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異世界到着編
山田一家の決意 4
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優希に背中を物理的に押され、ワイワイと楽しそうにしている彼女たちの前に立つ。
彼女たちは私の姿を見た途端、さっきまで楽しそうにしていた雰囲気が一瞬にして止み、不安そうな眼差しで私を見つめる。
うわ!美人に一斉に見つめられると恥ずかしい。
私は一度、んんっと咳払いしてから「えー、最初に言っときますが、これから話すことで皆さんが不利益にならない事をお約束しておきます。だから、そんなに緊張しないで聞いてくださいね」
私は出来るだけ優しい口調で、自分達の事やニエル様の事などを解りやすく説明した。
彼女たちは異世界の事が中々理解出来ない様だったので、日本の音楽や映画などをタブレットを使って説明し。彼女達は驚いたり聴きなれない音楽にウットリしながらで説明を続ける。
私達がこの土地に来ることになった経緯でニエル様の話になった時は、ラナさんからこの土地の神聖さは聖地だからなのかと納得されたり、私達が聖者だと言い出したので断固拒否したりと紆余曲折はあったが大体の説明が終わった。
私は一息つきゆっくりと彼女達の顔を見廻しながら、「ここからが皆さんへの提案なのですが」と切り出したことで弛緩していた空気がピンと引き締まり、彼女たちの視線が私に集中する。
「先程まで説明したとおり、私達はこの土地を開拓し始めたばかりなので本当に何もありませんが、皆さんがよければ一緒に生活してこの土地の開拓をしませんか?」
「洋一さん、それはこの地で生活をするという事でしょうか」
私の提案にラナさんが代表して質問する。
「ええ、当面の間はこの家での共同生活になるでしょうが、少しずつでも家を建てていって生活出来ればと考えています」
私の回答の後、ラナさんの横にいる女性がおずおずと手を挙げて「あの食事は・・・」と恥ずかしそうに質問してきた。
「もちろん、こちらで用意します。が、資金にも限りがあるので、出来るだけ早く現地生産したいと考えています」
「あっあの着替えは・・・」
「ええ、もちろん用意しますよ」
この様な一問一答が続き質問も尽き始めたころ、ラナさんが彼女たちに向かって話し出した。
「みんな聞いて。あの日、ゴブリン達の襲撃で私達の家は焼かれ畑は踏みにじらたわ」
「そして、襲ってくるゴブリンから私達子供を守るために村中の大人達が戦い、そして殺されてしまった」
その時の光景を思い出したのだろう、其処彼処ですすり泣く声が聞こえる。
「そして私達は奴らに捕まってしまった。途中、他にもいた仲間達は次々に陵辱され殺された。次は私達かもしれないと怖くて怖くて・・・ただ身を寄せ合うしかなかった」
一部の子が震えだしたが優希がそっと近づき抱きしめる。
「けれど、いま私達は、美味しい食事を食べ、暖かい布団で眠り、美しい音楽を聴いている」
ラナさんは一呼吸おいて私の方に振り返る。
「それは、雄介さんが命がけで私達を助けてくれて、洋一さん、優希さんが涙を流しながら私達に手を差し伸べてくれたから・・・」
彼女たちが私や優希に目線を向ける。
「私達を救ってくれた山田さんご一家に心から感謝いたします。そして、このご恩をお返しするため、私ラナ・フォートリオは山田さんご一家に生涯の忠誠を誓います」
ラナさんはそう言うと片膝をついて頭を下げた。
ええ!?
私が驚いて目を白黒させていると、一人の女性が立ち上がりラナさんの横に並び、「私はダイアナ。ゴブリンジェネラルに殴られて死にかけたのを助けてもらいました。雄介さんには感謝してもしたりません。そしてこんなにも優しいお二人に私も忠誠を誓います」
ダイアナさんもラナさんに続き片膝をつく。
すると彼女達は次々と立ち上がり、感謝と忠誠の言葉と共に全員が私の前に畏まる形になってしまった。
「うえぇ!いやいやいや!忠誠とか言われても困ります!」
お願いだから頭を上げてと懇願し、ついでに雄介一人ではなく「深淵の翼」の方達のお陰である事を何度も念を押して説明した。
そんな訳で忠誠云々はともかく、エルフの女性達が仲間に加わり村の開拓が始まるのだった・・・って良い感じに終わった途端「はい!じゃ寝ましょ!」と優希の号令により私は家から追い出されるのだった。
彼女たちは私の姿を見た途端、さっきまで楽しそうにしていた雰囲気が一瞬にして止み、不安そうな眼差しで私を見つめる。
うわ!美人に一斉に見つめられると恥ずかしい。
私は一度、んんっと咳払いしてから「えー、最初に言っときますが、これから話すことで皆さんが不利益にならない事をお約束しておきます。だから、そんなに緊張しないで聞いてくださいね」
私は出来るだけ優しい口調で、自分達の事やニエル様の事などを解りやすく説明した。
彼女たちは異世界の事が中々理解出来ない様だったので、日本の音楽や映画などをタブレットを使って説明し。彼女達は驚いたり聴きなれない音楽にウットリしながらで説明を続ける。
私達がこの土地に来ることになった経緯でニエル様の話になった時は、ラナさんからこの土地の神聖さは聖地だからなのかと納得されたり、私達が聖者だと言い出したので断固拒否したりと紆余曲折はあったが大体の説明が終わった。
私は一息つきゆっくりと彼女達の顔を見廻しながら、「ここからが皆さんへの提案なのですが」と切り出したことで弛緩していた空気がピンと引き締まり、彼女たちの視線が私に集中する。
「先程まで説明したとおり、私達はこの土地を開拓し始めたばかりなので本当に何もありませんが、皆さんがよければ一緒に生活してこの土地の開拓をしませんか?」
「洋一さん、それはこの地で生活をするという事でしょうか」
私の提案にラナさんが代表して質問する。
「ええ、当面の間はこの家での共同生活になるでしょうが、少しずつでも家を建てていって生活出来ればと考えています」
私の回答の後、ラナさんの横にいる女性がおずおずと手を挙げて「あの食事は・・・」と恥ずかしそうに質問してきた。
「もちろん、こちらで用意します。が、資金にも限りがあるので、出来るだけ早く現地生産したいと考えています」
「あっあの着替えは・・・」
「ええ、もちろん用意しますよ」
この様な一問一答が続き質問も尽き始めたころ、ラナさんが彼女たちに向かって話し出した。
「みんな聞いて。あの日、ゴブリン達の襲撃で私達の家は焼かれ畑は踏みにじらたわ」
「そして、襲ってくるゴブリンから私達子供を守るために村中の大人達が戦い、そして殺されてしまった」
その時の光景を思い出したのだろう、其処彼処ですすり泣く声が聞こえる。
「そして私達は奴らに捕まってしまった。途中、他にもいた仲間達は次々に陵辱され殺された。次は私達かもしれないと怖くて怖くて・・・ただ身を寄せ合うしかなかった」
一部の子が震えだしたが優希がそっと近づき抱きしめる。
「けれど、いま私達は、美味しい食事を食べ、暖かい布団で眠り、美しい音楽を聴いている」
ラナさんは一呼吸おいて私の方に振り返る。
「それは、雄介さんが命がけで私達を助けてくれて、洋一さん、優希さんが涙を流しながら私達に手を差し伸べてくれたから・・・」
彼女たちが私や優希に目線を向ける。
「私達を救ってくれた山田さんご一家に心から感謝いたします。そして、このご恩をお返しするため、私ラナ・フォートリオは山田さんご一家に生涯の忠誠を誓います」
ラナさんはそう言うと片膝をついて頭を下げた。
ええ!?
私が驚いて目を白黒させていると、一人の女性が立ち上がりラナさんの横に並び、「私はダイアナ。ゴブリンジェネラルに殴られて死にかけたのを助けてもらいました。雄介さんには感謝してもしたりません。そしてこんなにも優しいお二人に私も忠誠を誓います」
ダイアナさんもラナさんに続き片膝をつく。
すると彼女達は次々と立ち上がり、感謝と忠誠の言葉と共に全員が私の前に畏まる形になってしまった。
「うえぇ!いやいやいや!忠誠とか言われても困ります!」
お願いだから頭を上げてと懇願し、ついでに雄介一人ではなく「深淵の翼」の方達のお陰である事を何度も念を押して説明した。
そんな訳で忠誠云々はともかく、エルフの女性達が仲間に加わり村の開拓が始まるのだった・・・って良い感じに終わった途端「はい!じゃ寝ましょ!」と優希の号令により私は家から追い出されるのだった。
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