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7.花と妖精のお祭り
10話
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けれど、悶々と考えながら、もう許してあげてもいいのではないかと思えてきた。
昨日のクロード様はいつもとはすっかり態度が違っていて、私が可愛げのない返事ばかりするにも関わらず、ずっとこちらを気遣ってくれた。
レスター様のことも家に何かするだなんて本気で言ったわけではないと焦っていたし、思わず口をついてしまっただけなのだろう。
いいかげん、仲直りしてもいいのかもしれない。
翌日、登校した私は学園の庭を歩きながら考えていた。
今日もクロード様は玄関ホールで待ち伏せしているだろうか。いつも早足で走り去ってしまうけれど、今日はちゃんと話を聞いてあげようか。
そうだ、今日のお昼休みは私から迎えに行ったら喜んでくれるかしら……。
私がそんなことを考えながら頬を緩めていると、前方からこちらに向かって歩いてくる人影が見えた。
風に揺れるピンクブロンドの長い髪。
「おはようございます、エミリア様っ」
駆け寄ってきたのは、大きな紙袋を抱えたミアだった。ミアはこちらに近づくと、親しげに声をかけてくる。
「……おはようございます、ミアさん」
「ちょうどよかったですわ! エミリア様にここで会えて」
ミアはやたらと愛想のいい笑みを浮かべて明るい声で言う。
彼女の意図がわからず、私は身構えた。
昨日のクロード様はいつもとはすっかり態度が違っていて、私が可愛げのない返事ばかりするにも関わらず、ずっとこちらを気遣ってくれた。
レスター様のことも家に何かするだなんて本気で言ったわけではないと焦っていたし、思わず口をついてしまっただけなのだろう。
いいかげん、仲直りしてもいいのかもしれない。
翌日、登校した私は学園の庭を歩きながら考えていた。
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そうだ、今日のお昼休みは私から迎えに行ったら喜んでくれるかしら……。
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風に揺れるピンクブロンドの長い髪。
「おはようございます、エミリア様っ」
駆け寄ってきたのは、大きな紙袋を抱えたミアだった。ミアはこちらに近づくと、親しげに声をかけてくる。
「……おはようございます、ミアさん」
「ちょうどよかったですわ! エミリア様にここで会えて」
ミアはやたらと愛想のいい笑みを浮かべて明るい声で言う。
彼女の意図がわからず、私は身構えた。
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