めた視線を送った。
ダークエルフも、シーアラも、村長の怒りに対して驚くことも、恐れた様に怯える姿も見せなかった。
「魔力が引き出せれば、魔法基礎、問題ない。出来るように、なる」
何事もなかったかの様に口にするダークエルフに、村長は更に顔を赤くするが、それ以上言葉が出てくる事はなかった。
悪い大人であるシーアラは、前髪を崩していないから反応していないだけで、多分、これが勤務時間外モードだったら笑いを堪えていたかもしれない。
「魔力に歪みや濁りがないかの確認をしたかっただけの様だな」
前言撤回。やっぱり悪い大人だった、シーアラ。
村長にトドメの一撃を放ったシーアラに、村長は座ることも忘れて固まっていた。
「魔法なんてサイレントとかステルスとかしか使った事ないから、そういうのは分かんないんだけど」
「何?」
冷徹だったシーアラの眉が微かに動き、私に視線を向ける。
一瞬それにヒヤッとして、嫌な汗が出てきそうだった。
「あー、あー!昔!昔の話だから!ちょっとサボろっかなーって思った時に使ってただけだから!今は使ってないしサボってないから!っていうか前に言った事あるじゃん!」
だからお咎めはなしにして!と慌てて両手を顔の前でふる私に、シーアラは一瞬、村長に視線を向けた。
「そうか」
そして、やはり何事もなかったかの様に普段のシーアラに戻ったものの、ぽつりと、「やはり自覚がないのか」と呟いたのを、私は聞き逃さなかった。
「魔法基礎、訓練、する。俺で、いいか?」
「っていうか、シーアラがそうするって言うんだったら良いんじゃない?村長だって、わざわざ王都に新しい先生の配置依頼出す必要もなくなるんだし」
どんな先生が来るのかまったくわからないよりはマシというものだろう。
決定権は私ではなく村長とシーアラにあるため、二人に視線を向ける。
村長に関しては未だ固まったままなので、この際回答を待つことをやめたらしく、シーアラが大きく頷いた。
「では本日より、魔法基礎の訓練を開始する」
「はーい」
シーアラの一声で、彼は私の魔法基礎・実技部門の先生になったわけである。
三人揃って椅子から立ち上がると、私は彼に片手を差し出す。
ダークエルフは、差し出された手を不思議そうに眺めた。
「よろしく。私、ハイシアっていうの。あんた、名前は?」
「俺は、リオン」
ぼんやりとはしているが、コミュニケーションはちゃんと出来る。
なにかしら疎いところはありそうだが、問題はなさそうだ。
ようするに、ぼんやりとした年上の先生という事だ。
リオンは私が差し出した手を、やっぱり不思議そうに見ていた。握手という行為を知らないらしい。
まあいっか、と手をひっこめた。
村長はいつになったら動き出すかな、と思ったが、結局、村長が動き出したのは、シーアラとリオンが帰った後のことである。
「ハイシア」
「ん?」
教会で見事に腰を痛めた村長が、普段よりもゆっくりとした動きで立ち上がり、口元をへの字に曲げて開いた。
「この後シーアラ殿がお見えになる」
「え、なんで?」
私の問いかけに、村長は更に機嫌を悪くする。
「例のダークエルフの事だそうだ」
ああ~、と、呑気に納得してしまう。
村長の機嫌が悪い原因は、ダークエルフがこの村にいる事だ。
姿が見えなくても、この村にいるというだけで気が気でないんだろうし、シーアラの態度も気に食わなかったのかもしれない。
「わかった」
あのダークエルフについて、何かわかった事でもあるのだろうか。
それとも、実は既に魔族の軍門に降っていましたとか、そんな話なんだろうか。
そこまで考えて、背筋がぞっとした。
まさか村長も同席で、ランの話をし出すつもりなんだろうか。ダークエルフから聞きだした情報をもとに、魔王討伐へ行けとかそんな話をし出すんだろうか。
「どうした、さっさと片づけをせんか」
「は、はーい」
村長に促されて、朝食で使った食器を手に持って台所へと運び出す。
食器を持つ手が、震えていた。
食器を片付け終えた頃、シーアラが、ダークエルフを連れてやってきた。
クリーム色の髪の毛は倒れていた日に比べるとさらさらとしている。
目は紅いが、焦点があっているのかと聞きたいほどぼんやりとしている様に見えた。
褐色の肌に、クリーム色の髪の毛も、紅い瞳もよく映える。
シーアラよりも背は低いが、成人男性と同じくらいの背丈だと思う。
やはり、ぼーっとしてても見た目だけは相当良い。絶世の美男子だ。
シーアラの隣にダークエルフ、村長の隣に私と、対面形式で座る。
村長がダークエルフに、まるで不審者でも見るかのような視線を向けると、シーアラがそれに一喝する様に、村長を一睨みした。
村長、雷親父二級保持者の威厳がゼロである。蛇に睨まれたカエルとは、まさにこの事だ。
「彼は魔族の軍門には降っていない。よって、ハイシア、貴様の魔法基礎の教師とする」
ダークエルフが魔法基礎の教師…。
教師として連れてこられたという事なんだろうが、生徒を前にしてもぼんやりと、どこを見ているかわからない状態である。
「今の先生はどうなんの?」
口をぱくぱくとしている村長に変わって私が質問をすると、シーアラは、いつもの氷柱の様な視線を私に向けた。
「あれは座学だろう。彼は魔法基礎の実技を貴様に教える事になる」
つまり、座学と実技、両方をやっていきなさいという事らしい。
ランの話しを村長の前でするわけではなさそうで、気付かれないよう、ほっと胸を撫でおろした。
「最新の鑑定用紙では、肉体戦術、および、体力の面は成長している状態を記録している。しかし、貴様の本来の特質は、その振り切れている魔力だ。貴様の年齢的にも魔力の実技にとりかかって良い時期にきている」
年齢的な時期、とは。
そう言えば、と、メイが話していたことを思いだす。
赤ん坊のころから魔力を使い放題使っているとコントロールが出来なくなる、と。
つまり、コントロールを教えだす適年齢というのがあって、私はちょうど、その時期らしい。
どうりで、今まで教科書でしか魔法の勉強をしてこなかった訳だ。
「場所は軍の施設の一部を提供しよう」
確かに広場でやるには危険だし、訓練所は肉体戦術の稽古をする兵士が多くいる。森で訓練を行えば、魔族に奇襲と勘違いされかねない。
淡々と説明するシーアラは、村長を空気の様に扱い、村長は口を挟む隙を与えてもらえなかった。
「まあ、私は良いんだけど…」
「なんだ、不服か」
「いや、不服というか、さっきからぼーっとしてるみたいなんだけど、大丈夫なの?」
彼、とダークエルフを指さす。
やはり何処を見ているかわからない。
ぼーっとした様子で、私とシーアラが話している内容も耳に入っているのかすら疑問だった。
シーアラは、「問題ない」とだけ口にする。
私に指をさされたダークエルフの目が、ようやく、私にゆっくりと向いた。
「お前の魔力は、俺のそれと、よく似てる。お前、エルフの血、流れてるのか?」
なんとも拙い言葉遣いだった。
どこか野生から来たのかと聞きたくなるほどだが、言葉が全く通じないわけでもない。
「まあ…お母さんがエルフだって」
「エルフ、人間、混血か」
「うん、そうなる」
「混血、どんな変異あるか、わからない。大丈夫なのか」
彼の言葉に、私ではなく村長が、腰を痛めているはずなのに勢いよく立ち上がる。
村長は顔を真っ赤にしていた。
目が吊り上がって、ダークエルフを睨みつけると、空気を思いきり吸い込んだ。
「大丈夫なものがあるか!こやつは昔、魔物の言葉がわかると宣いおったわ!それこそが変異以外の何物でもないわい!」
ごろごろぴしゃーん!と激しい落雷の様な怒りだが、昔ほど怖くはない。
それどころか、私は顔を真っ赤にして怒鳴り散らす村長に冷めた視線を送った。
ダークエルフも、シーアラも、村長の怒りに対して驚くことも、恐れた様に怯える姿も見せなかった。
「魔力が引き出せれば、魔法基礎、問題ない。出来るように、なる」
何事もなかったかの様に口にするダークエルフに、村長は更に顔を赤くするが、それ以上言葉が出てくる事はなかった。
悪い大人であるシーアラは、前髪を崩していないから反応していないだけで、多分、これが勤務時間外モードだったら笑いを堪えていたかもしれない。
「魔力に歪みや濁りがないかの確認をしたかっただけの様だな」
前言撤回。やっぱり悪い大人だった、シーアラ。
村長にトドメの一撃を放ったシーアラに、村長は座ることも忘れて固まっていた。
「魔法なんてサイレントとかステルスとかしか使った事ないから、そういうのは分かんないんだけど」
「何?」
冷徹だったシーアラの眉が微かに動き、私に視線を向ける。
一瞬それにヒヤッとして、嫌な汗が出てきそうだった。
「あー、あー!昔!昔の話だから!ちょっとサボろっかなーって思った時に使ってただけだから!今は使ってないしサボってないから!っていうか前に言った事あるじゃん!」
だからお咎めはなしにして!と慌てて両手を顔の前でふる私に、シーアラは一瞬、村長に視線を向けた。
「そうか」
そして、やはり何事もなかったかの様に普段のシーアラに戻ったものの、ぽつりと、「やはり自覚がないのか」と呟いたのを、私は聞き逃さなかった。
「魔法基礎、訓練、する。俺で、いいか?」
「っていうか、シーアラがそうするって言うんだったら良いんじゃない?村長だって、わざわざ王都に新しい先生の配置依頼出す必要もなくなるんだし」
どんな先生が来るのかまったくわからないよりはマシというものだろう。
決定権は私ではなく村長とシーアラにあるため、二人に視線を向ける。
村長に関しては未だ固まったままなので、この際回答を待つことをやめたらしく、シーアラが大きく頷いた。
「では本日より、魔法基礎の訓練を開始する」
「はーい」
シーアラの一声で、彼は私の魔法基礎・実技部門の先生になったわけである。
三人揃って椅子から立ち上がると、私は彼に片手を差し出す。
ダークエルフは、差し出された手を不思議そうに眺めた。
「よろしく。私、ハイシアっていうの。あんた、名前は?」
「俺は、リオン」
ぼんやりとはしているが、コミュニケーションはちゃんと出来る。
なにかしら疎いところはありそうだが、問題はなさそうだ。
ようするに、ぼんやりとした年上の先生という事だ。
リオンは私が差し出した手を、やっぱり不思議そうに見ていた。握手という行為を知らないらしい。
まあいっか、と手をひっこめた。
村長はいつになったら動き出すかな、と思ったが、結局、村長が動き出したのは、シーアラとリオンが帰った後のことである。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる
兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる