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5.憂鬱なダンスパーティー
1話
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会場にはすでにたくさんの生徒が詰めかけていた。
クロード様と一緒に騒がしい会場を歩く。一歩会場へ足を踏み入れた途端、周りの視線がこちらに集中するのがわかった。
みんな、美しいクロード様に見惚れているのかもしれない。……中身は外見とは大違いのひどい人なのに。
予想通り、クロード様の周りにはあっという間にたくさんの人たちが押し寄せた。
どうせこの後はまた放置されるのだろうなと思いながら見ていると、意外にもクロード様は彼らに軽く挨拶しただけで、すぐに私のほうに戻って来る。
「もう少しゆっくりお話しされていてもよかったんですのよ」
「いや、いい。お前が拗ねるからな」
平然とそんなことを言うクロード様を、冷ややかな思いで見上げる。
それからパーティーが始まり、最初の曲が始まった。クロード様に手を差し伸べられ、一曲目のダンスを踊る。
踊っている最中のクロード様は、例年通りの仏頂面だった。リードは完璧なのがまた鼻につく。
周りで踊っている生徒たちは皆、楽しそうに笑い合ったり、合間に相手を褒め合ったりしているけれど、私とクロード様はそんな和やかな雰囲気とは全く無縁だ。
一曲目のダンスが終わり、みんなその場に残って笑い合ったり、テーブルの方へ向かったり、散り散りになっていく。
クロード様と一緒に騒がしい会場を歩く。一歩会場へ足を踏み入れた途端、周りの視線がこちらに集中するのがわかった。
みんな、美しいクロード様に見惚れているのかもしれない。……中身は外見とは大違いのひどい人なのに。
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どうせこの後はまた放置されるのだろうなと思いながら見ていると、意外にもクロード様は彼らに軽く挨拶しただけで、すぐに私のほうに戻って来る。
「もう少しゆっくりお話しされていてもよかったんですのよ」
「いや、いい。お前が拗ねるからな」
平然とそんなことを言うクロード様を、冷ややかな思いで見上げる。
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周りで踊っている生徒たちは皆、楽しそうに笑い合ったり、合間に相手を褒め合ったりしているけれど、私とクロード様はそんな和やかな雰囲気とは全く無縁だ。
一曲目のダンスが終わり、みんなその場に残って笑い合ったり、テーブルの方へ向かったり、散り散りになっていく。
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