私のことを嫌っている婚約者に別れを告げたら、何だか様子がおかしいのですが

雪丸

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1.我慢の限界です!

8話

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「クロード様のご両親は納得していただけなかったのでしょうか」

 今までよくお世話になった彼らに迷惑をかけてしまったのなら申し訳ないと思いながら尋ねると、クロード様は苦々しい顔で言った。

「両親は婚約解消を受け入れる気でいた。……俺がエミリアに失礼な態度を取ったのだろうと文句を言われた」

 クロード様はいかにも不満そうに私を見る。私は本当のことを、それもかなりクロード様に気を遣った表現で伝えただけなのに心外だ。


「クロード様のご両親が納得していただけたようで安心しました。そろそろ失礼してもよろしいでしょうか」

「あ……っ、待て!!」

 立ち去ろうとする私の腕をクロード様が掴む。

「俺は認めないからな! 婚約解消はしない!」

「え……」

 私は戸惑いながらクロード様の目を見つめる。

 クロード様は意固地になっているのだろうか。婚約解消はクロード様の方にこそメリットが大きいはずなのに。


「いいか、俺は絶対認めない。二度と婚約解消なんて口にするなよ」

「クロード様、待ってくださ……」

 クロード様は私の呼び止める声など聞かず、さっさと歩いて行ってしまった。

 私は呆然と彼の背中を見送ることしか出来なかった。

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