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14.嫉妬 ミア視点
3話
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何も私が彼らを操ったわけではない。そもそも私にはそこまでの能力はないもの。
ただ、彼女たちにされたことを少しばかり大げさに話して涙を流して見せただけ。そうすれば私に夢中な彼らは、勝手にその子たちを排除してくれたのだ。
まぁ、時折直接何をされたわけではなくても、ただ目立って気に入らないという理由で嘘を吐いて追い詰めさせたこともあったけれど。そんなことはどうでもいいことだろう。
しかし、私の心をざわつかせる存在が現れた。
それがエミリア・バーンズだ。
エミリアは伯爵家出身の令嬢で、『完璧な淑女』だなんて言われて騒がれている。
茶色の髪に青い目で、制服をぴっちり着たおもしろみのない女。顔立ちは整っていないこともないけれど、私には全く魅力がわからなかった。
なのに、男子生徒たちはエミリアが姿を現すだけで色めき立つ。あの女は魅了魔法なんて使っていないはずなのに、みんな呆けたような目でエミリアを見るのだ。
男子生徒だけじゃなく、女子生徒からの評判がいいのにも苛立った。私は大抵の女子生徒からやっかみの目で見られているのに、扱いの差に納得がいかない。
さらに腹立たしいのは、エミリアがエイデン侯爵家の跡取りであるクロード様の婚約者であるということだ。
クロード様は銀色の髪に紫の鋭い目をした、見惚れてしまうほど美しい人だ。
王国で一番血統のいい者が集まる場所だけあって、この学園には美しい人がたくさんいるけれど、その中でもクロード様は飛びぬけて秀でた容姿をしている。
彼に憧れている女生徒はたくさんいた。
そんな彼の婚約者が、あのエミリア・バーンズなのだ。正直、全く釣り合わないと思った。噂によれば、エミリアの両親とクロード様の両親が仲がいいので、幼い頃に婚約を結んだらしい。
運に恵まれたエミリアに苛立ちが募る。
同時に、不相応に思えるエミリアへの高い評価は、クロード様の婚約者だからというのが大きいのではないかと考えると、若干気分が良くなった。
ただ、彼女たちにされたことを少しばかり大げさに話して涙を流して見せただけ。そうすれば私に夢中な彼らは、勝手にその子たちを排除してくれたのだ。
まぁ、時折直接何をされたわけではなくても、ただ目立って気に入らないという理由で嘘を吐いて追い詰めさせたこともあったけれど。そんなことはどうでもいいことだろう。
しかし、私の心をざわつかせる存在が現れた。
それがエミリア・バーンズだ。
エミリアは伯爵家出身の令嬢で、『完璧な淑女』だなんて言われて騒がれている。
茶色の髪に青い目で、制服をぴっちり着たおもしろみのない女。顔立ちは整っていないこともないけれど、私には全く魅力がわからなかった。
なのに、男子生徒たちはエミリアが姿を現すだけで色めき立つ。あの女は魅了魔法なんて使っていないはずなのに、みんな呆けたような目でエミリアを見るのだ。
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さらに腹立たしいのは、エミリアがエイデン侯爵家の跡取りであるクロード様の婚約者であるということだ。
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運に恵まれたエミリアに苛立ちが募る。
同時に、不相応に思えるエミリアへの高い評価は、クロード様の婚約者だからというのが大きいのではないかと考えると、若干気分が良くなった。
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