19 / 71
異世界到着編
水場確保工事開始と生活魔法
しおりを挟む
翌朝、私は雄介と二人、水場の確保をするため、軽トラに荷物を積み込み小型ユンボと二台で森の入り口付近へ乗りつけた。
段取りはこうだ。まず、家から少し離れたところに水源用の池を掘る。その次に小川まで掘って川の水を引き込み、そして池から自宅周辺まで伸ばして畑や生活用水として利用する。将来的には田んぼも作る予定だ。
うむ、完璧な計画だ。
因みに、雄介と私のカッコはニッカズボンに先芯入りの地下足袋、ベストと、やる気ワクワクな格好である。
「よし!じゃぁやるか!」
私はチェーンソーを持ち、気合を込めてエンジンスターターを引こうとしたところで、雄介が止めに入った。
「ちょっちょっと待ってオヤジ!なに持ってんの!?」
「へ?」
「へ?じゃないよ、先に池を掘るのが先でしょうが、それに それ持った事ないだろ?」
雄介がため息交じりに説明する。
てへ。
「頼むよオヤジ・・・」
初っ端からこれだよ・・・本当に大丈夫かなぁ・・・と雄介は空を見上げながらため息をついた。
ブロロロ!!!
ユンボのエンジン音が響き渡る中、シャベルが地面に突き刺さり地面が削られていく。退けた残土はスコップで土嚢に入れて積み上げる。
かれこれ二時間程で、池の大体の大きさまで掘り終わり、細かいところをスコップで調整を始める。
そして私は積み上がっていく残土を呆然と見ていた。
・・・スマン息子よ、父の腰と腕は限界だ・・・。これでも最初の一時間は調子よく土嚢を作ったよ。でも作っても作っても減らないどころか、どんどん増えるこの残土に父の心は折れてしまったよ。
スコップを杖代わりにして立ち尽くす私の方へ、ネコに土を入れた雄介が近寄ってきて「オヤジ・・・もうちょっと頑張ろうぜ」と言いながら、土を積み上げて去って行った。
私は去っていく息子の後ろ姿に鬼を感じた・・・。
そんな息子の優しい(厳しい)愛情のもと、工事は順調に進み夕方頃には何とか形になったので、今日の作業は終了として家に帰った私達は衝撃的な報告を耳にするのであった。
ここで時間が少し遡り、洋一と雄介が出かけた後の山田家に戻る。
洋一達が出かけた後、優希は洗濯をすべく洗面所へ向かい、洗濯機へ洗濯物を放り込み始める。この洗濯機は全自動は無理だろうと事前に打ち合わせをした結果、懐かしの二槽式洗濯機だ。
「あとは、水を入れるんだけど、重いし、勿体ないのよねぇ・・・」
優希は水が入っているポリタンクを見てため息を吐いた。
今回洗濯に使う水はウォーターサーバーに使う飲料水である。水道が無いとこんなに不便なのかと、再びため息をつきながら腰を落としてタンクを持ち上げようとしたところで、その様子を見ていたルルが優希に話しかけてきた。
「あっあの、ユーキお姉さんは・・「優希ママ、優希お母さんでも良いわよ?」」
優希がにっこり笑って呼び方を訂正する。
ルルは恥ずかしそうに「ユーキお母さん」と言い直し話し始めた。
「えっと、その・・・ユーキ・・お母さんは、何をやってるの?」
「うん?あぁこれね?これは洗濯機と言って、汚れた服を洗濯する機械よ」
優希は洗濯機を指しながら簡単に説明を始めるが、ルルはさらに不思議な顔をして、「『クリーン』を使わないで、お水で洋服を洗うの?」と尋ねてきた。
「?」
優希が首をかしげる。
「??」
ルルも首をかしげる。
「「・・・・」」
「・・・ルルちゃん・・その『クリーン』てなに?」
「『クリーン』は生活魔法よ?優希・・お母さんは使わないの?」
ルルの話を聞いた優希は天井を見上げ、「よっしゃ!テンプレキタ!!」とガッツポーズをする。その姿を見たルルはビクっと体をこわばらせているが、優希は気にする事なくルルに使えるか尋ねた。
「うん、使えるよ。パパとママが、お水は貴重だから『クリーン』は絶対に覚えなさいって、教えてくたの」
ルルの説明に、優希は水が少ない地域か、技術的な問題かな?などと推測しながら、ルルに試してもらうようにお願いする。
「うん!まかせて!」
ルルは嬉しそうに、溜まっている洗濯物から汚れがひどい洋一のズボンを取り出して「クリーン」と唱えた。すると、ズボンが薄い青色の光に包まれ直ぐに消える。「これで良し!」とルルが嬉しそうに優希にズボンを手渡してきた。
優希は手渡されたズボンの裾部分など特に汚れが多いいところを中心に調べ、汚れがないことを確認すると「おぉ!すごい!すごい!」言いながらルルを抱きしめた。
その後、洗濯物全てに魔法をかけてもらい無事に洗濯が終了したのであった。
因みに、クリーンの魔法は体の洗浄も出来るとの事で、お風呂もトイレットペーパーも不要、お湯で体を拭いたりするのはとても贅沢な事なのだそうだ。
余談だが、クリーンで綺麗になった洋服たちであったが、優希とルルの洋服だけはクリーン後、更にファ○リーズされている事に、男性陣は誰も気付かないでいるのであった。
段取りはこうだ。まず、家から少し離れたところに水源用の池を掘る。その次に小川まで掘って川の水を引き込み、そして池から自宅周辺まで伸ばして畑や生活用水として利用する。将来的には田んぼも作る予定だ。
うむ、完璧な計画だ。
因みに、雄介と私のカッコはニッカズボンに先芯入りの地下足袋、ベストと、やる気ワクワクな格好である。
「よし!じゃぁやるか!」
私はチェーンソーを持ち、気合を込めてエンジンスターターを引こうとしたところで、雄介が止めに入った。
「ちょっちょっと待ってオヤジ!なに持ってんの!?」
「へ?」
「へ?じゃないよ、先に池を掘るのが先でしょうが、それに それ持った事ないだろ?」
雄介がため息交じりに説明する。
てへ。
「頼むよオヤジ・・・」
初っ端からこれだよ・・・本当に大丈夫かなぁ・・・と雄介は空を見上げながらため息をついた。
ブロロロ!!!
ユンボのエンジン音が響き渡る中、シャベルが地面に突き刺さり地面が削られていく。退けた残土はスコップで土嚢に入れて積み上げる。
かれこれ二時間程で、池の大体の大きさまで掘り終わり、細かいところをスコップで調整を始める。
そして私は積み上がっていく残土を呆然と見ていた。
・・・スマン息子よ、父の腰と腕は限界だ・・・。これでも最初の一時間は調子よく土嚢を作ったよ。でも作っても作っても減らないどころか、どんどん増えるこの残土に父の心は折れてしまったよ。
スコップを杖代わりにして立ち尽くす私の方へ、ネコに土を入れた雄介が近寄ってきて「オヤジ・・・もうちょっと頑張ろうぜ」と言いながら、土を積み上げて去って行った。
私は去っていく息子の後ろ姿に鬼を感じた・・・。
そんな息子の優しい(厳しい)愛情のもと、工事は順調に進み夕方頃には何とか形になったので、今日の作業は終了として家に帰った私達は衝撃的な報告を耳にするのであった。
ここで時間が少し遡り、洋一と雄介が出かけた後の山田家に戻る。
洋一達が出かけた後、優希は洗濯をすべく洗面所へ向かい、洗濯機へ洗濯物を放り込み始める。この洗濯機は全自動は無理だろうと事前に打ち合わせをした結果、懐かしの二槽式洗濯機だ。
「あとは、水を入れるんだけど、重いし、勿体ないのよねぇ・・・」
優希は水が入っているポリタンクを見てため息を吐いた。
今回洗濯に使う水はウォーターサーバーに使う飲料水である。水道が無いとこんなに不便なのかと、再びため息をつきながら腰を落としてタンクを持ち上げようとしたところで、その様子を見ていたルルが優希に話しかけてきた。
「あっあの、ユーキお姉さんは・・「優希ママ、優希お母さんでも良いわよ?」」
優希がにっこり笑って呼び方を訂正する。
ルルは恥ずかしそうに「ユーキお母さん」と言い直し話し始めた。
「えっと、その・・・ユーキ・・お母さんは、何をやってるの?」
「うん?あぁこれね?これは洗濯機と言って、汚れた服を洗濯する機械よ」
優希は洗濯機を指しながら簡単に説明を始めるが、ルルはさらに不思議な顔をして、「『クリーン』を使わないで、お水で洋服を洗うの?」と尋ねてきた。
「?」
優希が首をかしげる。
「??」
ルルも首をかしげる。
「「・・・・」」
「・・・ルルちゃん・・その『クリーン』てなに?」
「『クリーン』は生活魔法よ?優希・・お母さんは使わないの?」
ルルの話を聞いた優希は天井を見上げ、「よっしゃ!テンプレキタ!!」とガッツポーズをする。その姿を見たルルはビクっと体をこわばらせているが、優希は気にする事なくルルに使えるか尋ねた。
「うん、使えるよ。パパとママが、お水は貴重だから『クリーン』は絶対に覚えなさいって、教えてくたの」
ルルの説明に、優希は水が少ない地域か、技術的な問題かな?などと推測しながら、ルルに試してもらうようにお願いする。
「うん!まかせて!」
ルルは嬉しそうに、溜まっている洗濯物から汚れがひどい洋一のズボンを取り出して「クリーン」と唱えた。すると、ズボンが薄い青色の光に包まれ直ぐに消える。「これで良し!」とルルが嬉しそうに優希にズボンを手渡してきた。
優希は手渡されたズボンの裾部分など特に汚れが多いいところを中心に調べ、汚れがないことを確認すると「おぉ!すごい!すごい!」言いながらルルを抱きしめた。
その後、洗濯物全てに魔法をかけてもらい無事に洗濯が終了したのであった。
因みに、クリーンの魔法は体の洗浄も出来るとの事で、お風呂もトイレットペーパーも不要、お湯で体を拭いたりするのはとても贅沢な事なのだそうだ。
余談だが、クリーンで綺麗になった洋服たちであったが、優希とルルの洋服だけはクリーン後、更にファ○リーズされている事に、男性陣は誰も気付かないでいるのであった。
1
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
【完】真実をお届け♪※彷徨うインベントリ※~ミラクルマスターは、真実を伝えたい~
桜 鴬
ファンタジー
スキル無限収納は、別名を亜空間収納といわれているわ。このスキルを所持する人間たちは、底無しとも言われる収納空間を利用出来るの。古の人間たちは誰もが大気中から体内へ無限に魔力を吸収巡回していた。それ故に誰もが亜空間を収納スペースとして利用していた。だけどそれが当たり前では無くなってしまった。それは人間の驕りからきたもの。
やがて…………
無限収納は無限では無く己の魔力量による限りのある収納となり、インベントリと呼ばれるようになった。さらには通常のスキルと同じく、誰もが使えるスキルでは無くなってしまった……。
主を亡くしたインベントリの中身は、継承の鍵と遺言により、血族にのみ継承ができる。しかし鍵を作るのは複雑て、なおかつ定期的な更新が必要。
だから……
亜空間には主を失い、思いを託されたままの無数のインベントリが……あてもなく……永遠に……哀しくさ迷っている…………
やがてその思いを引き寄せるスキルが誕生する。それがミラクルマスターである。
なーんちゃってちょっとカッコつけすぎちゃった。私はミラクルマスター。希少なスキル持ちの王子たちをサポートに、各地を巡回しながらお仕事してまーす!苺ケーキが大好物だよん。ちなみに成人してますから!おちびに見えるのは成長が遅れてるからよ。仕方ないの。子は親を選べないからね。あ!あのね。只今自称ヒロインさんとやらが出没中らしいの。私を名指しして、悪役令嬢だとわめいているそう。でも私は旅してるし、ミラクルマスターになるときに、王族の保護に入るから、貴族の身分は捨てるんだよね。どうせ私の親は処刑されるような罪人だったから構わない。でもその悪役令嬢の私は、ボンキュッボンのナイスバディらしい。自称ヒロインさんの言葉が本当なら、私はまだまだ成長する訳ですね!わーい。こら!頭撫でるな!叩くのもダメ!のびなくなっちゃうー!背はまだまだこれから伸びるんだってば!
【公開予定】
(Ⅰ)最後まで優しい人・㊤㊦
(Ⅱ)ごうつくばりじいさん・①~⑤
(Ⅲ)乙女ゲーム・ヒロインが!転生者編①~⑦
短編(数話毎)読み切り方式。(Ⅰ)~(Ⅲ)以降は、不定期更新となります<(_ _*)>
半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界
マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~
ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」
騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。
その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。
この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。
異世界営生物語
田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。
ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。
目覚めた先の森から始まる異世界生活。
戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。
出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
Bastard & Master
幾月柑凪
ファンタジー
辺境の片田舎に暮らす青年レオンの元に、突然現れた都からの使者。レオンは貴族の落胤であった。王の召喚を受けて都へ旅立つレオンに同行する、スピリッツ・マスターのクリステル。陰謀の影渦巻く中、彼と彼女の運命は……?
小説家になろうにて、同タイトルで公開しています。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる