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7.花と妖精のお祭り
5話
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***
あっという間に週末になり、フェアリーガーデンに行く日がやって来た。
クロード様はやたら張り切った様子でうちのお屋敷までやって来て、玄関まで出てきた私に手を差し伸べる。
「行こう、エミリア。今日はエミリアの行きたいところをたくさん回ろうな」
「劇場だけで構いませんけど」
「そうか、映画に集中するのもいいな! その服似合ってるよ。フェアリーガーデンにぴったりだ」
クロード様は私が冷たく返すのをものともせずに、明るい表情のまま言う。
今日着ているのは、フリル付きのブラウスに、裾のところに花の刺繍の入ったダークブラウンのスカートだ。
ブラウスの胸元には黒いリボンがついており、その真ん中には妖精の絵が刻まれた金色のブローチがついている。
なんだか張り切って支度をしてきたみたいで恥ずかしくなった。実際、昨日はそわそわと寝付けなくて、無意味に長い間服選びをしていたのだけれど。
「……動きやすい恰好の服を探したらこうなっただけです」
「今日のお祭りのために動きやすい恰好をしてきてくれたんだな! 嬉しいよ」
今日のクロード様は何を言っても全然効かないので困る。
クロード様は笑顔のまま私の手を引いて馬車に上がらせた。馬車の中でもクロード様はずっと嬉しげな様子でこちらを見ていた。
あっという間に週末になり、フェアリーガーデンに行く日がやって来た。
クロード様はやたら張り切った様子でうちのお屋敷までやって来て、玄関まで出てきた私に手を差し伸べる。
「行こう、エミリア。今日はエミリアの行きたいところをたくさん回ろうな」
「劇場だけで構いませんけど」
「そうか、映画に集中するのもいいな! その服似合ってるよ。フェアリーガーデンにぴったりだ」
クロード様は私が冷たく返すのをものともせずに、明るい表情のまま言う。
今日着ているのは、フリル付きのブラウスに、裾のところに花の刺繍の入ったダークブラウンのスカートだ。
ブラウスの胸元には黒いリボンがついており、その真ん中には妖精の絵が刻まれた金色のブローチがついている。
なんだか張り切って支度をしてきたみたいで恥ずかしくなった。実際、昨日はそわそわと寝付けなくて、無意味に長い間服選びをしていたのだけれど。
「……動きやすい恰好の服を探したらこうなっただけです」
「今日のお祭りのために動きやすい恰好をしてきてくれたんだな! 嬉しいよ」
今日のクロード様は何を言っても全然効かないので困る。
クロード様は笑顔のまま私の手を引いて馬車に上がらせた。馬車の中でもクロード様はずっと嬉しげな様子でこちらを見ていた。
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