私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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14.嫉妬 ミア視点

9話

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「こんなところで何をしてらっしゃるんですか? カペラでお買い物ですか?」

「いや、そういうわけじゃないが……」

 クロード様は口ごもり、何か言いたげにこちらを見る。言いたいことがあるならはっきり言えばいいのに。大方、エミリアにジャケットを返したことを不満に思っているのだろうけれど。

「もしかしてエミリア様が気になって来たんですか? 仲がよろしいんですねぇ」

「いや、違う! 別にエミリアが気になってきたわけじゃ……」

 クロード様はしどろもどろになって言う。その反応になんだか腹が立つ。いつからクロード様はこんなにエミリアのことを気にするようになったのだ。


「……ミア、どうして今日エミリアがここに来ると知っているんだ?」

 クロード様はふいに真顔になって尋ねてきた。

 ああ、確かに疑問に思うだろうなと思いつつ、質問を返す。

「クロード様こそ。エミリア様がここに来たことよく知っていましたね」

「俺はエミリアの予定を従者にこっそり収集させて……、いや、俺のことはどうでもいい!
なぜミアまでエミリアの予定を知ってるんだ?」

「私はこのお店の娘さんのローズマリーさんと知り合いなので。今日一緒に出掛けると聞いていたんです」

 私がにっこり笑って言うと、クロード様の顔が引きつったように見えた。

 別に嘘は言ってないのに。ストーカーみたいに情報収集しているクロード様に比べたらよっぽどまともな答えのはずだ。
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