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5.憂鬱なダンスパーティー
14話
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「婚約者だからって私の行動を制限する権利はあるのですか? クロード様こそ、さっきまでほかの女の子と踊っていたくせに。勝手過ぎます」
「そ、それは……。さっきは事情があったんだ! 謝っただろ? 俺もこれからはああいうことはないようにするから……」
クロード様はさすがに後ろめたかったようで、目を泳がせる。私の心はどんどん冷えていく。
「いいですよ。クロード様にはもう期待していませんから、好きにしていただいて」
「な……っ」
「クロード様は私に色々不満がおありでしょうけれど、私だって婚約者はもっと思いやりのある方がよかったですわ。私のことをちゃんと見てくれる方が」
クロード様の横暴な態度に呆れて、つい言わなくてもいいことを言ってしまう。見ると、クロード様は引きつった表情を浮かべて私を見ていた。
「レスターみたいな奴がいいのか? お前のことを見張って、一人になったらぬけぬけと声をかけてくるような奴が好みなのか?」
「嫌な言い方をしないでください。レスター様は私を気遣ってくれただけで……」
「あんな大した家柄でもない伯爵家出身の男のどこがいいんだ? あんな家、俺がその気になれば簡単に没落に追い込めるぞ。そうだな。手始めにうちの傘下の家を利用して──……」
「いいかげんにしてください!!」
気が付くと、クロード様の頬を思いきり叩いていた。乾いた音が静かな空間に響く。
「そ、それは……。さっきは事情があったんだ! 謝っただろ? 俺もこれからはああいうことはないようにするから……」
クロード様はさすがに後ろめたかったようで、目を泳がせる。私の心はどんどん冷えていく。
「いいですよ。クロード様にはもう期待していませんから、好きにしていただいて」
「な……っ」
「クロード様は私に色々不満がおありでしょうけれど、私だって婚約者はもっと思いやりのある方がよかったですわ。私のことをちゃんと見てくれる方が」
クロード様の横暴な態度に呆れて、つい言わなくてもいいことを言ってしまう。見ると、クロード様は引きつった表情を浮かべて私を見ていた。
「レスターみたいな奴がいいのか? お前のことを見張って、一人になったらぬけぬけと声をかけてくるような奴が好みなのか?」
「嫌な言い方をしないでください。レスター様は私を気遣ってくれただけで……」
「あんな大した家柄でもない伯爵家出身の男のどこがいいんだ? あんな家、俺がその気になれば簡単に没落に追い込めるぞ。そうだな。手始めにうちの傘下の家を利用して──……」
「いいかげんにしてください!!」
気が付くと、クロード様の頬を思いきり叩いていた。乾いた音が静かな空間に響く。
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