上 下
13 / 71
異世界到着編

水場探しとファーストコンタクト 2

しおりを挟む
 銃を構え、慎重に森の中を歩く。何度も訓練で行ってきた事た。
 身体が覚えてる。
 しかし、実戦となると話が変わってくるらしく、森に入ってから数十メートルなのに腕が張り、足が疲れてくる。
 落ち着け、大丈夫落ち着け、と何度も自分に言い聞かし、慎重に足を進める。

 距離にして200メートル位か、普通に歩けば数分も掛からない距離を10分以上かけて慎重に進んでいくと、川の流れる音と、足場に変化を感じた。

 小川に出たところで左右を確認して、さっき見つけた子供らしきモノを発見。慎重に近付き様子をみる。

 (子供か?それにこれは尻尾か?)

 パッと見で10歳ぐらいの子供。ボロボロで、かなり汚れているワンピースみたいな服からみえる肌の色は肌色で、お尻の方から尻尾らしき物が見えている。

 危険は無いと判断した雄介は、急ぎ子供へ近付き、脈を測るため首筋に指を這わせる。
 トクトクという脈の感覚を指先に感じ、安心し肩を軽く揺すりながら話しかける。

 「おい!大丈夫か!おい!」

 「・・・・」

 脈はあるが意識が無い。雄介は他に怪我などが無いかざっと確認し、子供をお姫様抱っこの要領で抱き抱える。

 軽い!

 抱き抱えた雄介はその軽さに驚きつつも、今度は足早に家へと急ぎ帰宅した。

 



 雄介が飛び出す様に出て行ってから私は、優希と一緒にリビングのソファにいた。

 「あなた、雄介、人が倒れてたって言ってたわよね」
 「あぁ、確かに」

 私も優希も状況がわからない事、昨晩の事もあり正直、不安で仕方がない。

 私は、情けない話ではあるが、二日目にして異世界へ来た事を後悔し始めていた。
 優希の方も同様に少し顔が青い。

 私は夫として優希を元気づけようと、肩に腕を回そうとしたところで、勢いよくドアが開かれた。

 「子供だ!子供が倒れてた!」

 雄介が勢いよく部屋に入り、抱き抱えていた子供を空いているソファへそっと降ろした。

 その姿を見た優希はダッと洗面所へ向かい、バスタオルを持ってきた。

 「オヤジ!お湯を沸かしてくれ!早く!」

 雄介に言われハッとなり、慌てて台所に向かいお湯を沸かす。
 その間に優希が子供の服を脱がし始めたらしく「女の子じゃない!それに尻尾?、この子獣人?」などと言っている。

 私は、丁度良い湯加減のお湯をタライに注ぎ、ソファへ向かった。

 ソファでは、バスタオルに包まって横になっている女の子をそっと抱き上げペットボトルの水を少しづつ飲ませている優希の姿がった。

 「お湯とタオルを置いておくぞ」
 「ありがとう」
 「あと他には何かいるか?」
 「取り敢えずは大丈夫だと思うけど、それより見てよ、この子の腕とか足」

 優希の言葉に従い女の子の腕や足を見てみると、余りの細さに愕然とした。

 「多分、栄養失調だと思うわ、確か、レトルトパックのお粥があったと思うから、悪いけど準備してくれる?」

 私は、女の子が水を飲み込んだのを確認している優希の指示に従い、台所でお粥の準備を始めた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

お后たちの宮廷革命

章槻雅希
ファンタジー
今は亡き前皇帝・現皇帝、そして現皇太子。 帝国では3代続けて夜会での婚約破棄劇場が開催された。 勿論、ピンク頭(物理的にも中身的にも)の毒婦とそれに誑かされた盆暗男たちによる、冤罪の断罪茶番劇はすぐに破綻する。 そして、3代続いた茶番劇に憂いを抱いた帝国上層部は思い切った政策転換を行なうことを決めたのだ。 盆暗男にゃ任せておけねぇ! 先代皇帝・現皇帝・現皇太子の代わりに政務に携わる皇太后・皇后・皇太子妃候補はついに宮廷革命に乗り出したのである。 勢いで書いたので、設定にも全体的にも甘いところがかなりあります。歴史や政治を調べてもいません。真面目に書こうとすれば色々ツッコミどころは満載だと思いますので、軽い気持ちでお読みください。 完結予約投稿済み、全8話。毎日2回更新。 小説家になろう・pixivにも投稿。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

プラス的 異世界の過ごし方

seo
ファンタジー
 日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。  呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。  乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。 #不定期更新 #物語の進み具合のんびり #カクヨムさんでも掲載しています

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

人気MMOの最恐クランと一緒に異世界へ転移してしまったようなので、ひっそり冒険者生活をしています

テツみン
ファンタジー
 二〇八✕年、一世を風靡したフルダイブ型VRMMO『ユグドラシル』のサービス終了日。  七年ぶりにログインしたユウタは、ユグドラシルの面白さを改めて思い知る。  しかし、『時既に遅し』。サービス終了の二十四時となった。あとは強制ログアウトを待つだけ……  なのにログアウトされない! 視界も変化し、ユウタは狼狽えた。  当てもなく彷徨っていると、亜人の娘、ラミィとフィンに出会う。  そこは都市国家連合。異世界だったのだ!  彼女たちと一緒に冒険者として暮らし始めたユウタは、あるとき、ユグドラシル最恐のPKクラン、『オブト・ア・バウンズ』もこの世界に転移していたことを知る。  彼らに気づかれてはならないと、ユウタは「目立つような行動はせず、ひっそり生きていこう――」そう決意するのだが……  ゲームのアバターのまま異世界へダイブした冴えないサラリーマンが、チートPK野郎の陰に怯えながら『ひっそり』と冒険者生活を送っていた……はずなのに、いつの間にか救国の勇者として、『死ぬほど』苦労する――これは、そんな話。 *60話完結(10万文字以上)までは必ず公開します。  『お気に入り登録』、『いいね』、『感想』をお願いします!

転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~

柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。 想像と、違ったんだけど?神様! 寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。 神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗ もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。 とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗ いくぞ、「【【オー❗】】」 誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。 「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。 コメントをくれた方にはお返事します。 こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。 2日に1回更新しています。(予定によって変更あり) 小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。 少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...