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10.認めたくない クロード視点

5話

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***

 過去のことを反省はしたものの、エミリアとレスターが二人で出かけるのを黙って待っていられるのかと言われたら話は別だ。

 俺はできるだけ目立たない服装をして頭には帽子を被り、早朝からファロンの街へ向かうことにした。

 ファロンの街へ来たら大抵の人間が最初にやってくる中心部の方へ行き、建物の影に隠れて二人を待つ。

 しばらくすると、人混みに混じってエミリアとレスターが歩いてくるのが見えた。

 二人は全くこちらに気付くことなく近づいてくる。


(ふん、デートというより女友達と遊びに来てるみたいだな)

 二人の背丈は同じくらいで、レスターが中性的な顔をしていることもあり、ぱっと見だと同性の友達同士にしか見えなかった。周りの女性客の集団とも違和感なく馴染んでいる。

 こんな風だったらエミリアもレスターのことを意識したりはしないんじゃないかと思うと、少しだけ心が軽くなる。

 そうだ、よく考えればレスターは所詮それほど有名でも裕福でない伯爵家の令息なのだ。

 エミリアの望むものを好きなだけ買ってやったりすることはできないだろう。

 どうせ今日も、以前学園で見かけた古めかしくて小さい馬車にエミリアを乗せてきたはずだ。

 いや、もしかするとエミリアの家に馬車を出してもらったかもしれない。
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