私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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8.やっぱり嫌いです!

1話

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「クロード様、おはようごさいます」

「!! おはよう、エミリア!」

 玄関ホールに着くと、今日もクロード様が待ち構えていた。

 ミアはクロード様が見つからなかったからなんて言っていたけれど、簡単に見つかる場所にいたので疑問に思う。

 けれど今はそれよりも気になることがあった。

「エミリアから声をかけてくれるなんて久々だな。どうし──……」

「これ、ミアさんから預かりました」

 押し付けるように紙袋を渡すとクロード様は目をぱちくりする。不思議そうに中を覗き込んだ彼の顔が、途端に強張った。

「どうしてエミリアが……」

「クロード様が見つからなかったから私に預けたみたいです。こんなに目立つ場所にいたのに不思議ですね」

「そ、そうか……。俺に直接渡せばいいのに……」

 クロード様は紙袋を抱え、ちらちらとうかがうようにこちらを見ている。ミアから何か聞いてないか気にしているのだろうか。

「クロード様、ミアさんとレアンの街の宿に泊まったと言うのは本当ですか?」

「え……っ」

 クロード様の顔がみるみるうちに青ざめていく。その表情を見て、ミアの嘘ではなかったとわかってしまった。
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