私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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16.このままで

5話

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「……もういいわっ! あんたにもクロード様にももう興味ないし!」

 ミアはそう言うと、こちらに背を向け、逃げるように立ち去ろうとする。私は彼女の背中に向かって言った。

「ミアさん、これからは魅了魔法の悪用はやめてくださいね。次に同じようなことがあったらその時は容赦しませんから」

「……わ、わかったわよ! やらないわ、もう関わらないって言ってるでしょ!?」

「私にだけではなく、魅了魔法で気に入らない生徒を排除するのもやめてくださいね。発覚次第、証拠品を役人に提出させてもらいます」

 数日間学校を休んでいる間、ミアの交友関係についても調査した。その時に、どうやら彼女は仲の良い騎士団員や公爵家のご令息に頼んで、気に入らない生徒を多数排除してもらっていたことがわかったのだ。

 なかにはミアに対して本当に嫌がらせを行っていた同情できない生徒もいたけれど、ほとんどは何もしていないのに、ただミアが気に入らないからというだけで被害に遭っていた。


「~~~!! うるさいわね!! わかったわよ、もうやらないわ! それでいいんでしょ!?」

 ミアは真っ赤な顔でこちらを振り返ると、悔しそうな顔で言う。

 それから勢いよく走り去って行った。


「……すごかったな。ミア、あんな性格だったっけ……。いや、エミリアを魔獣に襲わせようとするやつがまともなはずがないが……」

 クロード様は走り去っていくミアをぽかんとした顔で眺めながら言う。

「ショックでしたか? クロード様、ミアさんを気に入っていましたものね」

「なっ、そんなはずないだろ!? 前にも言った通り、俺はミアを気に入っていたわけじゃない! エミリアにやきもちを焼いて欲しかっただけだ!!」

「堂々とおっしゃらないでくださいね」

 私が窘めると、クロード様は気まずげな顔になって視線を彷徨わせる。私はその後で必死に言い訳し始めるクロード様を、仕方ない人だなと思いながら苦笑いで見ていた。
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