私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

文字の大きさ
上 下
132 / 138
16.このままで

5話

しおりを挟む
「……もういいわっ! あんたにもクロード様にももう興味ないし!」

 ミアはそう言うと、こちらに背を向け、逃げるように立ち去ろうとする。私は彼女の背中に向かって言った。

「ミアさん、これからは魅了魔法の悪用はやめてくださいね。次に同じようなことがあったらその時は容赦しませんから」

「……わ、わかったわよ! やらないわ、もう関わらないって言ってるでしょ!?」

「私にだけではなく、魅了魔法で気に入らない生徒を排除するのもやめてくださいね。発覚次第、証拠品を役人に提出させてもらいます」

 数日間学校を休んでいる間、ミアの交友関係についても調査した。その時に、どうやら彼女は仲の良い騎士団員や公爵家のご令息に頼んで、気に入らない生徒を多数排除してもらっていたことがわかったのだ。

 なかにはミアに対して本当に嫌がらせを行っていた同情できない生徒もいたけれど、ほとんどは何もしていないのに、ただミアが気に入らないからというだけで被害に遭っていた。


「~~~!! うるさいわね!! わかったわよ、もうやらないわ! それでいいんでしょ!?」

 ミアは真っ赤な顔でこちらを振り返ると、悔しそうな顔で言う。

 それから勢いよく走り去って行った。


「……すごかったな。ミア、あんな性格だったっけ……。いや、エミリアを魔獣に襲わせようとするやつがまともなはずがないが……」

 クロード様は走り去っていくミアをぽかんとした顔で眺めながら言う。

「ショックでしたか? クロード様、ミアさんを気に入っていましたものね」

「なっ、そんなはずないだろ!? 前にも言った通り、俺はミアを気に入っていたわけじゃない! エミリアにやきもちを焼いて欲しかっただけだ!!」

「堂々とおっしゃらないでくださいね」

 私が窘めると、クロード様は気まずげな顔になって視線を彷徨わせる。私はその後で必死に言い訳し始めるクロード様を、仕方ない人だなと思いながら苦笑いで見ていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

もういいです、離婚しましょう。

うみか
恋愛
そうですか、あなたはその人を愛しているのですね。 もういいです、離婚しましょう。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。

ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。 事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw

婚約者を想うのをやめました

かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。 「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」 最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。 *書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい

恋愛
婚約者には初恋の人がいる。 王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。 待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。 婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。 従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。 ※なろうさんにも公開しています。 ※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

幼馴染だけを優先するなら、婚約者はもう不要なのですね

新野乃花(大舟)
恋愛
アリシアと婚約関係を結んでいたグレイ男爵は、自身の幼馴染であるミラの事を常に優先していた。ある日、グレイは感情のままにアリシアにこう言ってしまう。「出て行ってくれないか」と。アリシアはそのままグレイの前から姿を消し、婚約関係は破棄されることとなってしまった。グレイとミラはその事を大いに喜んでいたが、アリシアがいなくなったことによる弊害を、二人は後に思い知ることとなり…。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

処理中です...