15 / 22
そうなるわよね、結局
しおりを挟む『しょうちゃん。ぼくね。
なんかね…。』
そのとき僕は珍しく
落ち込んでいたんだ。
小学一年生になって
しょうちゃんと
2人きりの時間も減って…。
かっこいいしょうちゃんの
周りにはいつも女子がいて
僕は近寄れなくって。
やっとしょうちゃんの隣に
座ったとき、なんか糸が
切れたように力が抜けて
背中に頭をもたせかけた。
「どうしたの?たっくん?」
『しょうちゃんおんなのこに
もてもてだね…。』
「おれはおんなのこなんて
いらない。っていうか…。
たっくんいがいはいらない。」
『ほんと…?』
僕は目をぱちくりさせて
しょうちゃんを見た。
「あたりまえでしょ?」
こちらに向き直り怒ったように
呆れたように言う。
『あたり、まえ?』
そだよ!としょうちゃんは
えらく憤慨している。
「おれはたっくんひとすじ!
しってるだろ?」
『う、うん…。』
僕は顔を赤くして俯いた。
「たっくん!ほら!ちからを
あげるよ。」
そう言うとしょうちゃんは
僕の両手を握りしめ
目をじっと見つめる。
『ふぁ………。熱……い………。』
手からは熱い何かが流れ込んで
僕の頭はふうっ、と白くなった。
気がつくとぼぉっと光るふたつの
小さな瞳が僕を見上げていた。
僕はとても大きい木で…
ずっと待っていた。
『来てくれたんだね…。』
その小さな瞳は1匹の鹿だった。
両前足を僕の幹につけると
そこからあたたかい想いが
流れ込んでくる。
「木の妖精さん…。俺の気を
わけてあげる。だいぶ弱って
生気がなくなってる。」
『鹿さん…。ありがとう。』
「俺はずっと探していたよ。
あなたを。」
『僕はずっと待っていたよ…
あなたを。』
「ほら。元気出てきたでしょ?」
『ん…。あたたかい…。 鹿さん
ありがとう。来てくれて。』
「木の妖精さん。ありがとう。
いてくれて。」
「たっくん…げんき………。
でたでしょ?」
『しょうちゃんありがと…。
やっぱりいつもしょうちゃんは
きてくれる。』
「いくさ。だってたっくんが
たいせつだから。
ずっといっしょにいたいから。」
『これまでもこれからも
ずっとずっと…。』
「おれはたっくんにちからを
あげる。いつもいつのひも。
だからたっくんはしんじてて。
おれだけを。」
『しょうちゃんだけをみてる。』
「そ!それでよし!じゃあ
かえろう!かえってなにして
あそぶ?」
『おえかきは?』
「いいね!」
僕達は自然と手を繋ぎ
唖然としている女子たちを後目に
微笑みあって校門に向かった。
なんかね…。』
そのとき僕は珍しく
落ち込んでいたんだ。
小学一年生になって
しょうちゃんと
2人きりの時間も減って…。
かっこいいしょうちゃんの
周りにはいつも女子がいて
僕は近寄れなくって。
やっとしょうちゃんの隣に
座ったとき、なんか糸が
切れたように力が抜けて
背中に頭をもたせかけた。
「どうしたの?たっくん?」
『しょうちゃんおんなのこに
もてもてだね…。』
「おれはおんなのこなんて
いらない。っていうか…。
たっくんいがいはいらない。」
『ほんと…?』
僕は目をぱちくりさせて
しょうちゃんを見た。
「あたりまえでしょ?」
こちらに向き直り怒ったように
呆れたように言う。
『あたり、まえ?』
そだよ!としょうちゃんは
えらく憤慨している。
「おれはたっくんひとすじ!
しってるだろ?」
『う、うん…。』
僕は顔を赤くして俯いた。
「たっくん!ほら!ちからを
あげるよ。」
そう言うとしょうちゃんは
僕の両手を握りしめ
目をじっと見つめる。
『ふぁ………。熱……い………。』
手からは熱い何かが流れ込んで
僕の頭はふうっ、と白くなった。
気がつくとぼぉっと光るふたつの
小さな瞳が僕を見上げていた。
僕はとても大きい木で…
ずっと待っていた。
『来てくれたんだね…。』
その小さな瞳は1匹の鹿だった。
両前足を僕の幹につけると
そこからあたたかい想いが
流れ込んでくる。
「木の妖精さん…。俺の気を
わけてあげる。だいぶ弱って
生気がなくなってる。」
『鹿さん…。ありがとう。』
「俺はずっと探していたよ。
あなたを。」
『僕はずっと待っていたよ…
あなたを。』
「ほら。元気出てきたでしょ?」
『ん…。あたたかい…。 鹿さん
ありがとう。来てくれて。』
「木の妖精さん。ありがとう。
いてくれて。」
「たっくん…げんき………。
でたでしょ?」
『しょうちゃんありがと…。
やっぱりいつもしょうちゃんは
きてくれる。』
「いくさ。だってたっくんが
たいせつだから。
ずっといっしょにいたいから。」
『これまでもこれからも
ずっとずっと…。』
「おれはたっくんにちからを
あげる。いつもいつのひも。
だからたっくんはしんじてて。
おれだけを。」
『しょうちゃんだけをみてる。』
「そ!それでよし!じゃあ
かえろう!かえってなにして
あそぶ?」
『おえかきは?』
「いいね!」
僕達は自然と手を繋ぎ
唖然としている女子たちを後目に
微笑みあって校門に向かった。
2
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる