私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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6.馬鹿なこと クロード視点

6話

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 俺はようやく我に返り、茂みの影から出て二人に近づいた。

「エミリア!!」

 思わず声を荒げると、エミリアは驚いた顔でこちらを見る。

「クロード様……」

「いくら会場を探してもいないと思ったら……。こんなところで何をしていたんだ」

 思わず不機嫌な声が出る。近くで見るとエミリアの手にはレスターの手が重ねられており、余計に苛立ちが増した。

 一体、こんなところで二人で何をしていたんだ。まさか約束でもしていたのだろうか。


 怒りに任せてエミリアに軽い女だなんてひどいことを言ってしまった。

 すると、レスターが立ち上がって「エミリアに文句を言う前に自分の行動を見直せ」なんて偉そうなことを言ってくる。

 よりにもよってレスターにそんな忠告をされ、頭に血が上っていく。


 二人を引き離すようにエミリアの手を引いてその場を離れた。

 レスターといるのを見る前は謝ろうとばかり思っていたのに、苛立ちのままにエミリアを問い詰めてしまう。彼女はそんな俺を冷ややかな顔で見るばかりだった。

「クロード様こそ、さっきまでほかの女の子と踊っていたくせに。勝手過ぎます」

 エミリアは文句を言い募る俺に呆れ顔をする。正論過ぎる言葉に反論のしようもなかった。
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