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タカシの留守電
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カンタは開いたコップに麦茶を注ぎ「ひとまず落ち着こう」と場を仕切った。
注いでくれた麦茶の冷たさが、頭にのぼった熱を冷ましてくれた。
保存されている留守番履歴は、まだ半分もある。
何が残っているのか、俺は次のメッセージを再生させた。
狂気の一夜から開けた午前8時に音声は録音されている。
電話口のタカシも、どうやら一晩寝て冷静になったのか、完全に落ち着きを取り戻していた。
『なぁ、聞いてんだろ? 何件も留守電いれたからな、電話でないだけでしっかり聞いてんだよな?』
タカシの声には疲れが見えた。
警察と木村の仲間から逃げ回りながら、一晩中依子を探していたのだろう。
掠れた声から精神的な消耗が伺えた。
『本当に俺って奴はツイてないよ。思えばお前と別れた後からずっとダメだ。何をやっても上手くいかない。仕事では先輩に小突かれ、後輩にはバカにされ、客からも文句ばかり言われてる。俺ぁ、もう本当にクソッタレだ』
留守電は、そこで一旦切れた。
録音時間を超えたのだ。
言葉の続きは、次の留守番電話へ入っていた。
注いでくれた麦茶の冷たさが、頭にのぼった熱を冷ましてくれた。
保存されている留守番履歴は、まだ半分もある。
何が残っているのか、俺は次のメッセージを再生させた。
狂気の一夜から開けた午前8時に音声は録音されている。
電話口のタカシも、どうやら一晩寝て冷静になったのか、完全に落ち着きを取り戻していた。
『なぁ、聞いてんだろ? 何件も留守電いれたからな、電話でないだけでしっかり聞いてんだよな?』
タカシの声には疲れが見えた。
警察と木村の仲間から逃げ回りながら、一晩中依子を探していたのだろう。
掠れた声から精神的な消耗が伺えた。
『本当に俺って奴はツイてないよ。思えばお前と別れた後からずっとダメだ。何をやっても上手くいかない。仕事では先輩に小突かれ、後輩にはバカにされ、客からも文句ばかり言われてる。俺ぁ、もう本当にクソッタレだ』
留守電は、そこで一旦切れた。
録音時間を超えたのだ。
言葉の続きは、次の留守番電話へ入っていた。
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