私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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16.このままで

4話

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「……さすがにあそこまでされて何も報告しないわけにはいきません。これでも配慮したのですよ。あなたが魔獣を寄せ付ける魔法を使って私を喰い殺させようとしたことまで話したら、謹慎どころでは済まなかったはずです」

「そんな証拠どうやって出すんです? 私はあなたが閉じ込められた山には行っていませんわ。あなたを罠にかけたのはローズマリーです」

 ミアは悪びれもせずにそんなことを言う。

 彼女は最初からことが大きくなったら全てローズマリーさんに罪を被せるつもりでいたのだろうか。私は呆れ切って彼女を見た。

 ミアのあまりの言いように、クロード様が苛立った様子で何か言いかける。しかし、私はクロード様が口を開く前にミアの前に歩み出て言った。


「ミアさん。ローズマリーさんにもらったチャームにわずかに残っていた液体と、服についていた液体を兄に解析してもらいました。そうしたら液体からあなたの魔力反応が出ました」

「魔力反応……?」

 ミアさんは怪訝な顔でこちらを見る。

 この様子だとミアさんは何も知らないみたいだけれど、強い魔力を込めた物体には、かけた本人の魔力が残るのだ。

 王立学園に通う生徒はみな入学前に魔力の検査をするので、研究機関で調査すれば誰が魔力を込めたものなのかすぐにわかる。

 王都の研究所で働く兄に魔力が適合するかどうか内密に調べてもらったところ、チャームや私が着ていた服についた液体に残る魔力は、見事にミアのものと一致した。


「はぁ……? 何よ、それ。たとえそうだとしても、ローズマリーがこっそり私が作った液体を盗んだかもしれないじゃない」

「あの液体にはご丁寧に私の髪の毛を混ぜて私にしか効かないように仕組まれていたのですよ。あなたの協力なしにローズマリーさんがそんなものを用意できると思いますか」

 尋ねると、ミアの顔はどんどん悔しげに歪んでいく。
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