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9.妖精の街
5話
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「じゃあ次はあのカフェに行きたいです。ガイドブックに載っていたので気になっていて」
「ああ、あそこ有名だよね! 行ってみようか!」
手を繋いだまま、白い壁に水色の屋根の、童話にでも出てきそうな可愛らしいカフェまで歩いていく。
なんだか不思議な気分だった。
楽しいし、心がすごく穏やかだ。
レスター様はクロード様のように冷たい態度を取ったことなんて一度もないし、大抵のことは肯定的な言葉を返してくれる。
何も私に対してだけじゃなくて、レスター様は元々みんなに優しいのだけれど。
(クロード様も見習って欲しいわ)
私に婚約解消を申し出られたことで反省したという割に、押しつけがましいことばかりしてくるクロード様を思い出して小さく息を吐く。
(……でも、フェアリーガーデンのときのクロード様は私のことをちゃんと考えてくれていたわよね……)
わざわざ私が好きだと言った映画を観られるよう劇場を予約してくれて、私の趣味に合わせてお祭りを回ってくれて。
私はあの時確かに嬉しかった。映画が観られたことも嬉しかったけれど、クロード様が私を想ってしてくれたのだと思うと、幸せな気持ちになったのだ。
……その幸せな気持ちは、翌日あっけなくぶち壊されたわけだけど。
「ああ、あそこ有名だよね! 行ってみようか!」
手を繋いだまま、白い壁に水色の屋根の、童話にでも出てきそうな可愛らしいカフェまで歩いていく。
なんだか不思議な気分だった。
楽しいし、心がすごく穏やかだ。
レスター様はクロード様のように冷たい態度を取ったことなんて一度もないし、大抵のことは肯定的な言葉を返してくれる。
何も私に対してだけじゃなくて、レスター様は元々みんなに優しいのだけれど。
(クロード様も見習って欲しいわ)
私に婚約解消を申し出られたことで反省したという割に、押しつけがましいことばかりしてくるクロード様を思い出して小さく息を吐く。
(……でも、フェアリーガーデンのときのクロード様は私のことをちゃんと考えてくれていたわよね……)
わざわざ私が好きだと言った映画を観られるよう劇場を予約してくれて、私の趣味に合わせてお祭りを回ってくれて。
私はあの時確かに嬉しかった。映画が観られたことも嬉しかったけれど、クロード様が私を想ってしてくれたのだと思うと、幸せな気持ちになったのだ。
……その幸せな気持ちは、翌日あっけなくぶち壊されたわけだけど。
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