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16.このままで

3話

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 学園には、ローズマリーさんとミアさんと結託して山小屋に閉じ込められたことだけ報告した。ミアさんの魅了魔法で魔獣に喰い殺されかけたことは話していない。

 そのおかげで二人には謹慎処分が言い渡されたものの、退学処分になったり、役人に引き渡されたりすることはなかった。


「エミリア、本当によかったのか?」

 放課後、教室まで迎えに来てくれたクロード様は、少し納得のいかなそうな顔で言う。

「ええ、二人が牢獄に入れられたりすることまでは望みませんもの」

「しかし、エミリアは殺されかけたんだぞ?」

「クロード様が助けてくださいましたから、いいんです」

 笑顔でそう言ったら、納得のいかなそうな顔をしていたクロード様は途端に顔を赤らめ、「いや、しかし……」とか、「エミリアがよくてもだな」なんて何か呟きだした。

 そんなクロード様は微笑ましい気分で眺めていると、後ろから声をかけられる。


「エミリア様!」

「ミアさん……」

 振り向いた先に立っていたのはミアだった。彼女は今謹慎期間のはずだけれど、なぜここにいるのだろう。

 ミアはじっと不機嫌そうな目でこちらを睨みつけている。

「エミリアに何の用だ」

 クロード様はかばうように私の前に立ち、ミアに向かって厳しい声で言う。クロード様に視線を向けられた途端、ミアは思いきり眉を顰めた。


「クロード様、どいてくださいます? 私はエミリア様に話があるんです」

 ミアはクロード様を斥けるようにして、つかつかと私の方まで歩いてくる。

「話とは何ですか」

「エミリア様、よくも学園に告げ口してくださいましたね。おかげで謹慎処分になるわ、家族からお説教の手紙が届くわ、散々でしたわ! 私はやっていないと言ったのに、学園長たちはみんな私を疑うんですもの! 伯爵家から圧力でもかけたんですか!?」

 ミアは私に向かって抗議の目を向ける。

 それ以外に何か言うことがあるのではないかと、脱力してしまった。
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