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姉の来訪
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その人物に「今夜重要な相談があるから家に来て欲しい」というメールを入れて待つ事にした。
メール入れた直後に電話が掛かってきたが、そちらには出なかった。声がまるっきり違うから誰だお前になるし、電話だけで今の事情を説明できる気はしなかったので。
それからいろいろネットで調べ物をしたり、夕方くらいになってようやく今日初めての食事を取ったり……神になったからそういうのいらないと思ったら、体は人間と同じ構成になっているのでこの世界で暮らすうちは普通に食事を取る必要があるということだった。
GPで代用はできるらしいが、もったいないしな……。それにやはり食事というのは、人生の中の楽しみの一つだ。食べるものがない緊急時以外は普通の食事でいいだろう。
そうして過ごしていると、夜の7時を回ったあたりでメールが届いた。「後10分くらいで到着する」とのことだったので、「鍵開いてるから勝手に入ってきて」と返して置いた。この姿で玄関先で迎えるとそこで話し込む事になっちゃうからな。すると「何か買っていった方がいいものがあるか?」と再びのメール。あれ、これ体調崩して寝ていると思われた? 掛かって来た電話も取らなかったし。とりあえず「大丈夫」と返して置く。
そして15分後。
チャイムが一度慣らされ、それから玄関のドアが開く。
「冬樹、起きてる? 体調大丈夫?」
聞きなれた声が聞こえて来た。俺がこの世界でもっとも聞きなれた女性の声が。
というかやっぱり体調崩してると思われてたな。
掛けられた声に返事はしない。今の俺の声は彼女には聞きなれないものになっているので。
「一応消化に良さそうなもの買ってきたけど、食べられる? それとも寝ているかな?」
その言葉と共に、部屋に一人の女性が入ってきた。
ストッキングにピッチりとしたスーツ姿。伸ばせば腰の辺りまである髪は今はポニーテールに結い上げられており、やや釣り気味の瞳には眼鏡が掛けられている。
この女性の名前は秋篠 夏芽。俺より3つ年上の実の姉だ。
その彼女は部屋の中でベッドに腰かけている俺の姿を認めると──動きを止めた。
それから、ゆうに5秒程たった位だろうか。もっていたビニール袋を地面に落とすと体の前でバタバタと手を左右に振りだした。
「すっ、すまない! 他に人がいるとは思っていなかったんだ! 君は冬樹の彼女なのかなっ、あっ、心配しないで頂戴、私は冬樹の姉でそういう相手ではないので!」
「待て待て待て待て」
なんか先走りすぎ! 大体俺こんな幼い外見の子に手を出すようなロリコンじゃねーよ! 状況的に混乱するのはわかるけど!
「きっ、キミがいるなら私はお暇した方がいいかな? あ、これ冬樹にたべさせてやって」
「姉貴、ストップ!」
「へ?」
「俺だよ俺、弟の冬樹だって、こんな姿になってるけども!」
「……オレオレ詐欺?」
「対面した状態でするオレオレ詐欺ってなんだよ……」
メール入れた直後に電話が掛かってきたが、そちらには出なかった。声がまるっきり違うから誰だお前になるし、電話だけで今の事情を説明できる気はしなかったので。
それからいろいろネットで調べ物をしたり、夕方くらいになってようやく今日初めての食事を取ったり……神になったからそういうのいらないと思ったら、体は人間と同じ構成になっているのでこの世界で暮らすうちは普通に食事を取る必要があるということだった。
GPで代用はできるらしいが、もったいないしな……。それにやはり食事というのは、人生の中の楽しみの一つだ。食べるものがない緊急時以外は普通の食事でいいだろう。
そうして過ごしていると、夜の7時を回ったあたりでメールが届いた。「後10分くらいで到着する」とのことだったので、「鍵開いてるから勝手に入ってきて」と返して置いた。この姿で玄関先で迎えるとそこで話し込む事になっちゃうからな。すると「何か買っていった方がいいものがあるか?」と再びのメール。あれ、これ体調崩して寝ていると思われた? 掛かって来た電話も取らなかったし。とりあえず「大丈夫」と返して置く。
そして15分後。
チャイムが一度慣らされ、それから玄関のドアが開く。
「冬樹、起きてる? 体調大丈夫?」
聞きなれた声が聞こえて来た。俺がこの世界でもっとも聞きなれた女性の声が。
というかやっぱり体調崩してると思われてたな。
掛けられた声に返事はしない。今の俺の声は彼女には聞きなれないものになっているので。
「一応消化に良さそうなもの買ってきたけど、食べられる? それとも寝ているかな?」
その言葉と共に、部屋に一人の女性が入ってきた。
ストッキングにピッチりとしたスーツ姿。伸ばせば腰の辺りまである髪は今はポニーテールに結い上げられており、やや釣り気味の瞳には眼鏡が掛けられている。
この女性の名前は秋篠 夏芽。俺より3つ年上の実の姉だ。
その彼女は部屋の中でベッドに腰かけている俺の姿を認めると──動きを止めた。
それから、ゆうに5秒程たった位だろうか。もっていたビニール袋を地面に落とすと体の前でバタバタと手を左右に振りだした。
「すっ、すまない! 他に人がいるとは思っていなかったんだ! 君は冬樹の彼女なのかなっ、あっ、心配しないで頂戴、私は冬樹の姉でそういう相手ではないので!」
「待て待て待て待て」
なんか先走りすぎ! 大体俺こんな幼い外見の子に手を出すようなロリコンじゃねーよ! 状況的に混乱するのはわかるけど!
「きっ、キミがいるなら私はお暇した方がいいかな? あ、これ冬樹にたべさせてやって」
「姉貴、ストップ!」
「へ?」
「俺だよ俺、弟の冬樹だって、こんな姿になってるけども!」
「……オレオレ詐欺?」
「対面した状態でするオレオレ詐欺ってなんだよ……」
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