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12.危険な令嬢
8話
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「私は全く気にしていませんから、ミアさんも気にしないでください」
「えー? 本当ですか?」
「はい。クロード様が誰と出かけようと、私には関係ないことですから」
そう言うと、ミアの口元がにまりと歪んだ。
「気になさっていなかったのならよかったです。でも、やっぱり婚約者のいる方と泊りがけで出かけるのはよくなかったですよね……。エミリア様、お詫びをしたいのでよろしければ今度一緒にカフェにでも行きませんか? 何かご馳走させてください!」
ミアは楽しそうな声でそう言い、私の右腕に腕を絡めてきた。突然の行動に何とか作っていた笑みは崩れ、思いきり顔をしかめてしまう。
なんだかやけに馴れ馴れしい。
なぜ私がミアと仲良くカフェでお茶などしなければならないのか。
「……結構ですわ。本当にお気になさらなくて大丈夫ですから」
さりげなく腕をはがそうとしながら言うけれど、ミアはなかなか離れない。首を傾げてこちらを見上げてくる。
「カフェはお嫌ですか? それなら私のうちに来てくださってもいいですよ」
「いえ、本当に遠慮させてください」
家に行くなんて余計に嫌だと思い即座に断るが、ミアはなおもしつこく誘ってくる。一体何を企んでいるのだろう。
「お嫌なら仕方ないですね。諦めますわ」
私が何度も断っていると、ミアは急にあっさりと私から離れた。私は怪訝に思いながら彼女を見る。
「エミリア様、いつか一緒に遊びに行きましょうね!」
ミアはそう言うとひらひら手を振って去って行った。
「えー? 本当ですか?」
「はい。クロード様が誰と出かけようと、私には関係ないことですから」
そう言うと、ミアの口元がにまりと歪んだ。
「気になさっていなかったのならよかったです。でも、やっぱり婚約者のいる方と泊りがけで出かけるのはよくなかったですよね……。エミリア様、お詫びをしたいのでよろしければ今度一緒にカフェにでも行きませんか? 何かご馳走させてください!」
ミアは楽しそうな声でそう言い、私の右腕に腕を絡めてきた。突然の行動に何とか作っていた笑みは崩れ、思いきり顔をしかめてしまう。
なんだかやけに馴れ馴れしい。
なぜ私がミアと仲良くカフェでお茶などしなければならないのか。
「……結構ですわ。本当にお気になさらなくて大丈夫ですから」
さりげなく腕をはがそうとしながら言うけれど、ミアはなかなか離れない。首を傾げてこちらを見上げてくる。
「カフェはお嫌ですか? それなら私のうちに来てくださってもいいですよ」
「いえ、本当に遠慮させてください」
家に行くなんて余計に嫌だと思い即座に断るが、ミアはなおもしつこく誘ってくる。一体何を企んでいるのだろう。
「お嫌なら仕方ないですね。諦めますわ」
私が何度も断っていると、ミアは急にあっさりと私から離れた。私は怪訝に思いながら彼女を見る。
「エミリア様、いつか一緒に遊びに行きましょうね!」
ミアはそう言うとひらひら手を振って去って行った。
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