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14.嫉妬 ミア視点
5話
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クロード様に近づくにつれて、気が付いたことがある。遠くで見ている分には気が付かなかったけれど、クロード様とエミリアの関係は冷え切っているようなのだ。
表面上は仲睦まじく見えるし、実際に学園の生徒の大部分はそう思っていると思う。
けれど、クロード様は人のいないところではエミリアに随分冷たい態度を取る上、エミリアが話けてくるとうんざりしたように顔を背ける。
二人の関係が冷え切っているのなら、私にも割り込む隙はあると思った。
実際クロード様は私が二人の会話に割り込むと、エミリアを放って私に笑顔を向けてくれる。ダンスパーティーでダンスに誘ったときだってすんなり応じてくれた。
授業で使う魔道具を見にレアンの街に行きたいからついて来て欲しいと頼んだときも、随分遠い場所にも関わらず、快く了承してくれたのだ。
もう少し押せば、私に振り向いてくれるかもしれない。
レアンの街へ行くことを了承してもらったとき、これはチャンスだと思った。
クロード様は馬車を用意してくれると言ったけれど断り、自分で馬車を手配する。馬車の車輪には一定の距離を走ったら壊れるように細工をした。
王都とレアンの街を往復するには、ほとんど丸一日かかる。日帰りで街に行くには、ぎりぎりのスケジュールで動かなくてはならない。
そんな中で馬車が壊れたりすれば、どこかで一泊せざるを得なくなる。
計画通りレアンの街から王都に戻る途中で車輪は壊れてくれた。さらに天気まで味方して、激しい雨が降り始める。
クロード様に「これでは王都に帰らないから今日のところは宿に泊まるしかありません」と言うと、彼はしばらく迷っていたようだけれど、やがて了承してくれた。
もっとも、同じ宿に泊まった以外に何もなかったのだけれど。
私がそれとなく同じ部屋に泊まろうと誘っても、クロード様は腹立たしいほどあっさり断った。
別々の部屋に泊まることになったので仕方なく夜中にクロードの部屋を訪れてみたりしたけれど、彼は扉も開けずにやたら愛想のいい声で追い返すだけだった。
表面上は仲睦まじく見えるし、実際に学園の生徒の大部分はそう思っていると思う。
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授業で使う魔道具を見にレアンの街に行きたいからついて来て欲しいと頼んだときも、随分遠い場所にも関わらず、快く了承してくれたのだ。
もう少し押せば、私に振り向いてくれるかもしれない。
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クロード様は馬車を用意してくれると言ったけれど断り、自分で馬車を手配する。馬車の車輪には一定の距離を走ったら壊れるように細工をした。
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もっとも、同じ宿に泊まった以外に何もなかったのだけれど。
私がそれとなく同じ部屋に泊まろうと誘っても、クロード様は腹立たしいほどあっさり断った。
別々の部屋に泊まることになったので仕方なく夜中にクロードの部屋を訪れてみたりしたけれど、彼は扉も開けずにやたら愛想のいい声で追い返すだけだった。
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