46 / 138
6.馬鹿なこと クロード視点
3話
しおりを挟む
しかし当日、帰り道に運悪くミアが用意した馬車が途中で壊れ、街の端にある宿で一泊することになってしまったのだ。
その日は朝から曇り空で、帰る時になると激しく雨が降っていた。
歩いて帰るのは難しそうで、仕方なく「今日のところは宿で休んで、明日天気がよくなってから帰りましょう」というミアの言葉にうなずいてしまった。
もちろん、何かあったわけではない。
部屋は別だったし、誓ってミアに手を出してなどいない。
しかし、俺に対してすっかり冷たくなった現在のエミリアにそんな話をされては、決定的に見切りをつけられかねないではないか。
ミアの口調にはどう考えても毒気があった。おそらく、ここでダンスを断れば、実際以上に大げさにエミリアに伝えるつもりだろう。
説明しようにも、エミリアに隠れて二人で遠くの街まで出かけたことも、やむを得ないにしろ宿で一泊したのも事実なのだ。
経緯を説明したところで、信用してくれるかどうか。
俺は焼きもちを焼かせたいだなんてつまらない理由でミアを利用したことを心底後悔した。
その日は朝から曇り空で、帰る時になると激しく雨が降っていた。
歩いて帰るのは難しそうで、仕方なく「今日のところは宿で休んで、明日天気がよくなってから帰りましょう」というミアの言葉にうなずいてしまった。
もちろん、何かあったわけではない。
部屋は別だったし、誓ってミアに手を出してなどいない。
しかし、俺に対してすっかり冷たくなった現在のエミリアにそんな話をされては、決定的に見切りをつけられかねないではないか。
ミアの口調にはどう考えても毒気があった。おそらく、ここでダンスを断れば、実際以上に大げさにエミリアに伝えるつもりだろう。
説明しようにも、エミリアに隠れて二人で遠くの街まで出かけたことも、やむを得ないにしろ宿で一泊したのも事実なのだ。
経緯を説明したところで、信用してくれるかどうか。
俺は焼きもちを焼かせたいだなんてつまらない理由でミアを利用したことを心底後悔した。
183
お気に入りに追加
5,484
あなたにおすすめの小説


冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。
ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。
事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

幼馴染だけを優先するなら、婚約者はもう不要なのですね
新野乃花(大舟)
恋愛
アリシアと婚約関係を結んでいたグレイ男爵は、自身の幼馴染であるミラの事を常に優先していた。ある日、グレイは感情のままにアリシアにこう言ってしまう。「出て行ってくれないか」と。アリシアはそのままグレイの前から姿を消し、婚約関係は破棄されることとなってしまった。グレイとミラはその事を大いに喜んでいたが、アリシアがいなくなったことによる弊害を、二人は後に思い知ることとなり…。

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!
ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。
恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。
アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。
側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。
「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」
意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。
一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる