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12.危険な令嬢
4話
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持ってきたサンドイッチを中々口に運ぶ気になれず、ぼんやりと見つめていた。以前クロード様と庭の休憩スペースで昼食を食べたことを思い出し、余計に落ち込む。
私はもっと素直になるべきだったのだろうか。
今からでもクロード様に婚約解消したくないと言えば、聞いてもらえる?
けれど、そう考えると「婚約解消した方がお互いのためにいいかもしれない」と言ったクロード様の諦めたような顔が浮かんできて、私の心は重くなる。
臆病な自分が嫌いだ。
「あら? エミリア様ではないですか。こんなところで一人でサンドイッチなんか見つめて、どうなさったのですか?」
突然上から声が降ってきて、顔を上げるとそこにはふんわりと笑うダークブラウンの髪の少女がいた。
「ローズマリーさん……?」
「まぁ、覚えていてくださったんですね! 嬉しいですわぁ」
ローズマリーさんはベビーピンクの目を細めて嬉しそうに笑う。
彼女は王都にある『カペラ』という有名な洋服店のご令嬢だ。この学園には珍しく平民の出身だけれど、下手な貴族よりもずっと裕福で人脈も広い。
レスター様とファロンの街に行ったときに着た乗馬服のような服は、カペラで購入した。
ローズマリーさんとは同学年ながらクラスが離れているため学園ではほとんど関わりがなかったのだけれど、服を購入した時に店に出ていた彼女と初めて話した。
私はもっと素直になるべきだったのだろうか。
今からでもクロード様に婚約解消したくないと言えば、聞いてもらえる?
けれど、そう考えると「婚約解消した方がお互いのためにいいかもしれない」と言ったクロード様の諦めたような顔が浮かんできて、私の心は重くなる。
臆病な自分が嫌いだ。
「あら? エミリア様ではないですか。こんなところで一人でサンドイッチなんか見つめて、どうなさったのですか?」
突然上から声が降ってきて、顔を上げるとそこにはふんわりと笑うダークブラウンの髪の少女がいた。
「ローズマリーさん……?」
「まぁ、覚えていてくださったんですね! 嬉しいですわぁ」
ローズマリーさんはベビーピンクの目を細めて嬉しそうに笑う。
彼女は王都にある『カペラ』という有名な洋服店のご令嬢だ。この学園には珍しく平民の出身だけれど、下手な貴族よりもずっと裕福で人脈も広い。
レスター様とファロンの街に行ったときに着た乗馬服のような服は、カペラで購入した。
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