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11.どうしたい?
2話
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(こういう場所、前にも来たなぁ……)
頭の中に、幼い頃何度も見た光景が思い浮かぶ。
クロード様の生家であるエイデン侯爵家の領地にもこの森と同じくらい広い森があり、侯爵家を訪れたときに何度も引っ張って行かれた。
『エミリア、また森に遊びに行くぞ!』
『でも、森は危険な生き物がたくさんいるって聞きました。怖いです』
『俺がついてるから大丈夫だよ。ほら、来いって』
躊躇う私の手を強引に引っ張るクロード様。
幼い頃の私はひどく怖がりだったけれど、クロード様が一緒なら何も怖くなかった。
私にとってクロード様は、いつだって強くて眩しくて、憧れて仕方ない人だったのだ。
「エミリアさん、大丈夫? 歩き疲れた?」
「えっ? あ、いえ! 大丈夫です!」
レスター様に声をかけられ、途端に現実に引き戻される。少しぼんやりし過ぎていたみたいだ。
慌てて首を横に振ると、レスター様は「疲れたらいつでも言ってね」と微笑んだ。
その後もレスター様は森を歩く間中、道が悪いところでは支えてくれたり、私が少しでも疲れた様子を見せると休憩しようと勧めてくれたりした。
クロード様はそんな細かいことに気づいてくれないので、なんだかその気遣いに感動してしまう。
頭の中に、幼い頃何度も見た光景が思い浮かぶ。
クロード様の生家であるエイデン侯爵家の領地にもこの森と同じくらい広い森があり、侯爵家を訪れたときに何度も引っ張って行かれた。
『エミリア、また森に遊びに行くぞ!』
『でも、森は危険な生き物がたくさんいるって聞きました。怖いです』
『俺がついてるから大丈夫だよ。ほら、来いって』
躊躇う私の手を強引に引っ張るクロード様。
幼い頃の私はひどく怖がりだったけれど、クロード様が一緒なら何も怖くなかった。
私にとってクロード様は、いつだって強くて眩しくて、憧れて仕方ない人だったのだ。
「エミリアさん、大丈夫? 歩き疲れた?」
「えっ? あ、いえ! 大丈夫です!」
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慌てて首を横に振ると、レスター様は「疲れたらいつでも言ってね」と微笑んだ。
その後もレスター様は森を歩く間中、道が悪いところでは支えてくれたり、私が少しでも疲れた様子を見せると休憩しようと勧めてくれたりした。
クロード様はそんな細かいことに気づいてくれないので、なんだかその気遣いに感動してしまう。
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