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16.このままで
11話
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「そうですね、私は結構心が広い方だと思いますわ。長年婚約者にないがしろにされてきても許してあげたくらいですから」
「う……っ、それは悪かったと……。そろそろその件は水に流してもらえないだろうか……?」
「どうしましょう。クロード様次第ですわね」
そう言うと、後ろからクロード様の呻き声が漏れる。
本当はもう怒っていないのだけれど、クロード様の反応がおもしろいので時折蒸し返してしまっている。長年さんざん悲しませられたのだから、少しくらいの意地悪は許されるはずだ。
けれど後ろで悲しそうにしているクロード様が少しかわいそうになってきたので、私は続けて言った。
「二人のことを許したのには、もう一つ理由があるんです」
「もう一つの理由? それはなんだ?」
クロード様は後ろから私の顔を覗き込み、不思議そうな顔をする。
「だって、山小屋に閉じ込められたおかげでクロード様が助けに来てくれて、仲直りできたんですもの。それを思うとあまり怒りが湧いてこないのですわ」
「エミリア……!!」
私がそう言うと、クロード様は感激したように今度は正面から私を抱きしめる。
勢いよく抱き着いてくるせいで、足がもつれそうになった。
素直じゃなくて、時々面倒で、扱いにくい人だけど、私はそんなクロード様が好きなのだから仕方ない。
というか、私も結構素直じゃないのでお互い様かもしれないし。
けれど今日は少し素直になることにして、抱きしめ返してみた。クロード様は一瞬驚いたように体を揺らした後、嬉しそうに笑ってくれた。
終わり
─────
閲覧ありがとうございました☀️
「う……っ、それは悪かったと……。そろそろその件は水に流してもらえないだろうか……?」
「どうしましょう。クロード様次第ですわね」
そう言うと、後ろからクロード様の呻き声が漏れる。
本当はもう怒っていないのだけれど、クロード様の反応がおもしろいので時折蒸し返してしまっている。長年さんざん悲しませられたのだから、少しくらいの意地悪は許されるはずだ。
けれど後ろで悲しそうにしているクロード様が少しかわいそうになってきたので、私は続けて言った。
「二人のことを許したのには、もう一つ理由があるんです」
「もう一つの理由? それはなんだ?」
クロード様は後ろから私の顔を覗き込み、不思議そうな顔をする。
「だって、山小屋に閉じ込められたおかげでクロード様が助けに来てくれて、仲直りできたんですもの。それを思うとあまり怒りが湧いてこないのですわ」
「エミリア……!!」
私がそう言うと、クロード様は感激したように今度は正面から私を抱きしめる。
勢いよく抱き着いてくるせいで、足がもつれそうになった。
素直じゃなくて、時々面倒で、扱いにくい人だけど、私はそんなクロード様が好きなのだから仕方ない。
というか、私も結構素直じゃないのでお互い様かもしれないし。
けれど今日は少し素直になることにして、抱きしめ返してみた。クロード様は一瞬驚いたように体を揺らした後、嬉しそうに笑ってくれた。
終わり
─────
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