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8.やっぱり嫌いです!
3話
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「やっぱりクロード様とは関わりたくありませんので、玄関ホールで待ち伏せするのはやめていただけますか」
「え? エ、エミリア……!?」
クロード様は慌てた様子で私に手を伸ばしてきたけれど、振り切ってそのまま玄関ホールを走り抜ける。
きっとミアはこうなることを期待して、わざわざ私にクロード様の服を渡して来たのだろう。まんまと踊らされて馬鹿みたいだ。
わかっているのに、動揺する心を抑えきれなかった。
***
「エミリアさん、大丈夫? 随分元気がないね」
「え、わかりますか……?」
三限目の精霊学の時間、授業開始前に席で悶々と考え込んでいると、隣の席のレスター様が心配そうに声をかけてきた。
「うん、顔色が良くないよ。体調でも悪いの?」
「いえ、ちょっと考え事をしていて。体調が悪いわけではないので大丈夫です」
「そう? あまり思いつめ過ぎないでね」
レスター様はそういたわるように言ってくれる。私は感謝してうなずいた。
「あれ、そのポストカード、もしかしてフェアリーガーデンで買ったの?」
レスター様は私のノートの方に目を向けて言う。私もそちらに視線を向けると、ノートの間に挟んだポストカードがはみ出ていた。
「え? エ、エミリア……!?」
クロード様は慌てた様子で私に手を伸ばしてきたけれど、振り切ってそのまま玄関ホールを走り抜ける。
きっとミアはこうなることを期待して、わざわざ私にクロード様の服を渡して来たのだろう。まんまと踊らされて馬鹿みたいだ。
わかっているのに、動揺する心を抑えきれなかった。
***
「エミリアさん、大丈夫? 随分元気がないね」
「え、わかりますか……?」
三限目の精霊学の時間、授業開始前に席で悶々と考え込んでいると、隣の席のレスター様が心配そうに声をかけてきた。
「うん、顔色が良くないよ。体調でも悪いの?」
「いえ、ちょっと考え事をしていて。体調が悪いわけではないので大丈夫です」
「そう? あまり思いつめ過ぎないでね」
レスター様はそういたわるように言ってくれる。私は感謝してうなずいた。
「あれ、そのポストカード、もしかしてフェアリーガーデンで買ったの?」
レスター様は私のノートの方に目を向けて言う。私もそちらに視線を向けると、ノートの間に挟んだポストカードがはみ出ていた。
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