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8.やっぱり嫌いです!
7話
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「な……っ、何もレスターと行くことないだろ!? そんな場所、俺がいつだって連れて行ってやるのに……!」
「結構です。もう約束してしまいましたし」
澄まして答えると、クロード様は何か言いたげにこちらを見る。
「駄目なのですか? それほど遠い場所ではありませんし、いいではありませんか。クロード様とミアさんのように泊りがけで行くわけではないのですし」
「……!」
私がミアさんの名前を出した途端、クロード様は顔を引きつらせる。
「泊りがけの予定で行ったわけではない! 馬車が壊れて仕方なかったのだと説明しただろ!?」
「あぁ、そう仰っていましたね。失礼いたしました。けれど、お二人で出かけたのは事実でしょう?」
クロード様は何か言いたげにしているけれど、何も言葉が出てこない様子だ。
私はちょっと胸がすく思いで彼に笑いかける。
「そういうわけなので、クロード様とは出かけられませんわ。お出かけならミアさんでもほかの方でもお誘いして、どうぞご自由に行ってらしてください」
「エミリア……!」
クロード様に背を向けて、校庭を駆けて行く。
もうクロード様のことで一喜一憂したくない。
今度こそ彼に振り回されるのはやめるのだと、もう何度もした決意を再び新たにした。
「結構です。もう約束してしまいましたし」
澄まして答えると、クロード様は何か言いたげにこちらを見る。
「駄目なのですか? それほど遠い場所ではありませんし、いいではありませんか。クロード様とミアさんのように泊りがけで行くわけではないのですし」
「……!」
私がミアさんの名前を出した途端、クロード様は顔を引きつらせる。
「泊りがけの予定で行ったわけではない! 馬車が壊れて仕方なかったのだと説明しただろ!?」
「あぁ、そう仰っていましたね。失礼いたしました。けれど、お二人で出かけたのは事実でしょう?」
クロード様は何か言いたげにしているけれど、何も言葉が出てこない様子だ。
私はちょっと胸がすく思いで彼に笑いかける。
「そういうわけなので、クロード様とは出かけられませんわ。お出かけならミアさんでもほかの方でもお誘いして、どうぞご自由に行ってらしてください」
「エミリア……!」
クロード様に背を向けて、校庭を駆けて行く。
もうクロード様のことで一喜一憂したくない。
今度こそ彼に振り回されるのはやめるのだと、もう何度もした決意を再び新たにした。
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