私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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10.認めたくない クロード視点

4話

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 それでも何とか挽回しようと、いつも通り放課後に玄関前でエミリアを待っていると、やって来たエミリアはいつも以上に冷たい視線をこちらに向けてきた。

 断られるだろうとは思いつつどこへでも連れて行ってやるから今度の休日にどこかへ出かけようと誘うと、エミリアはレスターと出かけることになったから無理だという。

 予想外の言葉に青ざめる。

 レスターと? 休日に二人で?

 レスターがエミリアに好意があるのなんて、よく見るまでもなくすぐに気づいた。その上あいつは外見は全く強そうではないのに、俺が牽制してもちっとも気に留めないほどふてぶてしいのだ。

 エミリアの方は、俺の希望的観測でなければレスターに友人以上の関心を抱いていないように見える。

 けれど、もしも二人で出かけて、その時に甘い言葉でもかけられたら、わからないではないか。

 いまわしいことにレスターは、女生徒たちの間で可愛いだとか紳士的で王子様みたいだとか言われて随分人気があるらしいのだ。

 エミリアだってどう思うかわからない。

 何としてでも止めたかったが、ミアのことを出されては何も反論できなかった。

 エミリアは俺に背を向けて遠ざかっていく。


 玄関前に残された俺は、ただ悶々と考え込むことしかできなかった。

 同時に、俺が見せつけるようにミアと親しくしていたとき、エミリアはこんな気持ちだったのかもしれないと思い至る。

 嫉妬する顔がみたいからってあんなことするのではなかった。

 エミリアに関心を向けて欲しいなら、ほかに方法なんていくらでもあったのに。
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