私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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5.憂鬱なダンスパーティー

13話

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 クロード様に引っ張られるまま、ひたすら庭を歩いた。前を歩くクロード様はまだ怒りが収まらない様子だ。

 一体なぜ、私が苛立ちをぶつけられなければならないのかと、うんざりした思いで彼を見る。

 しばらく歩いた先の、四阿の前でクロード様はやっと足を止めた。


「エミリア、あいつとはどういう関係だ?」

 クロード様は顔を強張らせて尋ねてくる。

「友達です。精霊学や薬草学の授業が一緒なので、たまに話すんです」

「ただの友達とあんな風に二人で会って、手まで握らせるのか?」

 クロード様の言いように、私はすっかり呆れてしまった。クロード様なんてミアに腕を組まれても振り払いもせず、楽しそうに話していたくせに。

「レスター様が言っていた通り、先ほどは偶然会っただけです。私が元気がないのを見て声をかけてくださったんです」

「偶然、ね。本当はお前のことを追ってきたんじゃないか? あいつの方はお前のことをただの友達と思っているようには見えなかったぞ」

 クロード様は冷たい声で言う。私の胸にどんどん苛立ちが募っていく。


「……まあ、今回のことはいい。これからはあいつと会うなよ。授業でも極力話さないようにしろ」

「……なぜクロード様にそんなことを決められなくてはならないのですか」

「なんだ、文句でもあるのか? お前の婚約者は俺だろ」
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